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日経ビジネスのインタビュー バックナンバー Vol.054

日経ビジネスのインタビュー バックナンバーVol.054


ここに掲載しているのは、管理人・藤巻隆が携帯サイトで運営していた当時のコンテンツです。

2007年1月8日号からスタートしています。1カ月分毎にまとめてあります。

途中、数件記事が抜けている個所があります。データを消失してしまったため再現できません。


● 2011.06.06 (No.1)<224>
グローバル本社を欧州に
森 雅彦(もり・まさひこ)氏
[森精機製作所社長]

金属を削る精度にしても、マザーマシン(機械を作る機械)と言われるだけに、世の中に存在する機械で最も高い精度が求められます。機械が緻密に動くには、搭載するモーターやセンサーなどの部品も一級品でなくてはならない。また、顧客は購入した工作機械を20年くらいは使い続け、使用条件も過酷です。長期間にわたって安定的に動く耐久性も必要になり、工作機械は参入障壁が高い分野です。

人類にとってモノを作る価値がなくなることは将来もないでしょう。ですが、工作機械も技術的にはこれから成熟化が進み、いつかはそんな精度の高い機械は必要ないというところまで行き着いてしまいます。

震災によって工場や拠点の配置を見直すことはありません。ですが、本社機能がある名古屋は中部電力の浜岡原子力発電所から100㎞ちょっとの距離です。この間に新幹線や東名高速道路が走っており、協力企業も少なくありません。有事の対応策を多角的に見直しているところです。


● 2011.06.13 (No.2)<225>
安定供給、民間任せは矛盾
天坊 昭彦(てんぼう・あきひこ)氏
[石油連盟会長、出光興産会長]

エネルギーの安定供給には本来、国が責任を持つべきです。例えば、採算が合わない過疎地のガソリンスタンドには、国が補助金を出すなどして他地域と競争できる環境を整えれば、安定供給は守れます。

私は、日本は地熱発電をもっと導入すべきだと考えています。地熱発電は、太陽電池や風力発電などとは異なり、発電量が変動しません。しかも、火山大国の日本には、地熱発電の潜在力がある。日本には2300万キロワットの地熱資源があると言われ、これはインドネシアと米国に次ぐ、世界第3位の規模なのです。2300万キロワットといえば、原発23基分に相当します。

地熱発電の適地の大半は、国立公園の中にあります。また、周辺の温泉地の反対に遭い、断念した計画も多い。この10年で、地熱発電は1基も新設されていません。ですが、事業環境が整備できれば、地熱で多くの電力を得られる可能性があるのです。

実は、出光興産では大分県に1カ所、地熱発電所を持っています。それをもっと増やしたい。環境整備にリーダーシップを発揮し、発電事業を拡大したいと考えています。


● 2011.06.20
 (No.3)<226>情理絡めてアジア攻略
上田 準二(うえだ・じゅんじ)氏
[ファミリーマート社長]

今、中国では598店のファミリーマートを展開していますが、それを2020年度には8000店体制にします。この時期には日本を含めたグローバルで4万店体制になっているでしょう。そのうち2万9000店は海外です。

今年度内にインドネシアに出店する計画です。実は1年半前からFS(事業化調査)を続けてきました。この国の市場は有望です。人口は2億人を超え、国民の平均年齢は27歳前後と非常に若い。コンビニになじみやすい世代が莫大な人口の中心を占めているんです。

2009年の小売り全体の市場規模は132兆円前後といいます。そのうちコンビニが占める割合は8兆円程度にすぎません。さらに言えば、大手コンビニ、チェーンストア、百貨店を全部合わせても、まだ小売り全体の市場シェアの2割程度しかないんです。残りの8割のうち大部分は昔ながらの商店、専門店です。こうした店の経営者は高齢化が著しく、もはや存続が難しくなっています。置き換わっていくとすればコンビニでしょう。それが一番、合理的ではないですか。

直営方式で1日15万円程度の売り上げでも採算が合う店舗を6月中に被災地に出します。あらかじめ5坪程度の店舗ユニットを建設しておき、必要な場所にトラックで運んで組み立てます。この方法ならば短期間、低コストで出店できるでしょう。来客数が増えれば、新たにユニットを積み木のようにつなげればいい。

私は当初、被災地の加盟店の方々に謝ろうと思ったんです。「不便をかけました」って。でも加盟店の方々は、私がお詫びの言葉を半分も言わないうちに、「社長とんでもない。店が元に戻ったら心機一転、もっといい店にします」とおっしゃってくれた。私はその言葉を忘れません。


● 2011.06.27 (No.4)<227>
土壌を耕し続け人育てる
山西 健一郎(やまにし・けんいちろう)氏
[三菱電機社長]

日本のモノ作りのレベルは今でも非常に高いと思います。今回の震災で、海外の顧客に迷惑をかけた製造業があったとはいえ、それは日本の製造業が、品質やコスト、納期の面で高い技術を備えていることの証しです。ただ、技術レベルが高いとはいえ、今回の震災で抜けがあることが分かった。

ここは反省し、日本の製造業は以前よりも1段高い安全性、信頼性を構築する必要があるでしょう。先ほどの話とつながりますが、外部に指摘されている問題点を受け入れ、真の原因を追究し改善していくことが重要です。

常に畑を耕し、種をまき、一つひとつの事業を強くする。そのうえでインテグレーションしていくことが重要です。統合化していくことで、新しい事業の種が生まれます。

後は海外ですね。海外売上高比率は現在、33~34%。グローバル化については、まだ弱いと思っています。ここを2013年度以降のできるだけ早いうちに40%に引き上げたい。中国、インド、東南アジア、南米などが有望だと思っています。そのためにも海外を含めた人材育成に力を入れていく必要があります。



