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マクドナルド モバイルオーダーアプリの利用が拡大する理由

少し前からネット予約サービスが流行しています。電話予約をネット予約に代替したサービスですが、最近は、いままで予約をせずに利用していた飲食店でも利用できるようになっています。その代表例が、マクドナルドのモバイルオーダーアプリです。数日前に初めて利用してみたので、少し整理しました。

モバイルオーダーを利用してみて思ったこと

基本情報をアプリに登録した上で、利用方法はこんな感じです。

1. 利用する店舗を選択
2. 食べたいものを予め注文
3. 食べたい時間になって、利用店舗の近くになったら正式に注文
(テイクアウトか店舗でか、を選択)
4. 決済
5. お店で食べ物を受け取り

1. マクドナルドは家付近で食べることもあれば、会社付近や、買い物先等色々な店舗で食べる可能性があるので、自分の地理情報と連携させた上で、店舗の選択が必要。

2. 自分が食べたいメニューを選択しますが、セットメニューの場合、飲物やサイドメニュー、ハッピーセットのおまけ等を選択しないといけないので、選択回数がやや多い感覚です。

3. 2でメニューを選択した時点では注文は成立せず、適当なタイミングで正式注文が必要。店舗に近すぎるタイミングで成立させると店舗で料理ができるまで待つことになるし、店舗から遠いタイミングだと、お店で注文番号を連呼されてしまう。

5. 待ち時間を極力減らすことが可能。待ち時間は、注文までの待ち時間と、注文後の食べ物の受取までの時間に分かれます。注文までの待ち時間は、ランチ時間だとかなり待つことになりますが、モバイルオーダーを利用することでゼロになります。注文後の食べ物の受取までの時間は、3で適切なタイミングで正式注文をできるかどうかによって程度は変わりますが、普通に並んで注文した場合と比較すると、店舗付近で正式注文することで調理は開始されるので、注文場所から店舗まで移動している時間分は短縮が可能。

ということで、一度利用してみると、もう列に並ぶことには戻れないな、と思った次第。列に並んでいる人たちを横目に、スマートに食べ物を受け取るのも気持ちが良かったりしますw。

マクドナルドにとって、うれしいこと

一方で、このサービスの提供側であるマクドナルドにとって、何がうれしいのか?について。

A. レジ対応向け人件費の減少
B. 顧客数増加による売上拡大
 B-1. 店舗ウォークイン顧客数の増加
 B-2. オペレーションミスによる離脱顧客数の減少
 B-3. 選択率向上による顧客数の増加

A. ランチ時間の顧客の10%がモバイルオーダーを使うと、レジ対応時間が減少します。レジ対応の業務の中身は、スマイル、メニューの把握と伝達、決済ですが、全体の顧客数が同じであると前提を置くと、レジ対応時間は10%減少します。人件費は、アルバイトの人数×時間で計算できますが、レジのアルバイトの人数か時間を減らせます。人件費を減少できる財務メリットもありますが、人口減少による採用難の状況なことを考えると、人員確保のボリューム自体を低下させ、採用難度を一定下げる意味もあると思います。

B-1. モバイルオーダーを利用することで、メニューを注文するために列に並ぶ人数が相対的に少なくなります。列が短くなると列に並んでも良いかな、と考えるウォークインの顧客数が増えるので、元々よりも顧客数が増加する可能性があります。

B-2. 人間がメニューの注文を受け取ると聞き間違いが一定の確率で起きます。私自身、その経験を持つので、そのような経験を持つ人は多いのではないでしょうか。勿論ミスのリカバリはされるのですが、顧客満足度の低下とそれによる顧客の離脱につながる可能性があります。モバイルオーダーはこのリスクを減らします。

B-3. モバイルオーダーを利用することで、待ち時間が圧倒的に減りますが、このメリットを顧客が体感すると、ごはん時にマクドナルドを選択する確率が高まります。日頃ストレスフルな環境下で働いている人等は、ストレスレスに昼ご飯を食べたいと考え、モバイルオーダーでのマクドナルドの想起と、選択の可能性が高まると思います。それは、一顧客当たりの利用頻度が高くなることにつながります。

ということで、モバイルオーダーの導入により、人件費の減少と顧客数の増加による売上拡大が見込めるものと推察されます。

これらのリターンに対して、開発の初期費や維持・運用費、利用促進のためのプロモーション費用を投下して、ネットで利益プラスになっているかどうかなのですが、マクドナルドですから、テストマーケティングをしっかりやって、利益プラスになることは見えた上での施策展開であることでしょう。

