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ロボットに関するアンケート調査:ロボットをどこまで信用できるか?

最近、いくつかロボットに関する意識調査がニュースになっていたので、そのあたりからロボットとはどんなイメージであり、存在なのかということを考えてみたいと思います。

ロボットがピザを配達してきたらセキュリティエリアに入れてしまう

まずはロシアの大手コンピュータセキュリティ会社であるカスペルスキーがベルギーのゲント大学と行った調査。

この調査では2つの実験をしています。1つ目は立ち入り禁止エリアへ物理的にロボットが侵入できるかというテスト。

ビルへの入り口にロボットを配置し、そこを通るスタッフに「一緒に入って良いか」とたずねました。そのエリアは立ち入り禁止区域のため、そこに入るためには、ドアのアクセスリーダーにセキュリティパスを接触させなければいけません。この実験中、スタッフの40%の人はドアを解錠して、ロボットを立ち入り禁止エリアに入れていました。そして、ロボットに有名な宅配ピザ店の箱を持たせてピザの配達員とした場合、スタッフはロボットの役割を受け入れ、その存在や立ち入り禁止エリアに入る理由に疑問を抱きにくくなる傾向が見られた。

2つ目は秘密情報を書き出すというテスト。

パスワードのリセットによく使われる個人情報(生年月日、初めて買った車のメーカー、好きな色など)の入手について調査。ロボットを使用して親しく会話をするために人々を招待すると、参加者のうち1人を除く全員の個人情報を、1分に1つの割合で入手することに成功。

これらの結果から言えるのは、ロボットは愚直に目的を遂行すると思われていて、それ以外に悪いことをするようなことはない。ある意味、気を許してしまう存在であり、ちょっと助けが必要な時もある良い奴なんだと思います。

ロボットに手術されたいか?

そんな良い奴だから、何でも任せられるかと言うと決してそんな存在ではない、というのが次の調査です。

世界最大のエンジニア系の学会でもあるIEEEが行った調査です。

この調査は、9歳以下の子供を持つ米国、英国、インド、中国、ブラジルのミレニアル世代の親たちが、子どもたちのヘルスケアに関して、AIおよび最先端テクノロジーの利用に対する意識について調査したもの。

いくつかある質問の中に、「自分の子供がAI搭載ロボットによる手術を受けるか?」という質問がありました。

結果としては、

英国と米国の親は、あまり賛成ではなく、英国は2018年から6%増加の2019年は51%、米国は2018年から1%増加して2019年は46%という結果。2019年では、米国の親の25%、英国の親の21%は、子どもがこの手術を受けることを「大いに反対」というものでした。

ここから言えるのは、良い奴かもしれないが、命をかかるような一大事を任せられるかとような存在ではない、ということでしょう。

ただし、ここで面白いのは、アジアの親達の回答です。残念ながら日本は調査対象になっていませんが。。。

中国、インドの親は、米国や英国の親と比較すると、圧倒的に「大いに賛成」であり、その傾向は2018年と比較して2019年にはさらに増加。中国は2018年の82%に対して2019年には94%、インドは2018年の78%に対して2019年は86%になっています。

なぜ米国、英国と中国、インドでここまで結果が異なるのか、アンケート対象者の属性なども十分わからないので、詳細なことはわかりませんが、先端技術やロボットに対するイメージそのものが違うのではないのかと思います。

例えば、中国、インドのようなイケイケの国では、先端技術に対する凄さが刷り込まれており、人のスキルよりスゴイというイメージがあるのではないでしょうか?ある意味では、日本におけるちょっと前のAIとかDeep Learningみたいな存在になっているのではないかと思います。人に対する信用が少ないという可能性もありますが。。。

一方、米国、英国といった国では、先端技術の未熟さというものが十分国民に理解されていて、特にリスクの高いことに対しては、そうそう簡単に任せるわけにはいかないというのがあるんだと思います。おそらく、日本で調査が行われていたら、こちらのグループに入るのではないかと思います。

ただし、同じような内容でも聞き方次第では結果が大きく異なるような気がしています。例えば、同じようにAIを使って自動的に縫合をするロボットを使った場合であったとしても、『縫合ロボットを使いますか?』という質問をしたときと、『自動縫合機を使いますか?』と聞いた時では結果が違うのではないでしょうか。

これは先端的なロボットという言葉が持つ、逆の一面として、成熟していない、信頼性がない、万能が故に冗長な状態である、というイメージに対して、×××機という専用機械が持つ成熟し、専用に作り込まれたという印象からくる結果だと思います。

このように国による違い、文化による違いなどはあるかもしれませんが、ロボットという言葉が一般の人に与えるイメージというのは確実にあります。

何をロボットと呼ぶのか、メリット、デメリットを考えて、場合によっても変える必要があるかもしれません。

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