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繕い繋ぐリメイクのこと

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直し繕う仕事のこと。ヴィンテージドレスのリメイク、お母様のウェディングドレスのリメイク、廃材リメイク作品など。古き良きものを長く大切に。
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記事一覧

めちゃくちゃいいドレスができた #3行日記

めちゃくちゃいいドレスができた #3行日記

めちゃくちゃいいドレスができた。
それがすべてだと思った。

…というThreadsが、いつもよりちょっとバズった日。

Threadsのドレスの仕立て屋タケチヒロミ (@takechihiromi)

いっしょにワクワクしてくれてありがとう

いっしょにワクワクしてくれてありがとう

何がうれしいってやっぱり、新しくウェディングドレスのリメイクのお問い合わせがあったとき。

もちろん、お仕事をいただけるってことがとってもありがたいし、うれしいんだけど、

まずその前に「次はどんなドレスなんだろう〜」ってワクワクする気持ちがいちばん最初に来る。だって世の中にはひとつとして同じドレスがないんだもん。だから次はどんなドレスが来るのか、う〜ん、楽しみ、早く見てみた〜い! って、子どもみ

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旅するウェディングドレス、チェコへ。

旅するウェディングドレス、チェコへ。

キューバ、チェコ、マルタ島、ロンドン…。

これらはわたしがつくったドレスが旅した場所。それはもはやわたしが旅したとは言えないだろうか。言えないか。

でも気持ちはいっしょに旅するような気持ちで花嫁さまとドレスを送り出している。心をこめてつくったドレスが世界中を旅している。そう考えただけでうれしい。わくわくする。わたしの旅するドレスたち。

旅するドレスドレスをつくる仕事をしているわたしは無類の旅

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こぎんドレスで青森に呼ばれたかも?

こぎんドレスで青森に呼ばれたかも?

「今年はもう5パーセント終わったんだってツイッター(X)で流れてきました!」

そんな知り合いの声にびっくりしていた1月20日、大寒の日。

そうかもう5パーセントたったのか、と思いつつも、まだ5パーセントしかたっていないのに、ともわたしは思っていた。

そう、今年が始まってまだ20日しか経っていないのに、早くも今年の目標がひとつが動き始めた。

年末年始に(手書きの)日記に書いていたわたしの目標

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レースを縫いつけ終わるころには

レースを縫いつけ終わるころには

10月末にインフルエンザにかかってから、なかなか体力が戻らなかった。

熱が下がってからも微熱が続き、頭痛が続いていた。ようやく治ってからも、どうもしゃっきりしないというか、やたらと眠くなったり、疲れやすくなっていた。

そうなってくると人間よろしくない。

自己肯定感がだだ下がり。見なくてもいいSNSを見てしまって、みんながバリバリと仕事をこなしているのを見て意味もなく落ち込んだり、だれもわたし

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繕うこと繋ぐこと、祈りを踊ること。

繕うこと繋ぐこと、祈りを踊ること。

 服をつくるわたしには「つくる責任」がある。

 ドレスのお直しの仕事をしているわたしは、日本各地に伝わる「繕い」の技術を知りたくて、旅をしている。

 秋田に行ったのは、西馬音内盆踊りの「端縫い衣装」をみるためだった。端縫い衣装はその名の通り、家族の着物を再利用したり、小さな端切れを縫い合わせて踊りの衣装にしたものだ。

 町の人たちは、それぞれの衣装の由来をうれしそうに話してくれた。この裂はお

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花々と星々を縫いとめる|お母さまのウェディングドレスのリメイク

花々と星々を縫いとめる|お母さまのウェディングドレスのリメイク

春に手がけたウェディングドレスの物語です。

わたしは神戸でウェディングドレスのリメイクとお仕立ての仕事をしています。最近では、遠方からのお問い合わせも増えてきました。

今回ご連絡をいただいたのは、広島にお住まいの花嫁さま。どんなドレスに出会えるのだろうとワクワクしながら、神戸から広島へドレスをお迎えに行きました。花嫁さまとドレスに会うための、しあわせな日帰り旅です。