モバイルオーダーの利用者数を増加させ施策

ここからは、勝手に、モバイルオーダーの利用者数を増加させるためには、何をすれば良いか?を考えていきたいと思います。

(1)クーポンアプリからのクロス送客
(2)店頭プロモーション
(3)webプロモーション
(4)モバイルオーダーアプリ向け独自インセンティブ
(5)モバイルオーダーアプリ向けCM

(1)元々マクドナルドは、メニューの割引クーポンを展開しています。昔は紙クーポンを配り、新規利用やリピートの頻度向上を図っていました。最近では、スマホアプリでクーポンを出しています。調べてみると、2018年12月時点でダウンロード数が5400万件です(汗。数え方の妙はあると思いますが、すごい数であることには間違いないと思います。勿論僕もアプリをスマホにいれています。アプリを開いてみると、トップ画面の一番上に、モバイルオーダーアプリのバナーが貼られており、ここからアプリのダウンロードに流入していきます。この施策はバナー等の制作料はかかりますが、ほとんどコストがかからず、利用数を増加させていると思います。めちゃめちゃ人を集めているサイトがあれば、そこからのクロス送客が一番効率が良いです。

(2)店頭プロモーションは、マクドナルドのトレー等のスペースで訴求する方法です。よくアルバイト募集や環境対策施策のPR等に利用されていますが、これらでモバイルオーダーの訴求をすることで、利用を促進する手があると思います。食べているその場で、アプリをダウンロードしてもらおうとするので、少し食い合わせは悪いですが、コストがそこまでかからないので、どの程度人を動かせるか、によって、どの程度この施策をやるかが決まっていくと思います。トレーなどの面利用は、他にもコンテンツがあるので、異なるコンテンツのKPIと比較することに難しさはありますが。

(3)投資効率が良くて、施策をコントロールしやすいのが、webプロモーションです。よって、様々な手段別に投資効率を測定して、どのような優先順位付けで、どの程度の金額を、どのwebプロモの手段に投下するかを決めて運用していると思います。実際に、私がtwitterを利用していたらリタゲ広告が出てきたので、結構幅広く取り組んでいるかもしれません。

(4)基本的にサービス利用はベネフィットがあって利用し始めます。モバイルオーダーアプリの場合は、待ち時間の減少がメリットであり、そのベネフィットのために利用し始める人は多いと思いますが、なかなか動きにくい人向けには、価格面でのベネフィットを認識してもらうことも一つの大きな手段です。そういう意味で、限定クーポンを利用できるようにするなどがあると思いますが、新規アプリ利用者に限定することも難しいので、どのような人を動かすために、何のクーポンを限定にするか、が大事だと思います。それにより、逆に利益を過剰に圧迫してしまう可能性もあるためです。

(5)最後はCMです。いま、調べてみると、CMも流れていたみたいですね。どのような地域で流れていたかはわからないのですが、地方でCMを流すのは有りだと思います。前述したように、このアプリによって、アルバイトの人数を減らせる可能性がありますが、地方は採用難度が都心以上に厳しいので、このアプリを利用してもらう意味合いが大きいと思います。また、CMの波代も高くないため、投資をコントロールしやすいです。一部の地域で投資効率を測った上で、より優先度の高い地域だけCMを流す手はありなのではないか、と思いつつ、私としては、(1)や(3)の投資効率が悪化したタイミングでの実施で良いのではないか、と思います。より投資効率が良いだろう(1)や(3)で動く人をCMで動かす必要はないためです。

さくっと調べてみると、(1)は優先度高く運用、(3)は程度はわかりませんが運用中、(5)は実施したことが有り、で、(2)と(4)は不明な状況ですが、感覚としては、モバイルオーダーアプリの利用者数拡大のために、マクドナルドはかなり力を入れて施策を展開しているのではないか、と思いました。

おわりに

ということで、少し長くなりましたが、マクドナルドのモバイルオーダーの取組みについて、幾つかの観点から考えてみました。人員の採用環境が今後も良くなることは考えにくいので、マクドナルドだけでなく、他の会社もモバイルオーダーの利用は高まっていくのではないか、と思います。個人的には、待つことが嫌なので、色々な会社がどんどん導入していくことを期待しております!

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