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劇場版ポケットモンスター みんなの物語

人々が風と共に暮らす街・フウラシティに訪れたサトシ(松本梨香)とピカチュウ(大谷育江)は、伝説のポケモン・ルギアと所縁があり年に一度だけ開催される“風祭り”に参加する。
様々な事情を抱えた人達と出会う中、ロケット団の悪巧みが原因でフラウシティに危険が迫る。
そんなサトシ達の前に、幻のポケモン・ゼラオラが現れるのだが…。
街の危機に立ち向かうサトシと仲間達の姿を通し、他者と手を取り合うことの大切さ・力強さを描いた作品だ。

昨年公開の『キミにきめた!』同様、TVシリーズの時間軸とは異なる並行世界のサトシの冒険
アニメスタート時に小学生であったぼくにとっては、初期エピソードをリメイクした『キミにきめた!』が胸を抉る程にクリーンヒットしたため、昨年のあの感動や懐かしさを求めて今年も劇場へ足を運んだ
が、それがよろしくなかった

監督やキャラデザインの変更、作画の不安定さからくる違和感
副題『みんなの物語』が指し示すように、主役はサトシであってサトシじゃない
スーパーポジティブシンキングで大した揺らぎも見せないサトシは、導き手としての役割を担っているだけ
映画オリジナルキャラの一人一人が、その一人一人に想いを重ねられる観客こそが主人公になり得るのが今作の在り方
そう、この現実を生きるあなたやぼくの世界とポケモンの世界が隣り合わせに感じられる作りとなっていた。

年齢は10歳のままでも熟練トレーナーと化していったTVシリーズとは異なり、初期の技量不足で時には間違えてしまうサトシを、後先考えない真っ直ぐなサトシを、彼の壮大な冒険やガムシャラな勇気をぼくは目にしたかった
劇場2作目に登場したルギアがリブートとも呼べる作品群の2作目に登場するというのも、初期世代の童心をくすぐる要因
ぼくのように、昨年の感動やかつての懐かしさばかりに囚わ過ぎていると物足りなさは否めない

でも、今作がやろうとしていたことは分かる
目的が先行して周囲が見えていない少女
怪我が治っても復帰しない元陸上部の女子高生
姪っ子に見栄を張るため嘘をついてばかりいる中年男性
確かな腕がありながらもコミュ障な研究員
ある事情で周囲から煙たがられている老婆
ポケモンの存在有無を除けば、ぼくらの現実にもいそうな登場人物達
ユーチューバー的な存在がいたり、iPadのようなものがあったり、車社会であったり、どちらかと言えば観客側に寄せた世界観
現実のゲーム内においては御三家ポケモンを揃えるのは一苦労だしライバル以外が手持ちにしていることは稀だけど、劇中では各シリーズの御三家ポケモンが街中にたくさんいる
それはきっと、『みんなの物語』という点に関係している
アニメではサトシが主人公だけど、ゲームではプレイヤーの一人一人が主人公
今作の主要キャラをはじめ誰もがみんな主人公であることを、現実世界でポケモンをプレイしている人≒劇中においてスポットが当たらない人々でもあることを指し示していたのだと思う。

往年の劇場版のような伝説・幻のポケモンありきのド派手バトルなどが終盤の見せ場では無く、災害に近しい状況に陥り人と人・人とポケモンが手を取り合うことを見せ場に持ってきた今作
奇しくも、西日本豪雨で混迷を極める今の日本や日本人に必要なことを、過去や立場など関係無しに手を取り合うことの大切さを描いていたから胸打たれたが、一つの作品として、ポケモン映画として考えてみるとやはり物足りなさは否めない
ポケモンに何を求めているか次第な部分もあるが、作品としてのクオリティは正直低かったと思う

サトシと仲間達の友情や葛藤が与えてくれる勇気はいつだって求めちゃいるが、劇中世界を物理的に現実へ寄せることまで求めちゃいない
草むらがあったり、森の中を歩いたり、子ども達だけで旅したり、10歳でポケモンマスターを目指して旅立ってしまうあの世界観だから、そんな世界観であっても出会いと別れがあったり現実にも通じる大事なことをたくさん描かれているから、ファンタジーとリアリティの調和が取れていた。

多くの人物にスポットが当たるため、物語として積み重なっていくものが少ない
状況ばかりが描かれて、その内面に宿る葛藤描写が希薄
この現実には存在しないポケモンと共存している世界だからこそ、ポケモン映画だからこそ描けることがもっと観たかった
それらを通し、この現実にも共通する大切なことをたくさんたくさん感じさせて欲しかった

端から『キミに決めた!』で感じたモノを手放して臨めば、ある程度楽しめると思います
タイミングがタイミングなため、災害に対して何かしらの行動を起こすキッカケにだってなるかもしれません
そして何より、エンドロール後の新展開に最も度肝を抜かれてしまうはず
なんだかんだ、来年も結局観に行っちゃいそうな気がします。

青春★★
恋 ★
エロ★
サスペンス★★
ファンタジー★★
総合評価:C

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WOWOWシネピック連載、映画boardにて記事執筆。映画サイトへの寄稿・ラジオ・web番組・イベントなどに出演。『GO』『ファイト・クラブ』『男はつらいよ』とウディ・アレン作品がバイブル。お仕事の依頼はこちらまでa.safety.pin.storm@gmail.com
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