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戦争を学ぶ

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戦争を学びたい人のためのマガジンです。軍事学のテーマを中心に、戦略、戦術、兵站、戦史などに関する記事を収録します。
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#研究

ポスト冷戦の「第四世代戦争論」は現代戦にどのような視座を与えたのか

アメリカの軍事著述家ウィリアム・リンド(William Lind)は戦争様相の変遷に独自の時代区分を…

論文紹介 安全保障学はどのようにして発展を遂げてきたのか?

安全保障学(security studies)とは、対外政策の目的を達成するため、軍事的手段を管理する方…

論文紹介 軍隊は次世代のリーダーに学ぶ時間を保証しなければならない

アメリカ陸軍の元軍人ロバート・スケール(Robert H. Sclae)は、アメリカ軍の将来に対して深…

戦争が政治的交渉の延長であることを理論的に分析している論文リスト

プロイセンの軍人カール・フォン・クラウゼヴィッツの理論によれば、戦争は政治的交渉の延長で…

軍隊の作戦を学ぶ:作戦の段階における決勝・策動・保持行動を中心に

作戦(operations)とは、共通の目的または統一的な課題を伴った戦術行動の連鎖を意味します。…

第一次世界大戦でドイツが英米に送り込んだスパイ:Spies of the Kaiser(2004)の紹介

1909年、イギリス陸軍省に外局として秘密情報局(Secret Service Bureau)が設置されました。…

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現代の陸軍の新しい組織構造を大胆に提案したBreaking the Phalanx(1997)の紹介

1990年代に発表された陸上戦の研究成果の中で、特に注目された著作の一つにアメリカ陸軍軍人ダグラス・マクレガー(Douglas A. Macgregor)が発表した『ファランクスを撃破する(Breaking the Phalanx)』(1997)があります。マクレガーは1991年に湾岸戦争で起きた73イースティングの戦闘(Battle of 73 Easting)で戦車部隊を指揮しており、機動戦に深い理解を持つ専門家です。 彼の『ファランクスを撃破する』は、独自の機動戦の考

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論文紹介 陸上戦力が展開していれば、航空作戦の効果は高まるのか?

20世紀の初頭にイタリアのジュリオ・ドゥーエはいち早く航空戦力の重要性を認識し、独立空軍の…

メモ WEI/WUVで陸上戦闘力を定量的に把握することの難しさ

軍事学では、戦闘において任務を達成する部隊の能力を指して戦闘力といいます。戦闘力は相対的…

クラウゼヴィッツの軍事学に見出されるゲーム理論的な発想

ゲーム理論(game theory)は相互に影響を及ぼし合う状況にある意思決定者がそれぞれの自身の…

地方政治の視点でベトナム戦争の特徴を捉えた War Comes to Long An(1972)の紹介

1945年8月に第二次世界大戦が終結したとき、それまで日本に支配されていた東南アジアのインド…

核の使用を自制させる規範の形成を分析したNuclear Taboo(2007)の紹介

国際政治で核兵器の運用方針を説明する理論を構築するため、研究者は合理的選択アプローチを採…

【シリーズ】基礎から学ぶ軍事学入門(2):軍事学の方法

 この記事は「【シリーズ】基礎から学ぶ軍事学入門(1):軍事学とは何か」の続きになります…

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戦略理論で降伏の論理を説明したStrategic Surrender(1958)の紹介

1958年、アメリカで将来の戦争で降伏に追い込まれる可能性を視野に入れ、戦略の観点で降伏の利害を分析した著作が発表されました。もともとアメリカ空軍の受託研究であったことから、連邦議会では一部の議員がこの研究を問題視する事態になりましたが、結果として、終戦論の先駆的な業績と見なされるようになりました。 その著作がケチケメートの『戦略的降伏:勝利と敗北の政治(Strategic Surrender: The Politics of Victory and Defeat)』と題さ