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"やっぱ栃木はいちごだよね"を訳せますか

先日、『AI vs. 教科書が読めない子どもたち(新井紀子2018年)』をようやく購入しました。まだ読み進めている途中なので、本書の真意に触れることは出来ませんが、今日は「自然言語処理」というAI技術の発展により同時通訳が可能になるのか?という話について言及したいと思います。 現在、Google翻訳等のあらゆる翻訳ソフトは基本的に英語を主言語としています。そのため、文法構造が似ているスペイン語やフランス語に対する翻訳精度は高いです。しかし、日本語と英語は言語体系が異なるため

マッチョイズムの凡庸さを暴く──押見修造『おかえりアリス』

【連載】生きづらさを乗り越える「大人のためのマンガ入門」 仕事、恋愛、家族、結婚……大人のありきたりでありがちな悩みや生きづらさと向き合い、乗り越えていくためのヒントを探るマンガレビュー連載。月1回程度更新。 ※本記事には性的な記述が含まれていますのでご注意ください 俗悪な「男らしさ」への欲望  21歳のとき、初めてセックスをした。まったく気持ちのよい話ではない。苦手な方は読み飛ばしてほしい。  大学やバイトの飲み会で周囲の男友達が「そういう話」をしているときに、私はグ

自己啓発本の不完全性

先日、哲学者千葉雅也さんと國分功一郎さんの対談本、「言語が消滅する前に」(幻冬舍)を読んだ。その中で、自己啓発本に関する面白い表現があった。 千葉:そう、いわゆる自己啓発本は、中途半端だから駄目なんです。(言語が消滅する前に, p69) 上の千葉さんの言葉に応答するようにして國分さんはこう言う。 國分:自己啓発をピュアな形態で考えていくと、今日のテーマでもある「勉強」というキーワードが浮かび上がってきますね。実際、僕らはよく二人で「いまの時代、勉強が大切だ」と言ってきた