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中国の今の姿は、歴史からでも理解ができる。

 今、香港での人権侵害の事態が進行しておりますが…。私自身としては、来るべき時が来たのだな…という感じです。というのも、中国の歴史的経緯から見ると、こうしたことは起こりうると思ったから。

 まず、本題に入ると…

中国では、二つの政治的アキレスけんが存在する

と思っています。それは、

宗教と民衆の不満

になります。

 これは、歴史上王朝が滅ぶ経緯を見れば一目瞭然。王朝交代のパターンは、この二つしかないからです。例えば、日本人にもなじみの深い三国志。この時代が始まった転換点こそが

黄巾の乱

でしたからね。これは、張角が作った宗教組織が起こした大反乱。民衆の不満と、宗教がリンクすると王朝の崩壊が開始されます。この時は、二つ重なったので長く続いた漢王朝の復活はなりませんでした。

 その後も、この二つのうちの一つが沸点を超えた際に、王朝の滅亡か、滅亡への流れが決定的になっている。余りにも多くて列挙できませんが、とにかく私が中国史をすべて見る限り、これがキモになっています。

 従って、こうした古典を勉強している政治エリートたちは、この二点を注意してみているはずです。あまり報道がないのですが、キリスト教やイスラム教に対しても中国政府は水面下でかなり規制・弾圧をしていると思います。それは宗教結社という組織団体がそのまま、反乱軍の組織として転用されるから。それが最大の理由です。

 ですから、中国において

組織的な活動=反乱への組織化

という警戒心が非常に強いものがある。この点を中国史から見ないと、なぜあそこまで激しく組織化する人物をつぶしにかかるかは理解できないでしょう。

 くだんの人物(あえて伏せておきます)が逮捕されたのも、そうした(中国側からみた)反乱防止のためには避けて通れないとみているから。とは言え、国際的な批判も無視できない。私の推測では、

逮捕することで威嚇・牽制するが、釈放せざるを得ない

という本音では?と思っています。

 こうした状況を見るに、歴史的流れから見ても…

現在の政治体制での寿命はドンドン削られている

ことは間違いありません。政権の担当者がこうした弾圧に傾いた時、不満を解消することはまず、出来ないからです。

 この原理を知っていたと思われる鄧小平辺りまでは、過剰な変化が中国の国家統制を揺るがす、という事に敏感だったと思います。だからこそ彼は、香港の返還を最優先とし、一国二制度という政治的決着にこぎつけた。

 しかし、今の状況下では香港の存在価値は中国という国家から見れば低下した。上海など、代わりが効く状況になっている。その利害だけで判断すれば、香港の在り方というのは格言でいうところの

獅子身中の虫

だったわけです。

 政治統制をしたい中央政府の姿勢に対し、香港だけが中国の主権下で批判的な主張・態度がとれる。これはあらゆる批判をさせたくない現体制では統一・徹底ができないから看過できない。

 弾圧を表面化しても退かなくなったのも、やはり介入される可能性が低いことと、見逃す余裕がなくなったから、という二点があるのでは?と推測。

 西欧に関しても、ある時点までは中国の経済成長に頼る形での利害を優先していたと思っています。ただ、これらの状況に変化が生まれつつあるのも単に

経済成長の余地が無くなり、鈍化してきたから

でしょうね。

 うまみがなくなれば、その分経済的利害から政治的圧力や発言の抑制、といった部分が取り払われていく。何もトランプさんが口火を切ったから、というだけではない。私個人としては、この状況にいずれ至るだろうな…という推測はできていました。

 中国側もそれを知ってか知らずか、諸外国への中国の価値観浸透やシンパづくりといった政治活動をしていた。外交では援助という形での味方づくり。なびかなければ、圧力をかける。こうした外交姿勢も、実は歴史的伝統でもあるのです。

 こうしたところは、歴史からひも解くと非常に実例が多いので省略します。それよりもコレだけの例があるだけに、今後の展開はどうなっていくのか?の方が余程重要です。

 私個人の推測としては、中国の主権を握るのが現体制である限り、こうした弾圧による政権維持、という姿勢は変わらないでしょう。ウイグルの民族浄化と言ってよい弾圧に関しても、過去の政策としては似たような事があった。しかし、現代では情報の伝播というのが全く違います。だから、その時の様に成功するとは限らない。

 この歯止めをきかせるためには、我々からの圧力というのは必要です。効力を持てるかどうか、ではありません。今の中国での政治的価値観は、私たちの(義務は伴いますが)自由と権利を保障される社会とは合わない。どんなに背景や理由があっても、方向性が全くそちらにむいてないのは明白だから。

 私としては中国の古典・文物に関しては愛好しているし敬意もありますが…。人間同様、良しあしというものがある。今の中国は、滅びへの道へ歩んでいるため、その声を上げる必要があるともいえます。でないと、延命を許すことになりますからね…。

いぢょー。

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