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戦争を学ぶ

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戦争を学びたい人のためのマガジンです。軍事学のテーマを中心に、戦略、戦術、兵站、戦史などに関する記事を収録します。
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#軍隊

論文紹介 コンピューターがサイバー戦争のすべてではない

サイバー戦(cyber warfare)という概念は安全保障の分野ですっかり定着しましたが、その意味…

論文紹介 指揮統制システムが第三次中東戦争でのイスラエル軍の優位を支えた

1967年に勃発した第三次中東戦争はイスラエルが数的に劣勢であるにもかかわらず、作戦、戦術の…

第二次世界大戦で経済学者クズネッツはどのように米国の産業動員に関わったのか?

1941年に第二次世界大戦に参戦したアメリカ政府は、ドイツ、日本、イタリアに対抗するため、自…

論文紹介 軍事作戦において指揮官が認識すべき情報の意義と限界

マイケル・ハンデル(Michael I. Handel)は軍事学の分野で情報戦に関する業績を数多く残した…

複数国が参加する連合作戦は外交交渉と不可分の関係にある:1943年のカサブランカ会談…

1943年1月14日、フランス領モロッコで開催されたカサブランカ会談は、第二次世界大戦で同盟関…

論文紹介 中東欧に構築されたソ連式の兵站システムの長期的影響

軍事思想を読み解く上で、兵站は二つの側面において重要な意味を持っています。第一に、兵站は…

殺戮や破壊ではなく、精神的な衝撃の軍事的な重要性を強調したThe Human Face of War(2009)の紹介

イギリス陸軍軍人ジム・ストー(Jim Storr)は戦闘における奇襲の意義を改めて確認し、その効果が一般的に想像されているよりも、はるかに大きなものであることを『戦争の人間的側面(The Human Face of War)』(2009)で論じています。20世紀以降に軍事学では機動戦に関する研究が続けられてきましたが、この著作もその流れに位置づけられる研究成果の一つです。 Storr, J. (2009). The human face of war. Bloomsbury

論文紹介 冷戦時代の欧州で軍事バランスはどのように分析されていたのか

冷戦の主要戦域と見なされていたヨーロッパでは、アメリカを中心とする北大西洋条約機構(NATO…

メモ クーデターを警戒する国家の指導者は、軍隊の能力を低下させる傾向にある

非民主的な政治体制の指導者は、合法的な手段で地位を追われることはあまりありませんが、その…

論文紹介 軍隊は次世代のリーダーに学ぶ時間を保証しなければならない

アメリカ陸軍の元軍人ロバート・スケール(Robert H. Sclae)は、アメリカ軍の将来に対して深…

論文紹介 朝鮮戦争とベトナム戦争で米軍が消耗戦を選んだ理由は何か?

消耗戦(attrition warfare)が望ましくないもの、非合理なものと見なされることが多い主な理…

軍事上の必要性と社会の価値観をいかに調和させるか?『市民と軍人』(1985)の紹介

現代の国際社会でアメリカが指導的地位を維持できている要因の一つは、その軍事的能力の優越に…

メモ 時代によって軍事的プロフェッショナリズムの内容は変化していく

近世ヨーロッパにおいて軍人、特に将校の階級は貴族の男性だけに開放されており、金銭で職位が…

古典的な兵站理論から導き出される軍事の洞察はどのようなものか?

軍事学の歴史においてアメリカ海兵隊員ジョージ・ソープ(George C Thorpe)はいち早く兵站の重要性を認識し、その分析を試みた研究者とされています。ソープの著作『理論兵站学(Pure Logistics)』が出版されたのは1917年であり、第一次世界大戦(1914~1918)の教訓が反映される前の時代の業績ですが、現在でも研究者の間では高い評価を受けています。 ソープの軍事理論では、戦略や戦術と支援する基盤的な機能として兵站が位置づけられています。戦術は「戦闘におい