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これまでの人生すべてが、本当の「面接対策」だ。/今週の、いちばん。88

身もふたもない言い方だが、年をとると、仕事が増える。
7月刊の本のスケジュールがかなり押していて半狂乱なこの時期に、編集部の新卒採用の面接官の仕事が重なった。
今週、全部で十数人の候補者を面接し、今日が最終日だった。

今回は、編集部の同僚2人と、グループ面接のような形で、学生さんの話を聞いた。
少しでもリラックスしてもらえたらと、お茶菓子を出したり、座談会風?の進行にしてみたりと工夫をしたものの、それでも彼らの緊張は伝わってきた。

サンクチュアリ出版(の編集部)がどんな人を求めているか、というのはクリアに明文化できるわけではないし、ここにそれを書こうとも思わない。
(もしも興味がある学生さんは、次回いつ採用があるかわかりませんが、つてをたどってOB訪問してください)
ただ、面白いもので、僕が次の面接に進んでほしいなと思った候補と、副編集長のMが挙げた候補が、全員ぴったり一致した。
やはり、編集部として、なんとなくの基準はあるということだろう。

この時期、就活中の学生さんは「面接対策」を熱心にやっているかもしれない。
けれど、自分が数回でも面接官を経験すると、その「対策」というのは、必ずしも効果的なものばかりではないだろうと想像する。
あくまでうちの会社の例だけど、僕らが知りたいのは、ある学生さんが普段通りの自分で僕らと一緒に仕事したとき、うまくやれそうか、活躍できそうかということだ。
正直、相性が大きいし、仮に特定の能力を重視していたとしても、それだって直前何ヶ月で「対策」できることではないと思っている。

もしも、本当の「面接対策」があるとしたら、それは「これまでの人生すべて」ではないか。
僕らは、学生さんがこれまで過ごした20年前後の人生を(たかだか1時間強の面接の中でだが)少しでも知ろうとし、そこで得たもので自分たちなりの判断をしている。
正しいジャッジをできている、なんて思っていないけど、直前の「対策」で左右されるほど、浅く考えているわけでもない(はずだ)。

べつに、学生さんをビビらせる気も、困らせる気もない。
「これまでの人生すべて」を素直に出せる面接があれば、それは良い面接だと思うし、それでも次に進めなかったら、会社との相性だから、心配しなくてもいいということ。
人事のプロではないから、もしかしたら的はずれなことを言っているのかもしれないけど、こちらも1回1回の面接を真剣にやり、少しずつ学べていると思う。
仕事が山積みで気軽に飲みにもいけない週末だけど、せっかくだから、忘れないうちに今の気持ちを書いてみた。

今週のいちばん、「人様の人生」が気になった瞬間。それは5月27日、千駄ヶ谷のオフィスで、面接を終えた瞬間です。

*「今週の、いちばん。」は、その1週間で僕がいちばん、心が動かされたことをふりかえる連載です

(最近は「書かないよりは、まし。」をよく更新しています)

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