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【強い武器を持つこと】ルヴァンカップ PO 第2戦 鹿島アントラーズ-清水エスパルス レビュー

戦前

第1戦
清水エスパルス 0-1 鹿島アントラーズ

第1戦のマッチレビュー

スタメン

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鹿島は第1戦から7人入れ替え
・エヴェラウド、ファン・アラーノ。林尚輝、クォン・スンテが連戦

清水は第1戦から4人入れ替え
・センターバックに鈴木義宜、ボランチに中村慶太、シャドーに片山瑛一、前線にチアゴ・サンタナを起用

清水が仕掛けた罠

最初に試合の主導権を握ったのは清水だった。第1戦から引き続き3バックを採用する清水のコンセプトは、いかに自分たちがリスクを冒さずに相手に無理をさせるか、ということ。そのための動きが攻守に見られた。

まず、攻撃面。攻撃面は左で作って、右に運んで崩すのがテーマ。左サイドの西澤健太や中村から質の高いサイドチェンジを右サイドで高い位置を取るエウシーニョに供給して、彼のクロスに前線3枚が合わせるのが理想形だ。そのために、後ろは3バックを中心にボランチ、左ウイングバックの西澤、キーパーも時には加えて組み立てを行い、出来るだけ相手を自陣深くまで引き込もうとした。鹿島が高い位置でボールを奪うためにプレスに人数を割いてくれれば、それだけ後ろは手薄になるからだ。ただし、自陣での不用意なボールロストは失点に繋がりかねないので、無理はしないのが大前提。組み立てに詰まったと思えば即座に蹴っ飛ばしていたし、そうしたロングボールに対応できるように前線にはサンタナ、片山、ディサロ燦シルヴァーノと空中戦で戦える選手がチョイスされていた。

一方、守備面では鹿島に無理目なパスを出させて、そこを引っかけてカウンターに繋げるのが理想形。鹿島はセンターバックにボランチ1枚かキーパーが加わって3枚で組み立てることが多いが、そこをサンタナ、片山、ディサロの3枚でしっかりと監視。ただ、ここでの目的は高い位置でボールを奪うためでなく、あくまで鹿島のボールホルダーを自由にさせないこと。そのため、プレスを掛けるというよりかはパスコースを削るような振る舞いをしていた。

パスコースが限られてくると、鹿島は当然清水の守備を崩すのに苦労するようになってくる。そうなってくると、鹿島に残された手はエヴェラウドの高さのような強力な個を活かすか、無理やり中央から崩していくかになってくる。そのため、清水は中央に人数を集めてスペースを消していく。そうすればエヴェラウドが競った後のセカンドボールも拾いやすいし、中央に入ってきた縦パスをカットできる可能性も高くなる。鹿島がポゼッションしながら攻撃する際は、かなりポジションを自由に動かして攻撃してくるのも清水にとってみれば織り込み済みだったのだろう。ポジションを自由に動かすということは相手にとっては対応しづらい面もあるが、ボールを奪った時に相手の陣形が崩れている可能性も高くなる、ということになる。清水は鹿島が無理して攻めてくる時こそチャンス、と捉えていたのだ。

鹿島が自滅してくれる可能性を上げ、その機会を待つという清水のやり方は第2戦をアウェイで戦うことを考えれば、2点分の価値を持つアウェイゴールのことを踏まえても実に合理的だしロティーナ監督にとっては十八番の形であった。

罠にはまる鹿島

そんな清水を相手に鹿島は大いに苦労することとなる。理由はいくつかある。まず、守備面だ。守備面で問題だったのはプレスの強度が人数を掛けている割に、あまりに不足していたことだ。後ろの人数を削ってでも前に出ていることを考えれば、鹿島は清水のボールホルダーに激しくプレッシャーを掛けて、相手の選択肢を削り、あわよくばボールを奪わなければならない。ところが、鹿島の守備は清水のボールホルダーを自由にさせすぎていた。

それが顕著に表れたのが21分の失点シーンだ。鹿島は清水の攻撃を一度はね返して、ボールを繋ごうとするも中盤で失ってしまう。ボールを取り返した清水はヴァウド→エウシーニョ→中村→ディサロと繋ぎ、ディサロのスルーパスに抜け出したサンタナが1対1を冷静に沈めた。

このシーン、問題なのはディサロにボールが渡る前までだ。たしかに、サンタナに振り切られた犬飼智也の対応に問題がないとは言えないが、チームの守備面を考えればその前の段階でほぼ詰んでいる。まず、ボールを失った後の土居聖真の寄せが緩く、そしてディサロに付いていながらあっさりとマークを離して、中途半端に前に出ていき相手の攻撃の選択肢を削ることも出来なかった白崎凌兵のポジショニングも問題だ。その結果、レオ・シルバと永戸勝也が慌てて寄せにいくが、完全にタイミングが遅れているのであっさりと剥がされている。この守備の強度が揃わない問題は前線からプレスを仕掛けたいチームとしては、致命的な問題であり、現状だと小泉慶のような一人で何人分もカバーできるような選手が常に求められている状況だ。

