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地理を学ぶ

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地理に関する記事をこちらにまとめておきます。
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記事一覧

日中戦争で中国が仕掛けた交通基盤の破壊工作にどのような効果があったか?

日中戦争(1937~1945)で中国共産党を率いた毛沢東は、日本軍の脅威に対して遊撃戦として知ら…

論文紹介 地理的要因が勢力均衡に及ぼす影響はどのようなものか?

国際政治の研究では、各国の能力の優劣を判断し、それに基づいて行動を説明する勢力均衡理論(…

メモ 大英帝国の覇権を支えた海底ケーブル

19世紀から20世紀の初頭まで続いたイギリスの覇権国としての地位は、一般的に海上戦力を中心と…

論文紹介 80年代の日本で提案された北方前方防衛態勢はどのような戦略構想だったのか…

1979年12月、ソビエトはアフガニスタンに侵攻し、これを軍事占領したことによって、対米関係を…

論文紹介 1980年代の中東情勢と米軍の対ソ戦略に対するウォルツの考察

1979年9月1日、アメリカ上院外交委員会では中東地域に配備する新しい部隊として即応展開部隊(…

論文紹介 中国の原子力潜水艦の核打撃能力は地理の影響を受ける

核戦略は国家安全保障の目的を達成するために核戦力を準備し、運用する方策を指定する戦略の一…

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論文紹介 米海軍の軍人は80年代にソ連潜水艦にどう対処しようと考えていたのか?

現代の軍事情勢を考える上で核兵器が戦略的な意義を持っていますが、それを運搬する手段として重要なのが原子力潜水艦です。原子力潜水艦は原子炉によって推進できるため、水面に浮上することなく、水面下を長期潜航できます。そのため、核弾頭をつけた潜水艦発射弾道ミサイルを搭載し、水中を哨戒していれば、突発的に敵から核兵器で攻撃され、弾道ミサイルや戦略爆撃機をすべて失ったとしても、最低限の核戦力を手元に残すことができます。 これは潜水艦発射弾道ミサイルを備えた原子力潜水艦が、核戦争が勃発し

メモ 河川と国家の関係をめぐる地理学者と歴史学者の議論から見えてくるもの

19世紀に活躍したドイツの地理学者ラッツェル(Friedrich Ratzel)は政治地理学の先駆者です。…

メモ 「東洋的専制政治」とは何か、なぜ地理と関連するのか?

東洋的専制政治(oriental despotism)とは、ヨーロッパの政治学史で古くから使われてきた政治…

戦間期に米国が検討していた南西諸島の攻略方法とは

日露戦争(1904~1905)で日本がロシアに辛勝を収め、東アジアにおける勢力を大きく拡大したこ…

論文紹介 中国軍の弾道ミサイル攻撃にどこまで対処できるか? シミュレーションによ…

米中対立を理解する上で、中国軍が保有する弾道ミサイルは重要な論点の一つです。中国軍は750…

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戦間期における米国の対日戦構想の変遷を辿る『オレンジ計画』の紹介

アメリカは1941年に第二次世界大戦に参戦し、日本との戦闘を開始する前から、日本との戦争を想…

スペースパワーの時代に古典地政学を読み直すAstropolitik(2001)の紹介

2019年12月、アメリカでは陸軍、海軍、空軍、海兵隊、沿岸警備隊に並ぶ第6の軍種として宇宙軍…

地政学でエアパワーはどのように考察されたのか? セヴァスキー『エアパワーによる勝利』(1942)の紹介

地政学は世界全体を一つの地域として捉え、国家間の政治的相互作用と地理的現象がどのように影響を及ぼし合っているのかを考察する研究領域です。19世紀後半から20世紀前半に発達した古典地政学では、アルフレッド・セイヤー・マハンやハルフォード・マッキンダー、ニコラス・スパイクマンなどの業績が有名ですが、これらはエアパワーが国家間の勢力関係の優劣に及ぼす影響を必ずしも十分に検討していません。アレクサンダー・ド・セヴァスキーは、エアパワーの概念を地政学的分析に取り入れ、いち早くその影響を

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