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ホラクラシー組織で半年働いてわかったこと

昨年11月からアトラエにジョインして半年が経ちました。
今までティール組織やホラクラシー組織のインプットもして頭で理解していましたが、アトラエでは今までの組織との違いを感じました。中に入って実際に業務することで実感したこともあります。そんなアトラエ流のホラクラシー組織で、業務を通してわかったことなど、まだ半年ですが今時点で整理してみました。

ビジョンやバリューの位置付け

どんな組織でもビジョン・ミッション・バリューは原点となり迷った時に立ち返る場所となりますが、ヒエラルキー組織の場合、ビジョンが上段にあり、事業としてのミッションと人の集団としてのバリューが左右にある三角形で表現できると考えています。
ホラクラシー組織の場合、ビジョンやバリューは中心に位置付けられるコアとなり、事業としてのミッションはコアから外側方向に伸びたものとなり円で表現できると考えています。

余談ですが、多角経営している組織の場合、組織で一つのミッションとして言語化が難しいので、ホラクラシー組織と同じ円で表現した方が合うと思います。


マネジメント

ヒエラルキー組織の場合、PDCAでのマネジメントが歴史的にも長く使われていますが、ホラクラシー組織の場合、OODA Loop(ウーダループ)の方が合っています。アトラエでは明確にOODA Loopでマネジメントしている意識ではないのですが、ホラクラシーとOODA Loopがセットになっていると感じています。

OODA Loop(ウーダループ)とは、観察(Observe)- 情勢への適応(Orient)- 意思決定(Decide)- 行動(Act)- ループ(Feedforward / Feedback Loop)によって、健全な意思決定を実現するというものである。
アメリカ全軍やNATO(北太平洋条約機構)加盟国をはじめとする西側各国の軍隊だけでなく中国やロシアを含む世界中の軍隊で採用され、その戦略を大きく転換させた。そして、今ではシリコンバレーをはじめとする欧米のビジネス界でも基本戦略として採用され、アメリカのビジネススクールでも教えられている。

ホラクラシーもOODA Loopも教科書通りではなくアトラエ流ではありますが、いくつかの勘所があります。

1. 情報をオープンに
ホラクラシーは権限委譲され、OODAの場合は意思決定を個人がします。ビジネスの話も組織やチームの話も判断をするには情報が必要で、OODAの観点で判断を規定化していくには、情報格差があっては到底できません。その為、アトラエではslackのDMは原則禁止となっています。それと、判断基準は定量的なもので規定はしておらず定性的に規定しているのもアトラエ流です。そこには、判断プロセスやロジックまで同じにすると多様性が失われてしまうからと僕は思っています。

2. 意思決定の機会をつくる
意思決定の回数が人を成長させると言われており、ホラクラシーは役割にフォーカスすることで、その機会をいろんな人に与えています。その為、いろんなことがサークル化して物事が進みますので、全てを把握することはできなくなります。ヒエラルキー組織でマネージャー経験のある方やトップダウン経営者には非常にストレスな状態になると思います。
僕は、アトラエでは、背中を預けられる仲間でチームを組んでいるので「そこは任せた!」と思いながら自分のタスクに集中しています。それと、誰も管理しないのでセルフマネジメントが必須ですが、追い込まれている時はみんなフォローしてくれます。

3. OKRが推進力となる
個人の目標やそれによる評価とは別にプロジェクトを推進する基準と日々の業務推進のペースづくりとしてOKRが合っています。(OKRがそういうモノですけどね)
アトラエでは3つのサービスチーム全てでOKRを運営しています。僕らのチームでは、チェックインやウィンセッションは日々の運営の中でも大切にしていますし、毎月振り返りを行いチームの改善も続けています。どのチームもチェックインで円陣組んで気持ちを上げて1週間をはじめています。

これらの3点を考えると、ホラクラシー組織を目指すには形態だけでなく「情報の透明性の仕組み」「OODAループによる判断精度向上」「推進力となるOKRの理解・浸透・活用」が大事で、総合的な組織変革が必要になると思います。もちろん今回明記していない評価や報酬、福利厚生やオフィス環境など他の要素も少なからず複合的に絡んできます。


デザイン界隈でもチームでデザインすることが増えている

デザインプロセスでも、宮﨑駿方式、または、新海誠方式(=突出した個がひとりでデザイン)とジョン・ラセター方式(=チームでデザイン)があります。ヒエラルキータイプが宮﨑駿方式で、ホラクラシーがジョン・ラセター方式になると思っています。どちらが優れているではなく、特徴があり良し悪しがあります。

日本では「道」の文化があるので、宮﨑駿方式の方が好まれる傾向がありますし、憧れの存在となることが多いと思います。
一方で、チームでモノづくりするジョン・ラセター方式が話題になっています。それはプロダクトやサービスの多産多死の時代によって、再現性が重要になってきているからだと思います。
デザインツールではFigmaが台頭してますし、エンジニアリング界隈でもモブプログラミングが出てきてますね。

しかし、再現性高くすると安定したパフォーマンスを発揮していきますが、ビックリするような予想を超えることはなくなっていくのではないでしょうか。これを打破するのに「突出した個」がクリエイティビティを発揮して論理では説明できないようなモノを生み出すことで突破が可能になります。ジョン・ラセター方式でも「突出した個」が大事になってくるのだと感じています。特に0→1でサービスづくりするようなフェーズでは必要な人材だと感じています。

このあたりは、先日出版された佐宗邦威さんの「VISION DRIVEN 直感と論理をつなぐ思考法」で整理されています。(非常にインスピレーションを頂きました!)


組織形態が全てではない。

いろいろ書きましたが、ヒエラルキー/ホラクラシーやトップダウン/ボトムアップなど、どちらが良いということではなく、どういう特徴があるのか理解し、自分たちのチームや組織はどういう型が合っているのか。そして、一定の型はありますが100%合うことはないと思いますし、自分もまわりの人も外部環境も変化しますので一度作って完成はありません。そんな中でも自分たちがエンゲージメント高く活き活きと楽しく働けるように常に変化しアジャストし続けることが大事ではないでしょうか。

一番は、組織形態にかかわらず、実現したいビジョンであるWhyを忘れずに、自分たちらしくありビジョン実現の可能性を高める手段としての組織をデザインし続ける。それをリーダーひとりがやるのではなく、チームみんなで頭がちぎれるぐらい考えて、意見を出して議論し、試してみて振り返る。愚直に実行した先にチームみんなが活き活きと楽しく働く場がうまれるのではないでしょうか。


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余談ですが、僕は今「突出した個」はどこからどうやって輩出されるのか。非常に興味があります。特に注目しているのがトヨタの主査制度です。いろいろ調べていますが、核となる情報は見つけられていません。日本の為にも公開してほしいなーと思うこの頃です。

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