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霊感は標準装備されてません

「ふ」を[Hu]じゃなくて英語風に[Fu]と唄うようになったのはロカビリーの時代あたりだろうか?少なくともボクが中学生の頃からずっと好きな井上陽水さんはそう唄う。

でもたぶん訃報は[Fufou]とは唄わない。
単純に発しづらいもん。


毎日のように有名な方が亡くなったと報せられる現代では、亡くなったと思しき時間にその人のことがふと気になったという予感や、夢枕に立たれることを望む人は案外多いんだなぁとtwitterのTLを眺めながら感じたんだよね。


これを霊感とするのか直感とするのか第六感とするのか確信を欠いていて、多分もう三ヶ月位はぼんやりと考えている。

例えば「亡くなったおじいちゃんが夢枕に立った」として、それを誰かに告げたとしても「霊感があるんだね」とは言われない。

ゆうきさんには「一時的霊感」というものがあるのかもしれないよと、なるほど一定の説得力はある。

ある人は「霊感」なんてものがそもそもないのだという。
たしか「ここは昔処刑場があった」とか「誰それが無残に殺された、死んだ」そういう情報があって初めて身体に影響が出るのだという理屈だった。

呪いのシステムに似ているな。

例えば関ヶ原の合戦があったところでは、きっと無念に死んだ人がいるのだろうけど今はそこで幽霊が出るという話はあまり聞かれない。徳川幕府が鎮魂に成功したからだという説はいま思いついたのだけれど、誰かすでに使ってる?
他にも霊魂は200年したら昇華すると聞いたこともあるけど、そうすると祀られて神になった日本三大怨霊の魂はずっと縛られたままになってしまってなんだか申し訳ない気もする。
四谷怪談を扱うときにはお祓いをすることになっていて、かなりコマーシャル的な意味もあるんじゃないかな?と勘ぐりもするけど、だからといってお祓いしなくてなにかおきたら怖いという心理は拭い切れないよね。

ボク自身は霊感があるのかどうか分からない。あるのだけれど鈍感なのかもしれないし…ただ高校生の時に住んでいた家では不思議な事が度々あった。


家鳴りとは違う。
襖やドアだけが突然「ガタガタガタ!」と大きな音を立てて揺れるのだ。

昼だろうが夜だろうが、一人でいる時も家族大勢でいるときも。

もちろんしょっちゅうではなくて、時たま思い出したように。
誰も言い出さなかったが、あるとき実は…と話すと全員が体験したという。
ちょうど夕食時で、食卓の隣が仏間だったので「おじいちゃんかもよ」と襖に耳を当てた途端「ガタガタガタ!」と鳴って「ひゃあ!」とその場に腰を抜かしたボクが、あまりにおかしかったのだろう、家族全員が指をさして笑った。


でも家族がボクにそんな悪戯を仕掛ける理由もないし、母親に至っては誰かが玄関を「ただいま」と開けて入ってきたのに誰も帰ってきてないなんて状況を何度も体験したのだそうだ。

丘の上で玄界灘の北風が当たる家だったけど、大工さんが丁寧に作った、父親が一生に一度、初めて建てた我が家だった。

建てて一年や二年でそんな隙間風の入ってくるようなものではないだろうし、一階だろうが二階だろうが関係無かったし、強風が吹いている日ばかりに起きる現象でもなかった。

規則性が見いだせなかった。

そんな不思議な家に3年だけ住んで、ボクは上京してしまったし、たまにできた休みに2日だけ帰ったらそんなに慌ただしいのなら帰ってこなくてもいいと父親に諭されたこともあって、その家にはあまり帰らなくなってしまった。そのうち父親の仕事場が博多に移り、その家は売りに出され今は知らない人が住んでいるから、いまもその現象が起きているのかどうか知りようがない。

これを言うと怪談にはつきものの因果オチになってしまいそうで嫌なんだけど、隣は仏教系の幼稚園で、お墓もあったことはあったんだけどね。

そして上京して最初の先生のアシスタントをしている時にも「助けて」という声を二度聴いた。

川越街道の旧道で。

たったそれだけ。

サンシャイン60は巣鴨プリズン跡だ、鈴ヶ森には刑場があったって知っていて訪ねても何も起きない。

だから一般的に霊感とされてるものは、ボクには備わってないんだろうな。


ただボクには20代で逝った妹や40歳になる前に亡くなった親友がいて、毎年亡くなったその季節が来ると思いだしていたことを何かの偶然かなと感じていたのだけれど…

逆にここ数年はそういうこともなくなっていた事に気づいて、ハッとした。

…忘れかけている…

あんなに繋がっていたいと願っていたのに…


何周忌とか面倒くさいと思っていたけど、忘れないようにするためにはそうやって行事にしていかないといけないんだなぁということがようやく分かってきたんだ。


忘れたくないんやったら忘れんように努力をせんといかんのよ、人っちゅうもんは…あんなに喋っていた方言も、もう忘れかけている…


なんだかさびしくなってきちゃった…





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追記:みなみ先生に関ヶ原に幽霊は出ないの?と尋ねられたので「関ヶ原+幽霊」で検索してみたところ、出るという人もいる事がわかったけど、あんまりメジャーじゃなくない?ということになって、特に変更はしませんでした。

霊感と心霊体験は霊という漢字で繋がってはいるけど、集合の輪の重なった部分があるだけなのかもしれないなぁとぼんやりした疑問もあって。

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