🔷 編集後記


この元記事をアメブロに投稿したのは、9年前のことです(2014-01-22 21:29:57)。

読み直してみますと、「こんなことも書いていたのだな」「この個所に関心があったのだな」ということが思い出され、当時の自分の心境に思いを馳せています。

それだけ歳をとったのだと実感しています。

編集長インタビューの記事を読み返してみると、当時の経営者の心意気・信念・余裕・揺るぎない自信といったものが伝わってきます。

月日が経ち、自分だけでなく身の回りにも、環境にも変化があります。

しかし、経営に限らず、物事の本質は変わらないものです。

今回のインタビューの中から興味深い言葉を拾い出してみます。

天坊 昭彦(てんぼう・あきひこ)氏
[石油連盟会長、出光興産会長]


の言葉から。

私は、日本は地熱発電をもっと導入すべきだと考えています。地熱発電は、太陽電池や風力発電などとは異なり、発電量が変動しません。しかも、火山大国の日本には、地熱発電の潜在力がある。

🔴「火山大国の日本には、地熱発電の潜在力がある」

今回のインタビューは、東日本大震災が発生した2011年3月11日から3ヵ月程度経過した時点でのものです。

東電福島第一原子力発電所事故が発生して間もないこともあり、原発には一切触れていません。

原発に代わるものとして、太陽光発電、風力発電、地熱発電などが検討されましたが、一長一短があり期待できるほどの発電量が得られないことが分かり、思うように事業が進んでいません。

原発の再稼働が各地で検討され、一部で認められたケースもあります。

再生可能エネルギーの1つである、地熱発電について調べてみました。

もっと知りたい!エネルギー基本計画④ 再生可能エネルギー(4)豊富な資源をもとに開発が加速する地熱発電

経済産業省 資源エネルギー庁の公式ウェブサイトから (2022-03-23


経済産業省 資源エネルギー庁の公式ウェブサイトから
 (2022-03-23)


経済産業省 資源エネルギー庁の公式ウェブサイトから 
(2022-03-23)


地熱発電の優位点

日本は世界第3位の豊富な地熱資源量を持っており、地熱発電のポテンシャルが非常に高い国です。地熱発電は、CO2排出量がほぼゼロで、持続的に発電が可能な再生可能エネルギー(再エネ)であり、天候などの自然条件に左右されず安定的に発電できる「ベースロード電源」でもあります。また、発電に使用した熱水がハウス栽培などに利用できるなど、地域経済へのメリットもあります。

この解説だけを読むと地熱発電は良い事だらけのように感じます。しかしながら、地熱発電所の建造が一向に進まない、いくつかの理由があります。

地熱発電の課題

地熱が目に見えない地下資源であり、開発にかかるリスクやコストが高いこと、また地熱資源が北海道や東北、九州など火山地帯にかたよって存在しており、適した地域が限られているといった自然的な条件が挙げられます。加えて、地熱を利用することで温泉資源への影響を心配する地元の声があること、また、関連する法令の規制などにより、開発に必要な許認可手続きなどの対応が求められるケースがあるなど、社会的な面での課題もあります。

それでも国は地熱発電事業を推進する計画を立案しました。これは決定事項です。

2050年カーボンニュートラル達成という大きな目標を実現するためには、地熱発電のポテンシャルをもっと生かしていくことが必要です。そこで、2030年には148万kW、つまり現在の2倍以上の導入目標を定め、積極的に導入拡大をはかることが決定されました。

課題が解決され、日本各地で導入が進めば良いのですが……。

日本各地の地熱発電の候補地




1回の投稿ごとに1カ月分にまとめたインタビューの概要を掲載します。

2007年1月8日号からスタートし、2013年7月までの6年7カ月分のバックナンバーだけで79件あります。

途中、数件記事が抜けている個所があります。
データを消失してしまったため現時点では再現できませんが、日経ビジネス電子版では「2011年10月から最新号まで」のバックナンバーが閲覧できるようですので、抜けている個所に該当する部分が見つかれば、追記します。

⭐ 『日経ビジネス』の電子版セット(雑誌+電子版)を「らくらく購読コース」で2022年9月12日号 No.2157 から定期購読をスタートしました。


「日経ビジネス 電子版使い方ガイド」(全24ページ)を見ると
「雑誌『日経ビジネス』のバックナンバーの閲覧について」で、
閲覧できるのは2011年10月から最新号と書かれています。

そのため、2008年8月18日、25日分の記事は確認できません。
しかも紙の雑誌は、はるか昔に処分しています。


『日経ビジネス』の記事を再投稿することにした経緯

再編集して再投稿することにした理由は、次のとおりです。

自分が当時どんな記事に興味があり、どのような考え方をしていたのかを知りたいと思ったからです。

当時の自分を振り返ることで、当時と現在で考え方は変わったか否か、あるいは成長しているかを確認したいと思いました。

記事データは当然古くなっていますが、本質的な部分は必ずあるはずで、しかも普遍性があります。その個所を再度学んでみたかったのです。

さらに言えば、『日経ビジネス』のバックナンバーをご紹介することで、この記事に目を通していただいたあなたに何らかの有益なヒントを提供することができるかもしれない、と考えたからです

「私にとって、noteは大切なアーカイブ(記録保管場所)です。人生の一部と言い換えても良いもの」だからでもあります。
プロフィールから)


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