2018年、音楽まわり(02/04追記)

気づいたら6000字を超える超大作になってしまい、自分でも少し戸惑っているのですが、それもそのはずで、年明けからコツコツ書いていたらあっという間に2月なってしまいました。今年はこんな感じのラインナップでお送りします。

①総括的な話(主にSpotifyがすごいなあという話)
②よく聴いたアルバムたち
③よく聴いた曲たち
④よかったライブたち

②③④に関しては、たいして音楽的に中身のあることは書けておらず、どちらかというと「こんなシーンでよく聴いたな」とか「この瞬間にこれ聴いてぐっときたんだよな」みたいな、とても個人的な体験に関するメモみたいな文章なので、お時間に余裕のある方だけお楽しみいただけたらと思います。お時間ない方はこちらにプレイリスト作ってテキトーに曲たちを突っ込んでますので、流し聴きしてみてください。


①総括的な話(主にSpotifyがすごいなあという話)**

昨年の同じ時期に、「これからサブスクはApple vs Spotify」みたいな話をしていましたが、完全にSpotifyに軍配が上がりました。Spotifyすごい。リコメンドの精度がエグい。Amazonのリコメンドとかまじで子供のお遊戯。下で挙げているアーティストの中にも、brad stankとかリコメンドで知ったアーティストがいるほど。他にもコレ とか コレ とか、少し前のリリースからも引っ張ってリコメンドしてくれて、ほんと「お前、わかってんなー!」ていう感じで唸ってしまいました。
Spotifyをお使いの方でまだリコメンドの感動を体験していない方は、今すぐ”Search”タブをタップし、さらに”Discover”をタップし、”Discover Weekly”や”Top recommendations for you”にある曲たちを聴いてみてください。ちなみに、”Discover”の存在を知った友達や知り合いは口々に「もうコレなしの音楽生活には戻れない…」という感想を漏らしています。

ちょっと専門的な話にまで突っ込むと、beipanaさんのこのツイートで知ったんですが、①Spotify上で聴いている人のデータを集めて「これ聴いている人はこれも聴いていますよ」的な協調フィルタリングによるリコメンドだけでなくて、②アーティストが載っているWEBの記事を自然言語処理にかけてそこで使われている単語とか引き合いに出されている他のアーティスト名からアーティストの近さを算出したり、③しまいには曲の音のデジタルデータをニューラルネットワークで解析しにいって、曲そのものの近さを見つけに行くという文脈無視のリコメンドを作成したりしているみたいで。しかもこれで2017年時点の記事なので、今はもっと進化しているんだと思います。

ちなみに僕はこれまで世の中のサービスでリコメンドがしっくりきた経験がなくて、「世の中はAIでリコメンドで良い方向になる!」的な言説には懐疑的な立場でありつつ、「リコメンドさん、あんたどこまでやれるもんなの?」的な気持ちでいろんなサービスに積極的にデータは提供するように心がけていたのですが、まさか自分にとって一番こだわりのある音楽という分野でこんなにドンピシャな体験ができるとは思わなくて、めちゃくちゃ感動しました。

音楽という趣味嗜好が細分化された世界でこのレベルが実現できるなら、他の業界にも同様の革命が起きる可能性は多分にあるのではないかと期待してしまいます。そして、その革命を起こすきっかけは、難しい機械学習的な技術の高度化よりも、どんな情報をインプットとしたらよりよい答えを導き出せるのかという観点のほうが大事そうである、ということをSpotifyは教えてくれたように思います。

「最適化されすぎた情報によるサイロ化」みたいな話題もありますが、それは次のステップの話で、今はまだリコメンドを積極的に楽しんでいいフェーズなのかなと思っています。
なので、Spotifyに追随する形で音楽業界だけでなく、他の業界にもリコメンドによる感動の体験が広がっていく2019年になったらいいなと思っています。