また、攻撃面でもなかなか上手くいかなかった。先述したように、鹿島のボール保持は常に監視されており、選択肢が限られている状況だ。今の鹿島はここを強引に繋いででも突破するスタイルではないため、ロングボールを蹴ろうとするのだが、前線で裏に抜けて相手の最終ラインを下げさせようとする選手がいないため、このままだと清水が守備ブロックを作って待ち構えている状況でロングボールを蹴らなければならない。そうなると、いかにエヴェラウドが空中戦に強くても、セカンドボールの回収合戦で勝つのは難しい。しかも、2列目の選手はファン・アラーノがかなり自由に動いていたため、そのバランスを保とうとしたことで、結果的にエヴェラウドが孤立する現象が発生していた。

こうなると、鹿島に残されたのは強引にでも中央突破で攻め込むしかない。ということで、鹿島はディエゴ・ピトゥカにボールを集め、彼のパス出しを起点に攻撃を行っていく。中央では白崎が下がってボールを引き出していたが、清水は中央を固めていて中々相手陣内深くまでボールを運ぶことが出来ず。結局、清水にとってはリスクの少ない守備ブロック外でのボール回しに終始させられていた。

アクシデントからの修正

試合の流れが変わったのは33分だった。鹿島のクロスに対応した鈴木義と中村が味方同士で接触し、試合が一時中断。2人共にプレー続行不可能となり、清水は前半で2枚の交代枠を使うことを余儀なくされた。

37分~

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この中断明けから鹿島の攻め筋は変わり出した。まず、アラーノをトップ下に固定してエヴェラウドの近くに置くことを徹底。さらに、白崎と土居が裏のスペースに走り込み、そこにロングボールを蹴り込むことで徐々に清水の最終ラインを押し下げ、中盤にスペースがある間延びした状況を生み出していった。

45分の同点ゴールはこうした鹿島の変化が引き起こしただけに、狙い通りの得点と言える。福森直也のロングボールを永戸勝也がはね返すと、そのルーズボールに反応したエヴェラウドが競り勝ち、落としたところをアラーノが拾い、最後はループシュートでネットに沈めた。清水にしてみれば、ルーズボールへの反応が遅れた立田悠悟のように、このシーンだけ各々の集中力がエアポケットのように欠けてしまっていただけに、悔やまれる失点だろう。逆に、鹿島はこのゴールで再びリードを奪うことに成功。アラーノの試合後コメントにもあるように、修正が上手く活きた形となった。

ちょうど相手選手が接触して退場しているタイミングで監督から呼ばれて、もうちょっとエヴェラウドの近くでプレーしてほしい。孤立しているからそこに入ったり、その周りで活動してほしいという要望がありました。そのとおりに永戸(勝也)選手がクリアしたボールがうまくエヴェラウドに行って、エヴェラウドは絶対にヘディングで勝つだろうという確信が僕にはあったので、そこで走り込んでいったらしっかりとボールが来ました。
https://www.jleague.jp/match/leaguecup/2021/060613/live/#player

前に出る鹿島と、慌てない清水

後半に入って、鹿島は前線からのプレッシャーを強めていくようになり、前半のように相手に自由にボールを供給させることが減り、徐々に主導権を握るようになっていく。

対して清水も前半ほど上手くはいかなくなったが、それほど慌てていた様子はなかった。前半は失点シーンを除けば守備は安定していたから大きく変える必要がなく、また次の1点を奪えればアウェイゴールの関係上で鹿島が勝ち越すには2点が必要な状況に追い込める。守備を確実に固めながら、鹿島の隙を突いてどこかで1点奪えれば。それが後半の清水のゲームプランだったはずだ。66分にはプレスを強める鹿島の裏を突くべく、ディサロに代えて中山克広を投入。勝負所に向けた下準備を整えていた。

清水の隙を突いた常本佳吾とピトゥカ

だからこそ、71分のエヴェラウドのゴールは清水にとってすれば痛恨以外の何物でもない。鹿島の右サイドからのスローインのシーン、清水の守備陣がボールに寄りすぎた裏に常本佳吾がボールを出すと、そこに走り込んでいたピトゥカのクロスにファーサイドでエヴェラウドが合わせてゲット。鹿島にしてみれば、相手の隙を突いた常本とピトゥカが見事というほかなく、またゴールから遠ざかっていたエヴェラウドに一発が出たのも大きかった。

これで清水は逆転には2点が必要な状況になったが、鹿島はトドメを刺そうと攻勢を緩める気配はなく、前線から圧力を掛け続ける。そのため、試合はオープンな状況となりつつあり、清水もサイドの裏を突いてチャンスを作り出していた。ただ、スコアは動かず。86分に試合をクローズさせるべく、鹿島は杉岡大暉を投入して5バックにシフトして、スペースを消しにかかった。

90分~

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これで守り切った鹿島はタイムアップのホイッスルを聞くことに。2-1、2戦合計3-1で勝利した鹿島は、プライムステージ進出を決めた。

まとめ

鹿島としては勝負所を逃さなかったのが勝因として大きかった。相手の隙を確実に突けたこと、後半になるにつれて修正が効いたこと、ゴールに絡んだアラーノやエヴェラウド、ピトゥカ、常本のように個々が持ち味を発揮したこともプラス材料になるだろう。

清水としては試合の多くの時間帯で自分たちの想定通りに試合を進めながら、一発で相手に突かれてスコアに繋げられてしまっただけに、悔しい敗戦だろう。逆に言えば、鹿島は勝ったとはいえ多くの時間帯で相手に狙い通りのサッカーをされてしまったことにもなる。そのあたりをどう捉えるのかは今後のカギとなっていくはずだ。

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