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戦争を学ぶ

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戦争を学びたい人のためのマガジンです。軍事学のテーマを中心に、戦略、戦術、兵站、戦史などに関する記事を収録します。
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#国際政治学

どうすれば戦禍で犠牲となった文民の数を推計することができるのか

戦争の歴史で文民が軍人から区別され、法的保護の対象と位置付けられるようになったのは比較的…

論文紹介 冷戦終結が世界的な内戦の増加の原因だったわけではない

1991年にソビエト連邦が崩壊し、冷戦構造がなくなったことによって、世界では途上国を中心に内…

どうすれば戦争のエスカレーションを抑制できるのかを考察した先駆的研究War(1977)の…

アメリカの政治学者リチャード・スモーク(Richard Smoke)は歴史上の戦争の過程を分析するこ…

論文紹介 国際法は武力行使の支持態度にどれほど影響を及ぼすのか?

国家が武力行使を選択したとき、人々がそれを支持しているかどうかは、再選を目指す指導者にと…

論文紹介 戦争のエスカレーションから抜け出せない指導者の心理を読み解く

研究者は戦争に関する意思決定過程を考えるとき、その戦争を即座に中断したとしても取り戻せな…

論文紹介 弱者のエスカレーションも戦略として合理性があるかもしれない

国際政治では強者が弱者に対して主導権を握っているというイメージがあります。そのため、ある…

戦争が政治的交渉の延長であることを理論的に分析している論文リスト

プロイセンの軍人カール・フォン・クラウゼヴィッツの理論によれば、戦争は政治的交渉の延長であり、武力の行使という側面だけで理解することができるものではありません。彼は軍事学の研究が戦争を最も有利な態勢で遂行することに終始すべきではなく、戦争を通じて望ましい合意を形成する問題にも目を向ける必要があることを示しました。 これまでにも、この視点の重要性については広く論じられていますが、このメモでは特に国際政治学の領域で戦争の交渉モデルがどのように発達してきたのかを概観してみたいと思

論文紹介 戦況の変化が交戦国の交渉行動に及ぼす影響を分析する

戦争が始まると、交戦国は相互に武力を用いて争いますが、そこでは交渉も進められています。し…

論文紹介 戦争において国家は敵国とどのように外交を進めるのか?

戦争は他の手段をもって行われる政治的交渉の継続であるといわれていますが、実際に交戦国がど…

論文紹介 国際紛争で中途半端に妥協すると再発のリスクが高まる

交戦国の指導者が直面する外交上の難題の一つは、どのような条件の下で戦争を終わらせることが…

メモ なぜスーダンとエチオピアの関係に注意を払うべきなのか?

2023年4月現在、東アフリカのスーダンでは政府軍と即応支援部隊の内戦が展開されているところ…

なぜ現代の内戦は長期化する傾向にあるのか? Neverending Wars(2005)の紹介

内戦は経済発展が遅れた発展途上国で起きやすいことが知られており、研究者も民族や宗教に起因…

戦略理論で降伏の論理を説明したStrategic Surrender(1958)の紹介

1958年、アメリカで将来の戦争で降伏に追い込まれる可能性を視野に入れ、戦略の観点で降伏の利…

感情に囚われる指導者の外交を分析したEmotional Choices(2018)の紹介

政治学では軍事的に劣勢な国家の指導者は、外交交渉により不利な立場を受け入れざるを得なくなると考えられていますが、それは外交交渉が決裂し、戦争状態に移行したときに支払わなければならないコストが、相手国よりも大きくなると予想されるためです。 しかし、現実の世界では軍事的に極めて不利な状態であるにもかかわらず、頑なに譲歩しようとしない指導者も存在します。これは国家の指導者の政策選択を説明する上で「合理的選択アプローチ」に限界があることを示しています。この課題に取り組むために、近年