②よく聴いたアルバムたち

総括的に振り返ってみて、量としては洋楽をたくさん聴いていたけれど、一年経って聴き続けていたのは少なかった印象です。あと、「最近どんな音楽きいているの?」と聴かれると、「HIP HOPとかですかね…」みたいな歯切れの悪い回答をしていたのですが、こうやって並べて眺めてみると世間のHIP HOPのイメージとはかけ離れているなと思います。他の言いようがないのでしょうがないのですが。


1. noname - Room 25
2018年ベストアルバム。
とにかく自分の家で、車で、友達の家で、どこでも聴きまくった。「今、ここであのアルバムを流したら気持ちいいだろうな」と思わせられる瞬間がたくさんあった。そして実際、nonameの音楽は空間を少し親密な空気にしてくれる。


**2. GEZAN - Silence Will Speak**
DNA、忘炎、懐かしい未来…Silence Will Speakも本当に良いアルバムだけど、2017年ぐらいからGEZANのライブがえげつなく良くて。間違いなく今一番ライブがかっこいいバンド。2018年のボロフェスタではただEND ROLLを熱唱するだけの人間に成り果てていた。2019年は全感覚祭行きたい

3. rejjie snow - Dear Annie
クールとポップと気怠さと内省と期待とがないまぜになって1曲目から最後まで飽きさせない20曲1時間。Spotifyのnew releaseで見かけてはじめて知って、気づいたら12インチ買ってた。ここ数年で一番きいたHIP HOPのアルバム。終盤のとっておきの見せ場Charlie Brownまできっちり楽しんでほしい名盤。


**4. 中村佳穂 - AINOU**
数年前に前知識なしでライブを観て、観終わったときには目を真っ赤に腫らしていた。この人の音楽は頭で理解するより先に涙ぐませてしまうスイッチがある。「音楽の力を信じる」というとすごく胡散臭さを感じるけれど、中村佳穂を観ていると「うん、そうだよね」っていう気持ちにさせられる。すごい。


**5. Sen Morimoto - Cannonball!**
イリシットツボイさんのツイートからCannonballのMVが流れてきて度肝抜かれた。アルバムが出て、その夏にSummer Sonicと渋谷のワンマンを観にいったけど、ガッチガチのバンド編成でもっかい度肝を抜かれた。nonameもシカゴだし、Sen Morimotoもシカゴ。新しい音がどんどん出てくるシカゴは2019年も注目したい。

6. KID FRESINO - ai qing
2017年のPUNPEEに続いて2018年の最も注目していた国内HIP HOPアルバム。アルバム通してかっこよすぎて、年が明けてワンマンライブいったのだけれど、ライブでのパフォーマンスはまだまだ発展途上という感じで、先輩ラッパーたちのパフォーマンスの安定ぶりが目立った。特に鎮座ドープネスがぶっちぎっていて、場数の違いを見せつけていた。今年は出し惜しみせずにたくさんライブしてほしい。

7. odd eyes - SELF PORTRAIT
「熱波」のMVがとにかく素晴らしくて、待ち焦がれていたアルバム。このインタビューにもあるんだけど、このジャンルの音楽においてそれぞれの楽器、声がすごく聞きやすくて聴き入ってしまう。

8. 七尾旅人 - Stray Dogs
12曲72分の気合い入りまくってるアルバム。前作からもう6年も経っていて驚く。きっと2年前に6号線を一人でドライブしながら聴きまくっていたせい。このご時世に7分とか6分の曲をさらっと聴かせる豪腕がかっこいい。ちなみに、「スロウ・スロウ・トレイン」を台南のホテルでかけてエモくなった瞬間にベッドのカドに右足の小指をぶつけて骨折した。

9. 冬にわかれて - なんにもいらない
1曲目の最初の1音を聴いた瞬間に最高のアルバムだと確信できた。ここ数年、毎年のように寺尾紗穂さんの歌声がリリースされていてすごく嬉しい。あと、ジャンルは真逆だけど、聴かせ方のバランスはodd eyesと通ずるものをまとめて聞き直していて感じた。

10. Brad Stank - Eternal Slowdown
寒くなってきた2018年の暮れにSpotifyからリコメンドされて知ったbrad stank。きっとまだ若いだろうにもはや達観したようなアルバムタイトルでかっこいい。暖炉とか焚き火とか囲みながらズブズブに酔っ払って聴きたい。

