JC論:なぜ20代が入会しないのか[仮説]

海外の青年会議所を訪問するといつも思うことがあります。それは、一つは20代のメンバーが多いこと、一つは女性が多いことです。日本の青年会議所では、男性が多いのは昔からですが、近年どんどん平均年齢が上がってきています。

なぜ20代のメンバーが入会しなくなったのか、理由は色々考えられますが、一つの仮説として若者の嗜好が変化しているのではないか、ということが挙げられます。

例えばこの住友生命の「ビジネスパーソンと“ネットワーク”」アンケート、によれば、1996年に比べると2016年のビジネスパーソンのネットワークの形が変わってきていることがわかります。

具体的には、「社外の異業種の人たち」、というネットワークが減り、「社内の人たち」および「SNSなどインターネットでのみ通じている人たちが増えています。つまり、青年会議所のような「社外の異業種の人たち」とのつながりを求める人が減り、社内とネット上のつながりが重視されているのです。さらに、ネットワークは今のままで十分で、新たにネットワークを広げたい、開拓したい、という人が3分の1に激減しています。

このような嗜好の変化は無視できるものではありません。いくらいいことを青年会議所がやっていても、若者に好まれなければ衰退するしかないからです。

ではなぜこのように嗜好が変化したのか、一つはスマホの普及によりインターネットだけでつながることが非常に容易になったこと、これはほぼ間違い無いと思います。スマホを使えばわざわざ外に出て行かなくても、ビジネスに必要な知識やセミナーも受けられるようになったことも関係しているかもしれません。

もう一つ、社内の人たちとのネットワークを重視する人や、ネットワークを広げたいと思わないという人が、増えているのはなぜでしょうか。一つは以前よりも会社での居心地を重視している人が増えているということが考えられます。会社の居心地の重要な要因が人間関係ですから、ネットワークを自然と重視するわけです。その傾向に合わせて、会社も働きやすい職場づくりを進めていますから、さらに、その傾向は強まり、わざわざ外部とのネットワークを求めて行動しなくなってきます。

ネットワークを広げたいと思わない理由として考えられるのは、ネットワーク自体が面倒という人が増えているということです。住友生命の調査で1996年には、ネットワークを縮小・選択したい人が「ゼロ%」なのに対し、2016年には、20代の8.7%がネットワークを縮小・選択したいと答えています。

このような傾向はJCの入会者を勧誘する上で注意しなければなりません。「外部とのネットワークが築けるよ!」と言ったところで、必要ない、めんどくさい、と思う人が増えているわけで、売り文句として通用しない場合があるのです。

一方で、ちょっと古い資料ですが、若者の社会貢献意識は上がっています。若者の意識にあったアプローチが求められています。


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