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【回想録 由美子のいなくなった夏 亡き最愛の妻への想い 第46回】

🔷 「入院」の中の「『がん』が憎い!」の前半を掲載します。🔷

 『由美子のいなくなった夏 亡き最愛の妻への想い』
(ハードカバー 四六版 モノクロ264ページ)
2016年1月25日 発行
著者   藤巻 隆
発行所  ブイツーソリューション

 ✍『由美子のいなくなった夏 亡き最愛の妻への想い』(第46回)✍

「入院」の中の「『がん』が憎い!」の前半を掲載します。

入院

「がん」が憎い 前半

 日本人の三大死因は、「がん」「心臓疾患」「脳疾患」です。ついに「がん」が死因の第一位となりました。「がん」は全身に発症しますが、男性特有の「がん」(前立腺がん)、女性特有の「がん」(乳がん、子宮体がん、子宮頸がん)、男女を問わず発症する「がん」(食道がん、肺がん、胃がん、肝臓がん、すい臓がん、胆管がん、腎臓がん、大腸がん、直腸がん、脳腫瘍、悪性リンパ腫、白血病など)があることはご存じの通りです。


早期発見

 由美子は「乳がん」でした。男性でも稀に発症するそうですが、女性特有の「がん」と言って差し支えないでしょう。乳がんは、早期発見で治る「がん」と言われていますが、この「早期発見」という言葉がクセモノです。

 現在では、マンモグラフィー(乳癌の早期発見のために人の乳房をX線撮影する手法、またそのための乳房X線撮影装置のこと Wikipediaから)を用い、検査することが一般化しています。

 問題はマンモグラフィーの撮像を見て、医師ががんを発見できるかどうかです。ひとえに、医師の知識と経験そして診断能力(判断力)にかかっています。そうした事情で発見できないことも多々あることを理解しておく必要があります。

 他の「がん」と同様、乳がんの治療法には、抗がん剤、放射線、外科手術が主なものです。抗がん剤は副作用が強く、髪が抜け、吐き気が強く、激ヤセすることが特徴的です。抗がん剤は改良が進み、副作用が軽減されているそうです。それでも、強調したいことは、抗がん剤は完治させるための薬ではない、ということです。あくまで延命治療のための薬であることです。

 よく言われることは「五年生存率」です。言葉は悪いですが、患者さんに苦痛を与えて五年間生かすのが目的です。現在の抗がん剤は、がん細胞を攻撃するだけでなく、健康な細胞まで傷つけてしまうため、身体を衰弱させてしまうことが、大きな問題点です。現時点では、がん細胞だけを狙い撃ちすることはできません。今後の研究に期待するしかありません。

 放射線治療は、放射線被曝(ひばく)の問題があります。短期間で何度も放射線を浴びることは危険です。

 外科手術は、乳腺を切除する方法で、米国俳優、ブラッド・ピットの奥さんで女優のアンジェリーナ・ジョリーが受けた手術で、世界的に有名になりました。乳腺を全摘する手術です。乳房を切除することは女性にとって不幸なことです。そこで考えられた乳房温存手術です。

 最近になって、遺伝子治療が行われるようになってきました。身体の中には「がん原遺伝子」と「がん抑制遺伝子」があります。クルマに例えると、「がん原遺伝子」はアクセルに相当し、「がん抑制遺伝子」はブレーキに相当します。何らかの原因で、「がん抑制遺伝子」に傷がつくとブレーキが効きにくくなり、「がん原遺伝子」が優位になり暴走します。遺伝子治療は、「がん原遺伝子」だけを狙い撃ちして治療しようとするものです。副作用が少ないと言われています。ただし、保険が効きません。

(PP.106-108)


➳ 編集後記

第46回は「入院」の中の「『がん』が憎い!」の前半を書きました。

由美子が「がん」に冒されていると知ってから、私は「がん」に関する本を数多く読みました。読んだところで由美子の身体を元に戻すことなどできないのは言うまでもありません。

それでも「がん」と向き合うことは、他人事ひとごとではなく、自分もいつ「がん」に冒されるか分からないからです。もし、がんになったら、どのように対処したら良いのか覚悟しておかなくてはいけないと思いました。



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