風船も人間も、自分の色を貫くのは難しい。

僕の職場（ドラッグストア）では、レジにちっちゃい子が来たときに風船をプレゼントしています。

何の変哲もない風船ですが、これが結構よろこんでいただける。

「やったー、ふうせんもらっちゃったー！」キラキラした笑顔を見ると、それだけで癒し。だから積極的にお渡ししています。

用意している風船の色は『赤』『青』『緑』『オレンジ』『黄色』『ピンク』『白』の７色。これらを箱に入れて「好きなお色をどうぞ」と目の前に差し出すのですが……。

さてここで問題です。

７つの色の中で、ちっちゃい子に人気があるのはどの色でしょうか？

ただし
①おとこの子とおんなの子の比率は５：５とする
②だいたい幼稚園～小学校の子が対象
③結果は僕の職場に限る
とします。

シンキングタイムは３行間です。ではスタート。

チッ。

チッ。

チッ。

ポーン。終了です。

正解は『黄色』と『ピンク』です。この２色が圧倒的人気を誇ります。おとこの子もおんなの子も大好きな色なんですね。

逆にもっとも人気のない色は分かりますか？　シンキングタイムスタート。

チッチッチッポーン。

正解は『白』です。

具体的な人気ランキングは黄色・ピンク>>>>>>>>>>>>赤・青・オレンジ>>>>>>>>>>>>>>>>>緑>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>白です。

白に関しては圧倒的格差があるというレベルではなく、まったく手に取っていただけません。存在していないと同義です。

なので白がどんどん余っていく。そして黄色とピンクは足りない。すぐに在庫切れを起こしてしまう。

風船を注文すると１００個入った袋が届くのですが、各色の封入数は完全ランダム。そのうえ何故か黄色とピンクは封入数が少なく、白が多い。

なんで……？　色によってコストが違うの？（と勝手に想像）

大量の白い風船を見ると、とても可愛そうな気持ちになります。

どうしてこんなにも人気がないのだろう。
色味のない存在には興味を持ってもらえないのだろうか。

人間社会と重なることばかり思い浮かぶ。

僕は何色なんだろう。ちゃんと興味を持たれる色がついているのだろうか。

そんなことを考えながら余りに余った白い風船を袋にまとめ、在庫置き場の奥へしまいこむ。

風船も人間も、自分の色を貫くのは難しい。