見出し画像

【クラッキ】明治安田生命J1 第2節 ガンバ大阪-鹿島アントラーズ レビュー

戦前

鹿島アントラーズ

・現在8位

・前節は柏レイソルに1-2で敗戦

・前節から中12日で迎える

・五輪代表で上田綺世と町田浩樹が不在

・今夏に加入の安西幸輝とブエノは今節の登録が間に合わず欠場

ガンバ大阪

・現在17位

・5月に宮本恒靖前監督を解任して、松波正信監督に交代

・ACLをウズベキスタンの地で戦い、帰国後は9月まで週2試合ペースの連戦が続く

・前節はヴィッセル神戸に1-2で逆転負け

・前節から中2日で迎える

スタメン

画像1

鹿島は前節から3人変更

・センターバックに関川郁万、ボランチに三竿健斗、2列目に和泉竜司を起用

・相馬直樹監督が体調不良により不在。パシェココーチが代理で今節は指揮を執る。

G大阪は前節から6人変更

・センターバックに昌子源を起用。ボランチは倉田秋と山本悠樹のコンビに。

・前線はレアンドロ・ペレイラをトップに、宇佐美貴史と矢島慎也の2シャドー

押し込む鹿島

試合を通じて展開は、鹿島がボールを持って攻め込み、G大阪が守備を固めながら少ないチャンスを狙うというものだった。

G大阪の守備は基本的にハイプレスを志向している。実際、今節も何度か高い位置でプレッシングを仕掛けることでボール奪取に成功し、シュートチャンスまで繋げたシーンもあった。だが、夏場の連戦による体力面の消費を考慮したのか、今節はそれほどプレスの強度を上げずに撤退気味に構えることの方が多く、鹿島としてはそれほどボール保持に苦労した様子は見られなかった。

撤退気味に構えつつも、形さえ整えば前から奪いにいきたいG大阪に対して、鹿島が選択したのはサイドの裏へのロングボール。このスペースにボールを供給してアタッカーたちを走らせることで起点を作り、G大阪を押し下げるのが狙い。押し下げた後はディエゴ・ピトゥカも高い位置で崩しに加わり、G大阪ゴールに迫っていく。こうして、鹿島は得点への可能性を上げていくのと同時に、G大阪をゴールから遠ざけることで失点のリスクも削ることが出来ていた。

ガンバの狙い

鹿島に押し込まれる時間が長くなっていたG大阪。最終ラインに人数を掛けることで大ピンチは免れていたが、ボールを奪っても相手ゴールは遠く、また切り替えの部分で鹿島に上回られていたために、中々前線までボールを繋げず。数少ないボール保持の機会でも、高い位置からプレッシャーを掛けて選択肢を削りにくる鹿島の守備に、満足な形でボールを前進させることが出来ずにいた。

G大阪が攻撃で狙っていたのはサイドからのクロスだ。ボールを持てば素早くサイドに展開してボールを前進させ、クロスにレアンドロ・ペレイラやパトリック含めたアタッカーたちを飛び込ませていく。シンプルではあるものの、個の力を最大限に活かせるだけにワンチャンスでもゴールを奪える可能性のある形である。

この形を狙いたいG大阪にとって苦しかったのはクロッサーになるべきウイングバックとシャドーの選手を守備に回さざるを得ず、高い位置に上げられなかったことだろう。クロスは当然だが、それを上げる選手が必要だ。ただ、今節は鹿島に押し込まれることでクロッサーとして期待されていた選手が自陣深くまで戻って守備をしなければならない状況に追い込まれ、そこから攻撃に参加するには長い距離を走っていかなければならないという、厳しい局面が続くことになってしまっていた。それを避けたいのか、右シャドーの宇佐美は攻め残りをすることもあったのだが、そうすると今度は右サイドの守備が苦しくなり崩壊しかねないという諸刃の剣にもなっていた。

