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まっする3Ⅱ 後記


2週間前

今回のまっするは後楽園ホールという大舞台ということもあってか、かなり早くに集まって台本の読み合わせを行うことになった。通例なら、本番3日前に台本が送られてきた時点で一同が道場に集まり、読み合わせをするところから始まるのだが、今回はなんと本番2週間以上前の10月25日に事務所に集まるようスケジューリングされていた。

 この日、出演者である我々DDTサウナ部はリモートサイン会があって、それが終わり次第すぐに向かいます。と、連絡。各種グッズたくさんのご購入ありがとうございました!この場で改めてお礼を言わせてください。

 リモートサイン会も終盤に差し掛かろうという頃、Youtube Liveのコメント欄に坂井さんからのコメントが。


 「まだ実は全く台本が書けていないので、来てもらってもやることがありませんので、こちらには来なくて大丈夫です」

 

 その直後、ご丁寧にスパチャまで送っていただき、後日サウナ部でお礼を言いにいくと


「オンラインで名前を呼んでもらえる嬉しさがわかったよ!!」と、大興奮。後日、DDTサウナ部 公式TシャツのXXLサイズを坂井精機に送ります。アンバサダーに勝手に認定。


 改めてその1週間後に渋谷にあるアベマタワーズで全員集まることに。ここでも、上野さんがトロピカーナのオレンジジュースを飲んでいたので、私が自慢気にワンランク上とされている、トロピカーナWオレンジを見せつけると、「そんな変わらんやろ」とツッコミが。それに反論の意を示しているとまたもや坂井さんが


 「この間のリモートサイン会を目の前で見てるみたいだ!すげえ!」

 さすがは公式アンバサダー。新潟のサウナに売り込みをかけてくれること間違いなし。


 毎回1回目の稽古日で、何をするのか発表される。第一回まっするでは漫才をやってくれ。と伝えられ、第二回まっするでは2.9次元ミュージカルを。第三回でも2.9次元ミュージカルを。そして、今回。第四回ではガチグラップリングを。さすがの坂井さんも気まずそうに、「2.9インテット、つまりクインテットルールでグラップリングをやったりとか…できたりしますかね?」という感じだった。


 

5日前 レコーディング

DDT大田区大会の翌日には必殺技男子と、パイプ椅子男子によるレコーディングがRAM RIDERさんのスタジオで行われた。台本もそこそこできていないのに、先に曲ができてしまうRAMさんの凄さ。その曲のデモがレコーディングの数時間前に完成して、マイクの前に立つと、各々が持てる歌声を振り絞っていく。前日の大田区大会の影響で、みんな喉がガサガサになっていたのはご愛嬌。


 私も自分の声帯の狭さに少しでも抗おうと、コンビニでホットレモンを買ってスタジオ入り。すると、同じ思考を持った人間がここに一人。またしても、上野だ。なんか喉に良さそうという理由だけで、ガブガブ飲んでいると勝俣が、


 「柑橘系より、あたたかいミルクティーが歌う前にはいいんですよ!」


 さすがは元・アイドル。

 次回はRAMさんのスタジオに紅茶花伝がズラリと並ぶに違いない。

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3日前 稽古初日

 レコーディングから2日が経ったその日。結局、稽古は3日前から。

 集合時間を1時間、間違えてしまい早くに道場に到着した猛者が4名。私、勝俣、樋口、翔太。話題は舞海魁星選手のTwitterに登場するSSくんについて。舞海選手のツイートの画像に度々登場するSSくんとは一体何者なのか、よく見ると画像に謎の数字が示されており、それは何を意味しているのか。その時の私の予想は、TDC大会での試合後に突如として会場が暗転し、モニターにはSSくんの姿が。そして、SSくんに脳を乗っ取られてしまった舞海選手は姿を消してしまう。というものだったのだが、勝俣があることに気付く。



 「僕…SSって何の略かわかっちゃったかもしれません。」


 「ズバリ…佐山聡ですよ。」



「た、たしかに、舞海選手と佐山先生は師匠筋に当たるし、SSくんの足は虎柄。手のポーズもめちゃくちゃ意味深だ!!」


稽古場がドッと沸いた。プロレスファン4人寄れば文殊の知恵。解けない謎などない。

まあSSはストロング・スタイルの略だったんですけどね。



 それから1時間遅れでレスラー、スタッフが集まり始め(遅れてはいない、我々が早かっただけだ)急遽坂井さんの誕生日も祝い、私も人生で初めてダイドーの自動販売機で当たってもう1本ゲットできたり(迷わずミルクティーを選びましたよ)と、いいこと尽くしの稽古初日だった。


