もし、孔子・老子・釈迦が社長だったら、入社式で何と言うか?

最近読んだ本をきっかけにこんなことを考えてみました。入社式に孔子、老子、釈迦が出席したら、2,500年の時を超えて、これから社会に出る若者に何と言うか?

この三人の中では孔子が一番入社式の講話には向いているように思います。

子曰く、これから大切にしてもらいたことは、「自分の頭で考える」ことと「素直さ」です。

学びて思わざれば、則ち罔(くら)し。思いて学ばざれば、則ち殆(あやう)し。

人や本から学ぶことはとても大切ですが、ただインプットするだけで自分の頭で考えることをしなければ全く意味のないことです。とはいえ、考えたとしても、自分の経験や思考の枠に捉えられていて、人や本から学ばないのもまた危なっかしいことです。

加えて、学んだり考えたりする時に必要なことは「素直さ」「可愛げ」なんです。特に、新入社員には重要です。人に教えてもらう、アドバイスをもらう、お叱りをもらう、仕事を任せてもらう、これらがないと皆さんは成長できないんですね。可愛げのないヤツは、周りの人からこれらの栄養を十分与えてもらえない。逆の立場になったら、わかりますよね。部活の可愛げのない新入生って、その後成長しましたか?どうぞこれから、素直な態度で学び、自分の頭で考える訓練を続けていってください。

老子はおそらく入社式に最も出てこなさそうなタイプの人です。さて何と。

私は理想に近いものとして、「水」と「赤ちゃん」を推してるんですね。上善は水の如し、というのは、日本酒の銘柄でなくて、私の言葉なんです。この二つの共通点は、柔軟・しなやかであること。しかし、いざという時は力強い。世の中では最終的に、強い者や大きい者が勝つわけではないんですね。やわらかでしなやかな者が生き残るんです。固い、頑な、固執はダメなんですね。こうしなくてはいけない!とか、こうするべきだ!とか、何かに固執したり、頑な態度を皆さんにとってほしくはありません。

そして、必要以上に無理しなくていいんです。無理は長続きしませんから。会社なんて、本当にイヤだったらただ辞めればいいだけの話なんですから。お釈迦様なら何と言うか?

入社式で言うことではないと思いますが、私はどうしたら人の苦しみを取り除けるかを研究しています。だから、苦しくなったら、今日の話を思い出していただけたらありがたいです。般若心経という短いお経のなかに、

色即是空 空即是色

とあります。どういうことかって言いますと、我々の身体(色)や心の働きは、空だということです。空というのは空っぽって意味ではないです。言葉で説明しようがないのでは空と名付けていますが、あえて言えば実体がないということです。空の一つの法則は、この世のすべてのものは移ろっていく、変化していくってことなんですね。だから、苦しみも悲しみもずっとその苦しみのまんまってことはないんです。逆に、ずっとうまくいっている、成功し続けるってこともありません。すべては移ろっていく。だから、あなたがいつまでもできない社員であり続けることもないし、ずっとその業務を続けていることもないでしょう。アホな先輩やバカな上司とずっと一緒に働き続けることもありません。なので、できることは、たった一つです。過去を振り返っては後悔し、未来を想像しては不安になるのではなく、「今、ここ」に一所懸命取り組むことなのです。

私は中国古典や仏教の専門家でないので、誤った解釈がございましたら、平にご容赦くださいませ。

参考文献:諸橋轍次『老子孔子釈迦「三聖会談」』講談社学術文庫,1982

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO28867460S8A400C1MM0000/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?