お母さまのウェディングド

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あきらめて、あきらめないことにした。

あきらめて、あきらめないことにした。

もうあきらめた。

よりによって大学のテストと、ドレスの仕事の繁忙期が重なっている。

いつも「何でよりによって、こんなに忙しいときに限ってみんないっぺんに重なっちゃうんだろう!」ってずうっと思って生きていたけど、

どうやら「重なる」ものらしい。そう思ってあきらめることにした。

だから全部、どれもあきらめずにやることにした。

あきらめて、あきらめない。何のこっちゃ。

春のうたと、レース遺跡の修復作業

春のうたと、レース遺跡の修復作業

春の繁忙期がやってきて、ずっとアトリエにこもって作業をしている。ドレスのお直しとリメイクの仕事なので、ひたすらコツコツと手を動かす作業がほとんどだ。この季節はいつもそう。

作業中はずっとラジオをかけているので、おかげで「春ソング」にはずいぶんくわしくなった。

娘(16歳)が「春ソングプレイリスト」をつくるというので、いくつかおすすめを教えてあげた。

お気に入りの羊文学からは「マヨイガ」
これ

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流行は進化しながらくりかえす? ドレスのリメイクで感じる時代のうつりかわり

流行は進化しながらくりかえす? ドレスのリメイクで感じる時代のうつりかわり

この記事はメンバーシップ限定記事ですが、ほとんど読めます。(最後、ちょっとした個人的な近況報告のみ限定記事にしています)

さて、わたしはウェディングドレスのお仕立てとリメイクの仕事をしています。最近ではリメイクの仕事が増えてきてうれしいです。

なかでもわたしがとくに大切にしている仕事のひとつが、「お母さまのウェディングドレスのリメイク」です。かつてお母さまが結婚式に着られたウェディングドレスを

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ドレスをつくること、そして書くことについて

ドレスをつくること、そして書くことについて

わたしの本業はウェディングドレスの仕立て屋ですが、今後、文章を書くこともお仕事としてやってみたいと思い、お仕事依頼としてこの記事を書いています。

文藝春秋×noteで開催されたSDGsエッセイコンテスト #未来のためにできること  でグランプリを受賞しました。

文藝春秋1月号にエッセイが掲載されます。

自己紹介わたしは神戸のちいさなアトリエでドレスのお仕立て、リメイクとお直しをしています。

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 ウェディングドレスをリメイクするということ

ウェディングドレスをリメイクするということ

「ほんとうは、あまり変えたくはないんです」
最初に花嫁さまはそうおっしゃった。

お母さまのウェディングドレスをリメイクしてほしいとアトリエにこられた花嫁さまだ。リメイクしてほしいのに変えたくないとは、一体どういうことなんだろう。

ウェディングドレスをリメイクするという仕事わたしは神戸の小さなアトリエで、ウェディングドレスのお仕立てとお直しをしている。最近は環境問題への意識からか、ドレスのお直し

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ただ美しいドレスをつくる #未来のためにできること

ただ美しいドレスをつくる #未来のためにできること

【文藝春秋SDGsエッセイコンテスト#未来のためにできること グランプリ受賞作品】

 わたしが未来のためにできることは、ただ美しいドレスをつくること。

 わたしは神戸のちいさなアトリエで、ウェディングドレスの仕立て屋をしている。最近ではSDGsの影響もあり、お直しやリメイクへの関心が増えてきたように思う。古いヴィンテージドレスをお直しすることもあるし、お母さまのドレスを花嫁さまのためにリメイク

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サステナブルだからリメイクするんじゃなくて「それが素敵だから」と思ってもらえるように。

サステナブルだからリメイクするんじゃなくて「それが素敵だから」と思ってもらえるように。

最近ではサステナブルやエシカル、SDGsの観点から、お洋服のリメイクやお直しのことが少しずつ注目され始めています。

環境省には「サステナブルファッション」のページができていて、そこでも「リペア」という書き方をされていますが、洋服のお直しのことが取り上げられています。

ウェディングドレスのリメイクという仕事わたしはウェディングドレスのリメイクを多く手がけているドレスの仕立て屋です。最近、ヴィンテ

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