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オンライン帰省でも思い出せる近所のおばあちゃんの許す力。

私の実家は三重の田舎にあるのですが、近所に「イオンを創った」ということで有名な現在104歳となる小嶋千鶴子さんのお家があります。一般的にはめちゃくちゃスゴい人なんだと思われますが、私にとってはあくまでも近所のおばあちゃんです。

小嶋千鶴子さんについてはいくつか書籍が出ており、イオンをどのように作り、大きくしてきたのか、具体的に仕事を進める上でもとても参考になることが書いてありますので、お時間ある方は是非。

「弟を日本一にする――」
そういって、巨大流通グループ「イオン株式会社」の創業者・岡田卓也を人として、経営者として育て上げた、小嶋千鶴子。ほとんど外に出てこないため、その存在はあまり知られてはいないが、その類まれなる実力と功績をたたえ、人々は彼女を「人事のレジェンド」とさえ呼ぶ。23歳でイオンの前身・岡田屋呉服店の社長となり、戦後の混乱期を数々の手腕で乗り越え、さらに発展させた。その後、弟・卓也を社長にし、今度は卓也を支えるブレーンとなり、経営人事・戦略人事の専門家として、イオンの基礎を作った。岡田屋呉服店という四日市の家業を、ジャスコという企業に、そしてイオングループという産業にまで育て上げ、いま(2018年現在)も四日市に暮らす。
(Amazon書籍紹介より)

個人的には、「信頼できるかどうかは責任感の広さと深さである」と言う言葉がスキでした。

今回は、そんな素晴らしい本の中身は置いておいて、毎回実家に帰る度に思い返す「申し訳なさ」がぶり返すとともに「感心する」話を書いてみたいと思います。

想像に難くないと思いますが、小嶋家は立派な家です。お金をメチャクチャ掛けた豪勢な家というよりは、大きな木々が沢山植わっている、森林のような自然な感じの家です。そして、しっかりとした塀に囲まれています。

壁はどれくらいでしょうか?高さは2メートルちょっと、長さは全体で50メートルくらいはあるでしょうか。強そうなコンクリートの壁です。

毎回実家に帰る度に見るのですが、ちょうど高さが1メートルあたりの色が変わっています。おそらく建ててから月日も経っているので、全体的にはコケが生えたような緑っぽいような色になっているのですが、その1メートルあたりだけ、なんとなく、削れているというか、白っぽい。

ストリートビューで見ると、こんな感じ。

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ストリートビューで見るとわかりづらいかもしれませんが、よくよく近くで見ると、ブツブツの跡が付いています。しかも大量に。

野球のボールの跡です。

そうなんです、この壁は私の小学校、中学校の時のお友達というか、部活とが終わって帰ってからの練習相手でした。当時、野球少年だった私は、毎日毎日帰宅後にボールで壁当てしていました。時には、ピッチャーのように振りかぶってコースを狙って投げてみたり、時には野手のように走りながら壁からの反射を使って守備練習をしていました。
(念のためですが、硬式ボールではなく軟式ボールです)

10歳前後の私はあまり知惠も働かず、本当に来る日も来る日も壁にボールを投げ続けていました。時には、ミスってボールが壁を越えてしまい、インターホンを押して、「スイマセン~、ボール入ったので取りに行かせてください~!」と何度もお庭に侵入していました。

結果として、壁は今でも上記のような感じです。

当時から20年以上経っても、ストリートビューでキャプチャできるレベルで変色してしまっています。35歳を過ぎて、こみ上げてくる「申し訳なさ」というか、「恥ずかしさ」が極まりない。

今大人になって想うと、なんと世間知らずというか、他人の家の壁に毎日毎日ボールをブツけ、跡が残るまで繰り返し、、、止めさせなかった我が親も親だと思いますが、、、

一方で、「小嶋さん、よく怒らなかったな」、と思うわけです。毎日自分の家の壁に野球のボールをぶつける少年に対して、一度も「コラァ~、止めなさい!」と言ったことも無かったですし、インターホンを鳴らしたときに嫌味を言われたことも無かったです。

今、逆に自分の立場で、家の壁にボールを当て続ける子供がいたときに、同じ行動ができるだろうか?と考えてみると、たぶん、というか、確実に、ムリだと思います。いくらワザと跡を残しているわけではないとわかってはいても、許容するのはちょっと難しい気がします。直接的には怒らないにしても、なんとか止めさせる方向に持って行けないかと思案しているでしょう。

そんなココロの広さ、寛大さ、というか、許し、受入れる力というのは、大人になった今だからこそ本当に尊敬します。怒って躾るのも教育だと思いますし、好きなことを日が暮れても汗だらけになりながらやっている姿を温かく見守るのもまた教育。そして、後者のが、明らかに難しく、忍耐力がいりますよね。

私がプロ野球選手にでもなっていれば、ストーリーとしては完璧だったのですが、。。残念ながら普通のサラリーマン。実家に帰るたびに思い出していたこの話だったのですが、オンライン帰省でも思い出すことができたので、書いてみました。

ケースバイケースかもしれませんが、是非、許す力、寛容な心というのは、見習いたいものです。

では、また来週~。

安藤健@takecando

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