 合間合間の休憩時間を使い、必殺技男子とパイプ椅子男子に別れて寝技の練習も行う。

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この時、公平を期すために自身のチーム以外の人とは練習をしてはいけないというルールが協定されることに。しかし、後にみなみかわさんとだけはお互いにやってもいいということになり、M-1グランプリ準々決勝に向けて、新ネタを作りに行かないといけない、みなみかわさん。否、スーパーシステマパワーさんがレスラーのスパーリング相手を次々に務めていく。ここでもシステマの呼吸法は大いに発揮されて、極めることはできないものの、痛みを無効化する能力で極められることもなく、驚異のスタミナを発揮していく。システマ最強説が道場に流れる中、MAOがエセ骨法寝技で21秒の秒殺劇を繰り広げ、「MAOめっちゃ強い」と、必殺技男子は固唾を飲まされた。




前日 稽古最終日

 稽古最終日はさすがに連日の試合や業務に稽古で、みんなも疲労の色を見せ始める中、我らが大社長・高木三四郎からオーベルジーヌの差し入れが。ピリッと辛いカレーに追い固形バターを入れて、それをバターライスにかけて食べると、場の士気がグッと上がり、またスパイスの効果か発汗性が高まった稽古場は、暑苦しくも心地良い空間へとなっていった。

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 そんな中、一人だけ口にしない男が。”小劇場最後の大物”今林久弥だ。

 私は瞬時に悟った。今林さんくらい、演技に賭けている人は舞台前日は断食するんだな、と。普段はちょっと面白いおじさんくらいに思っていたが、やはり『まっする』における今林さんの演技力は凄まじく、たまに指導してくれるアドバイスも完全に的を得た為になるものばかりで、若手レスラーの間でも「やっぱりスゴイ人だったんだ」と皆が口々に言っていた。


 我ながら愚問だなと思いながらも、今林さんに食べない理由について聞いてみたところ回答はこうであった。


 「健康診断でガンマGDPの数値がすごく悪くてさ。痩せなきゃいけないから、奥さんが健康なお弁当を毎日作って、それだけ食べてたら健康になるから!家族の為だと思って頑張って!って言われたんだけど…。それだけだと足りないから、実はこっそり他にも食べてたのよ。手作り弁当とカップラーメンとか。帰り道に立ち食いそば食べたり。一向に痩せる気配がないから、それがバレちゃってね〜。めちゃくちゃ怒られたのよ。だから今は本当に炭水化物摂らないようにしてる。」


 さすがはダメンズウォーカー今林久弥!それでこそ大好きな今林さんだ!


 ちなみに運動は何かしているのか聞いたところ、

 「駅から家まで気持ち速めに自転車漕いでる。」とのこと。


 気持ち速めに漕いでも、その分早く家に着くだけだぜ!


 

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 最終日は夜にも高木さんからの差し入れが。しかも本人が直々に運んできてくれる”さんしろUber eats”!ここからダンスの練習などもうひと頑張りして、当日を迎えました。


 

当日

 本編の内容は是非WRESTLE UNIVERSEで見ていただきたく思います。

 こちらをクリックしてもらえたら動画に飛べるようにしておきます。


 みんなで一致団結して作り上げた世界を、多くの人に見ていただけたら幸いです。



 当日の控え室は本当にピリピリしていて、必殺技男子とパイプ椅子男子もほぼ話さない。そこに青木真也選手もいらしてくださって、みんなちょっとずつ質問をしたり、しなかったり。とにかく戦う10人、全員が緊張していました。これは私の考え方なのですが、緊張しない方法はシンプルで、欲を出さなければいいのです。

 勝ちたいと思うから緊張するし、負けていいやと最初から思っていれば緊張はしません。

 活躍したいと思うから緊張するし、俺なんて活躍しなくて当たり前だと思っていれば緊張しません。


 でも闘いって欲が出るから面白いんです。欲がない闘いなんて見てられませんよ。それはグラップリングでも、プロレスでも、小学校のリレーでも同じことだと思います。だからこそ、今回の2.9インテットではその緊張がいい意味でお客さんと共有できれば最高の空間になると思っていました。


 実際、私もめちゃくちゃ緊張していましたし。


 今のこのご時世でお客さんも声を出せない。選手としては声援を送ってもらえない。だからもう少しだけ頑張ることができない。こんなに辛い連鎖があってはいけないと思うんです。プロレスって正直リングがなくたってできるし、工夫次第ではなんとかなるんです。だけど、お客さんの声援だけは他に変えられるものがなくて、絶対的に必要不可欠なんです。

 無観客でのTV SHOWなんかでも、そのカメラの先には何万人もの人が見てくれている!そう信じて闘い続けていますが、多くのレスラーは体力的にも、精神的にも頑張りたくても頑張れないくらい追い込まれている気がしてなりません。


 私も普段はへこたれてたまるかとポジティブ一直線でしたが、先日の大田区での秋山選手との一戦はさすがに堪えてしまって、まっするの時もどんな顔して思切投太郎を見せればいいのかずっと自問自答していましたが、坂井さんのパワーポイントで、ここ数日の気持ちは整理されて、今はとにかく元の日常に戻るその日を生きがいに頑張ろうと思えたんです。


 いつか会場で声が出せる日が来たら、お願いします。全力で応援してください。僕たちも全力で応えます。

 僕たちにはあなたが必要です。




 

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