11. 青い果実 - AOKAJI
おふざけにしてはクオリティが高すぎる。大真面目にやるにはとっ散らかりまくってる。地元のちょっと悪い先輩についていって一緒に遊んでたら、普段見てた街が別の街に見えてきてワクワクする感じ。毎日暑かった2018年の夏に午前中にかけて1日を起動してた。

12. tofubeats - RUN
自分の周りでは「RUN」派か「RIVER」派か論争が巻き起こった今作。自分は「RIVER」がエンディングテーマに使われている映画「寝ても覚めても」を観る前までは「RUN」派。観たあとは「RIVER」派に改宗するというミーハーぶりでした。寝ても覚めても、東出昌大すらも知らない会社の後輩と飲みにいったときに、映画の概要をプレゼンしたら面白がって観に行ってくれてエンディングロールまで全部良かったっていってくれたのすごく嬉しかった。

13. asuka ando - あまいひとくち
なんでこんなクソ寒い1月にリリースしてるんだ、、という気持ちになったけど、ちょっとあったかくなった春によくドライブしながら聴いてた。
UNITの思い出野郎とEVISBEATSと一緒にやってたリリースパーティでライブいく先々でよく会う友人から結婚の報告とともに奥さんを紹介されたのはいい思い出。


**14. Yo La Tengo - There's a Riot Going On**
Popular Songs以降、結構ぱっとした音の印象だったのが、今作はギャンギャンにフィードバックかけまくっていて、音とか曲の輪郭がなくなっていく感じが気持ち良かった。O-Eastの来日公演もフィードバック鳴らしっぱで退場してかっこよかった。

15. サニーデイ・サービス - the CITY
はじめてサニーデイ・サービスのアルバムを通しで聴けた。ファッキュー連呼してたと思ったら、サマー・シンフォニー級の曲をさらっとぶち込んでくるのもニクい。ラブソング2からジーン・セバーグの流れが好きでドライブしていて夕暮れ時に遭遇するとよくかけていた。

16. 坂口恭平 - アポロン
すごく風通しのよいアルバム。「音楽って風みたいなものだよね」みたいな抽象的でこっ恥ずかしい物言いも、説得力をもってしまう人の歌。またライブ観に行きたい。

17. TENG GANG STARR - ICON
歌詞がガンガン入ってくる。特にサビ。二人の壮絶な生い立ちに対して歌詞の内容が思ったよりポジティブでストレートで青臭くて、ぐっとくる。最近妙に斜めに構えてかっこつけてる感じのラップが多かったから、すごく感動してしまった。Let's Goの掛け声が可愛い。

18. uri gagarn - For
この時代において、ブレない音楽。ライブ観たい。


③よく聴いた曲たち

1. ゆるふわギャング - YUMEGIWA LAST BOY / Strobolights
俺たちの世代にとってはズルすぎるサンプリング選曲。アルバムもかっこよかった。

2. くるり - その線は水平線
好きだった頃のくるりを思い出した。Ver.2もよい。

3. Have a Nice Day! - わたしを離さないで/僕らの時代
2018年もアンセム量産機。とっとと売れやがれコンチキショウ。

4. 崎山蒼志 - 五月雨
Twitterで死ぬほどバズってたYoutubeのライブバージョンの緊張感がみなぎるギリギリの感じが堪らなかった。

5. Jorja Smith - February 3rd
アルバムの中でこの曲が頭抜けて中毒性あった。

6. 井上陽水 - MUSIC PLAY
友達5人で車でSpotifyを使って流行りの音楽イントロドンゲームをしていて、車内で聴いていた5人全員に衝撃が走った1曲。70歳にして新境地。すっからかんの歌詞も最高。


 ④よかったライブたち

1. ロンリー @ペパーランド 8.25
2018年最大の事件はロンリーが活動休止になったこと。ロンリーのいない夏は寂しすぎるから、またふらっと帰ってきて欲しい。

