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【読書感想】島本理生『夏の裁断』

2018/08/07 初めての作家さん、読了。

島本理生『夏の裁断』

表題作と書き下ろし3篇。書き下ろし3篇は、夏の裁断の続きでして、4篇全てで『夏の裁断』というお話なのかなと思いました。

トラウマを抱えた主人公・千紘の、世界で1番私が不幸感と加虐心を煽るような振る舞いが気持ち悪くて、途中何度もリタイヤしそうになったけど、読み終えた今、何だか私も救われたような気持ちになっています。

人肌によって傷付けられたら、人肌を拒めばいいと思うのだけれど、人肌を求めていってしまう千紘。ただ、人肌を拒まなかったから、想いをぶつけられる人に出会えたのかなと思う。触れられる事を自分と切り離さずに居た千紘は、弱いようで強い。

島本理生さんの小説は初めて読んだ。削がれた短めの文章を、ああではないかこうではないかとあれこれ考察するのだけれど、どれも真実から遠いような気がした。気が付くと自分の恋愛を振り返っていたりして、こういう文学は恐ろしいぞと鳥肌が立った。 

「卸し金で身を削るような献身はもうやめよう」という教授の言葉が頭に響いて離れない。

自分自身で解放してやるしか方法はないんだよな。

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