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「密」にならないように、株主総会を書面で決議するには【ひな型】

定時株主総会をスルーしていませんか

ひとりでやっている会社は「株主総会」を省略してしまうことも多いと思いますが、法的には定時株主総会は「毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない」(会社法第296条1項)という決まりになっています。「一定の時期」のところは3か月のことが多いので、つまり、たとえひとりでやっている小さな会社であっても、年度が終わってから3か月以内に、定時株主総会議事録をつくる必要があります。

みなし決議なら集まる必要はない

定時株主総会といっても、ひとり会社や家族経営の会社では、実際に集合するまでもないのが実情かもしれません。リアルに集まって会議しなくても、会社法第319条第1項によれば、みなし決議、つまり「株主総会の開催および決議を省略できる」場合があります。

条文を読んでみましょう。

(株主総会の決議の省略)
会社法第319条第1項
取締役又は株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき株主(当該事項について議決権を行使することができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなす。

ようするに、提案について議決権のある株主の全員が賛成しているんだったら書面(メール)でも決議とみなしていいぞ、という意味のことが書いてありますね。

みなしの決議の場合にも議事録は残します。会議してないのに議事録というのも変ですが、議事録を作成して10年とっておかなければいけないという決まりがあるのです。

「みなし」の場合、一般的な株主総会議事録の書き方とは何か違うのでしょうか? 一般的な議事録は、どこの会議室に、何時に、誰が集まったか、ということからはじまりますが、書面決議の場合はそもそも集まらないですので、少し表現がかわります。

以下のように「決議したとみなしました」みたいな言い方になります。ひな型をつくっておきましたので、参考になさってください。

定時株主総会議事録(みなし)のひな型

         定時株主総会議事録(書面決議)

当社の第〇回定時株主総会に関し、当社の代表取締役○○〇〇は、株主に対して下記の各事項を株主総会の目的事項として提案し、議決権を行使することができる株主の全員から同意の意思表示があったので、株主総会の決議及び株主総会への報告があったものとみなされた。

1 株主及び議決権の状況
   株主総数                    〇〇名
   発行済株式の総数               〇〇〇株
   議決権を行使することができる株主総数      〇〇名
   その議決権数                 〇〇〇個

2 株主総会の目的事項
(1)報告事項
当社の、当期(令和〇〇年〇〇月〇〇日から令和〇〇年〇〇月〇〇日まで)の事業報告書と計算書類及び監査報告については、既にその内容の通知を受けたので株主総会に報告することを要しないこと

(2)決議事項
第1号議案 計算書類承認の件
当社の、当期(令和〇〇年〇〇月〇〇日から令和〇〇年〇〇月〇〇日まで)の以下の計算書類を承認すること
 ①貸借対照表
 ②損益計算書
 ③株主資本等変動計算書
 ④個別注記表

第2号議案 取締役〇名選任の件
現在の取締役〇名全員が任期満了となり退任するので、新たに取締役として下記の者の選任すること
 取締役 〇〇〇〇
 取締役 〇〇〇〇
第3号議案 取締役の報酬額決定の件
以下の通り取締役〇名に対する報酬総額を年☓☓☓☓万円(使用人兼取締役の使用人としての給与はこれに含まない)とすること

3 株主総会の決議があったものとみなされた日
令和〇〇年〇〇月〇〇日  
以上のとおり、株主総会の決議及び報告があったものとみなれた。

   本議事録の作成にかかる職務を行った取締役
   株式会社〇〇〇〇 代表取締役 〇〇〇〇  印

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