2. Chance the Rapper @Summer Sonic 8.19
ヒーローってなかなか日本人には馴染みのない感覚だと思うんだけれど、チャンスは完全にヒーローだった。
夕暮れのマリンスタジアムでSame DrugsやNo Problemをみんなで合唱している姿を外野席から眺めているだけで胸がいっぱいになった。4曲の新曲もかっこよかったよね。

3. 坂本慎太郎 @Liquidroom 1.17
悲しいディスコ。ライブハウスが宇宙船になって宇宙に漂っているみたいな感覚になった。Linkは観に行った日のセットリスト。

4. KNXWLEDGE @朝霧JAM 10.7
前知識なしでふらっと観に行ったら、オールドスクールとトレンドを絶妙に掛け合わせてくる最高のDJで、来てる友達みんなにLINEして集合させた。特にLauryn HillのDoo WopからTierra WhackのCable Guyへの流れが本当に素晴らしくて、自分にとって一番理想的なDJだった。

5. lostage @ボロフェスタ 10.28
いつぶりか思い出せないほど久しぶりにみたlostageの強度。いろんな出演者たちがフロアやステージ袖で固唾をのんで見守っていたのが印象的だった。

6. バレーボウイズ @ボロフェスタ 10.28
たいてい、フェスのトップバッターってお客さんが閑散としているのが世の常で、ボロフェスタも例に漏れずといったところなのですが、バレーボウイズがはじまってフロアに出てみたら後ろまでお客さんが詰まっていて、その光景に思わず胸が熱くなりました。

7. Snail Mail @朝霧JAM 10.7
前日の東京公演の良くない評判があって、ライブの序盤もちょっと集中力が散漫な感じだったけど、尻上がりによくなっていって、本人ものびのびと気持ちよさそうにライブしていてすごく良かった。声のコケティッシュさに何度も心がざわついた。ベースの男の子の芋っぽさがとてつもなくかわいかった。あと、完全に余談ですが物販で買ったSnail Mailのトレーナーを着て後日代官山らへんを歩いていたら雑誌のストリートスナップデビューしました。Snail Mailすごい。

8. 鶴岡龍 @7th floor 5.3
MISIAのBELIEVEのカバーがたまらんのですよ。機会があればぜひ聴いて欲しい。MISIA紅白出てたし、その勢いでトリビュートアルバムとか作って出してくれないかな。

9. butaji @www 6.30
wwwの喫煙スペースのところで雑にセットされた空間で、少し神経質そうにギターで弾き語っていた姿が焼き付いている。

10. マヘル@上野恩賜公園水上音楽堂 7.10
初夏の夜に缶ビール片手に。PAも証明もなくてリハーサルを覗く感じで。スーツを着た麓健一さんをお見かけできて、もうそれだけで、僕は。


(2019/02/04追記)最後に、新しい音楽との出会い方も2017年ごろから変わってきたなと思っています。以前は「ライブイベントとかフェスの対バンでたまたま見かけて…」とか多かったんですが、最近はもっぱらデジタルに偏っていて、上でも散々紹介したSpotifyのNew ReleaseとDiscover。あとはTwitterのillicit tsuboiさんをはじめとするディープなリスナーの皆様にあやかっています。
逆にここ数年ずっと変わらない情報源は、ボロフェスタの仲間たちとの「最近何聴いてんの?」バナシ。30歳を過ぎて、仕事なんかで交友関係も広がってくると、世の中には孤独なヘビーリスナーって結構たくさんいるんだなっていうことに気づいたので、飲みながら音楽の話ができたり、ふらっとライブハウスに遊びに行ったら友達も観に来てる、みたいな環境は10年以上ボロフェスタに携わっていることの恩恵というか、財産だなといい歳になって実感しております。

以上です。
最後までありがとうございました。
あなたも、私も、2019年も素敵な音楽体験ができますように。
今年はコーチェラに行けるかもしれなくて、今からワクワクしているサタニがお送りしました。
アディオス。

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ちょっと遅れます。
コメント (1)
あのときは、陽水の「ティッティルル」で車が揺れたね。
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