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ミックスヴォイスの迷宮[前編〜みんな迷える仔羊]

ヴォーカルトレーナーの竹本です!
本日も音楽ブログをお届けします。

インターネットなどを使い、様々な情報が簡単に手に入る時代になりました。
そこには良いもの正しいものもあれば、良くないもの正しくないものも混ざり合っていて、混沌としています。

世の中に溢れる歌の情報の中でも、もっとも混沌としているのが『ミックスボイス』という言葉ではないでしょうか。
今日はこの『ミックスボイス』というものについて、少し考察していきましょう。


そもそも『ミックスボイス』とはなんなのか?

結論から言ってしまうと、ミックボイスはこれだ!とは“定義”されていません。

この言葉が指し示すものが何かは、統一されていないのです。トレーナーを含め人によって使い方や考え方が様々で、「これがミックスボイスだ!」という“声”もバラバラな状態です。
無理矢理に共通点を見つけ出して解釈すると、「声域を高音域へ拡大していく際に問題になるある音域を如何にスムーズに出せるようにするか」ということを、みんなどうにかしようとしているわけです。

正解がいくつもある状態で、ある意味“正解がない”とも言えます。
ミックスボイスの存在すら怪しくなりますね。


『出口はどこですか?』
そんな風に、レッスンにもミックスボイス迷宮に入り込んで抜け出せなくなった人が、たくさんやってきます。
その誰もが真面目で研究熱心。向上心に溢れた人ばかりです。動画やネットの情報をたくさん調べて、混乱してしまったようです。

決して一人では辿り着けないゴール。

もし迷子になっているのなら、「ミックスボイス、一度忘れてみませんか?」


ボイストレーニングを通じて多くの人の歌や声を“見て聞いて”いると、“ミックスボイスという無敵な剣を手に入れれば全てが解決する”という、そんな単純なものではありません。様々な発声の要素が絡み合っていて、一つ一つその条件をクリアしていかないと、自在に幅広い音域の声を操ることはできません。

クリアしていくと、徐々に先日のブログのような感覚にも気づいていくと思います。
『声域が広がって気づくこと』(2021.9.10)

ミックスボイスが指し示すことが何なのか、真の意味で理解できるようになるためには相当なレベル上げが必要で、“勇者”だけが到達できる領域に行く必要があります。

まずは基礎的なトレーニングに取り組んで、土台を固めることです。呼吸や身体をしっかりと操れるようになること。
これに関しては残念ながら近道はありません。地道な積み重ねが一番の方法です。勇者とは地味で地道なものです(笑)


昔々その昔、このような言葉は持てはやされていませんでした。それでもトレーニングを積んで声域を広げ、みんな自在に声を操れるようになっていきました。
『ミックスボイス』の考え方が唯一無二の方法ではないことを、頭に置いておきましょう。
懐古主義に留まっていてもいけませんね。テクノロジーが発展し情報量が増えた結果、様々な声に対してのアプローチの方法が選択できるようになったことは、とても素晴らしいことです。

柔軟な発想の中にこそ答えがあります!

インターネットの中ではカオス状態な歌の世界。
素晴らしいこととは言え、情報を手に入れる者の真実を見極める力や実力が、試されています。


さてさて、とても1回のブログでは語り尽くせない、この巨大な迷宮のお話。大長編になりそうなので、初めて前後編に分かれます(笑)
後編ではもう少し具体的にクリアすべき条件や着眼点などを考察していきましょう!

それでは次のブログでお会いしましょう!

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