G大阪に主導権がやってきかけたのは、前半の40分過ぎ。ちょうど鹿島が疲労からか、プレッシャーの強度が落ち始めた頃である。ボール保持で余裕が出てきたG大阪はサイドに展開→クロスという流れで何度かシュートチャンスを作り出す。鹿島にとってはこの時間はプレッシャーもスライドも遅れており、かなり危ない局面が続いていたが、結果的にこの時間帯を凌ぎ切れたのは大きかった。

勝負を決めた荒木遼太郎

スコアレスで折り返して後半、その立ち上がりから鹿島はペースを上げていく。前半に比べて増えたのが、ドリブルで仕掛けるプレーと相手の守備ブロックの中にボールを入れていくプレー。相手にボールを奪われるリスクもあるが、よりシュートチャンスを生み出せる可能性の高いプレーを選んでいくことで、鹿島は相手を崩しにかかった。

前半より決定機の数が増えていくものの、中々ゴールを割るまでには至らない鹿島。そんな中で勝負どころと見たのか、両ベンチが動く。G大阪は61分に小野瀬康介と公式戦4試合連続ゴール中のパトリック、鹿島は65分に荒木遼太郎とアルトゥール・カイキを投入。それぞれ攻撃の切り札を入れて、スコアを動かそうとした。

65分~

画像2

結果、攻撃の切り札が活きたのは鹿島の方だった。72分、関川からの縦パスを中央で荒木が受けると、トラップで昌子をかわしてスルーパス。最後は左サイドから抜け出したカイキが1対1を冷静に沈めて、ゴール。鹿島が欲しかった先制点を手にした。

関川の速くて正確な縦パスや、しっかりと裏抜けの動きをしたカイキも褒められるべきだが、このゴールはやはり荒木の凄さが光るものだった。中央の狭いスペースでも苦にせずボールを受けて前を向くことが出来る力、トラップはおそらく本人としては乱れた部分もあるのかもしれないが、結果としてこれがインターセプトを狙った昌子をかわすことにも繋がり、最後はカイキに正確なスルーパスを供給した。鹿島としては荒木がパスを受けたファーストタッチで決まっていたし、逆にG大阪としてはあの位置で昌子がボールを奪いきれなかったことが響いてしまう結果となった。

追いかける形となったG大阪は73分にウェリントン・シウバと一美和成を投入。彼らの個の力で鹿島ゴールに迫るが、守備を崩しきるには至らず。逆に、鹿島はあまり重心を下げることなく、追加点を狙いつつも時間を進めて終わらせていく方向にシフト。結果、2点目は奪えなかったが、押し込まれることもなくタイムアップ。1-0の完封勝利を挙げた鹿島は、順位を暫定6位にまで上げた。

まとめ

1点差の競った展開にはなったが、終わってみればそれほど危なげなく勝ち切ることの出来た試合となった。相手にそれほどチャンスを作らせず、こちらは特に後半もう何点か取れそうなチャンスを作っていた。

こうした試合になったのは、相手にとって有効な選手構成で戦い、相手が嫌がる戦い方を出来たが故のことだろう。サイドの裏を突いて相手を押し込みながらゴールから遠ざけ、素早い切り替えとプレッシャーで相手に自由を与えない。今季は試合によってはあまり効果的とは言えないメンバー構成や戦い方をして勝点を落とした試合もあるだけに、今後も今節のような組み方が相手に出来れば、勝点を積み重ねていけるはずだ。

だが、勝負を決めたのは荒木のワンプレーだということも同時に踏まえておくべきだろう。荒木のプレーは素晴らしいがゆえに、この2年目のアタッカーにかかる負担は段々と重くなっており、彼がいるいないでチームのクオリティが大きく左右される部分も出てきつつある。荒木がいない時にどうやってゴールを奪うのか、彼にどこまで負担を背負わせずにチームとして振る舞えるのか、その部分は今後の鹿島が解決すべき課題になってくると思われる。

ハイライト動画

公式記録

リンク



ここから先は

0字

¥ 200

遠征費とスタグル代に充てるので、恵んでください