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「洗ったお皿は私の心」

今日書くのは、好きな言葉について。20年以上、ずっと心に残るフレーズがあります。

ADOLESCENCE(青春期)

私が言葉や文章を意識するようになったきっかけは、高校時代にある気がします。担任の先生がちょうど私たちのクラスの卒業と同時に定年を迎えるということで、最後の教え子に対してすごく熱心(すぎるくらい)に指導してくれました。うちの学校はクラス替えは一度もなかったので、3年間変わらず同じ先生でした。
その先生が1日も休まず続けていたことが、学級通信の発行。毎日A4、収まりきらない時にはA3サイズのワラ半紙で配られるその通信は、最終的に「ADOLESCENCE(青春期)」というタイトルで、タウンページくらいの厚みに製本されて、生徒1人1人に手渡されました。

普通の連絡事項に加え、時事にまつわることが多く、時には先生の思い出話や、生徒編集号が出たりと多岐にわたる内容の通信でした。親以上に年の離れた先生は、特に戦争についてのお話をよく語ってくれました。
普段は厳しい先生も、試験期間中だけはリラックスしてほしいと、詩などを紹介してくれていたことを思い出します。マザーグース、金子みすゞ、茨城のり子、石川啄木、宮沢賢治等々、先生選りすぐりの文章を教えてくれて、色々と世界が広がりました。

今回好きな言葉として紹介するのは、当時のクラスメイトの言葉。

短歌の授業で

ある暑い夏の日、短歌を作る国語の授業がありました。1時間かけて自分なりの短歌を考える時間。なかなかうまく考えられなくて、自分はこんな言葉を書きました。

「降り注ぐ 陽射し不埒な夏の午後 頭クラクラ まぶたトロトロ」

不埒?? とても変なのですが、「なんとか間に合ったー」と幾分恥ずかしい気持ちで発表を終えました。

物静かなクラスメイトのT君は、自身のエピソードを交えて発表を始めました。

家族と喧嘩して心がむしゃくしゃした時、僕はお皿を洗うようにしています。汚れたお皿を洗って綺麗に拭いて、終わった頃には気分がだいぶ落ち着いているんです。

残念なことに上の句が思い出せないのですが、下の句はこんな風に締めくくられていました。

「洗ったお皿は 私の心」

その句の素晴らしさと、自分のいい加減さとで、心に衝撃が走りました。
そして時は経ち、今では自分はその頃の年齢の倍になってしまいました。でもその時の感動はまだ心の中にあり、自分も心がやさぐれた時はお皿を洗っています。

友人の何気ない言葉が、人生の中で繰り返し出てくることがあります。この言葉もその一つ。これからもずっと心に残る言葉なのでは、と思っています。

今回はでんこラボの #でんこラボ毎週ノート のお題『好きな言葉』に対するnoteです。数ある好きな言葉の中で、高校時代に感動した言葉を取り上げました。

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1982年長野県長野市生まれ。イラストレーター/グラフィックデザイナーとして活動中○ https://www.takumiwonderland.com/ ○オンラインコミュニティ「でんこラボ」所属 ○趣味はバスケットボール/ビール/チーズ/gifアニメーション
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