📗覚えれば覚える程、考えなくなる算数

　いろいろな学年の算数の授業で「きまりを見つける」単元の時に、必ず生徒にやらせていることがある。

　「〇●●〇〇●〇●●〇〇●〇・・・のように並んだ碁石の３３番目は白、黒どちらですか？」という問題があったとする。

　多くの生徒は「先生どうやって計算するの？」と公式（計算式）を聞きたがる。

　しかし、「公式」は教えない。

　教えてしまっては最初の大切な「経験」を奪ってしまうことになるからだ。

　算数を「考える教科」から「覚える教科」に格下げすることになるからだ。

　このような場合、生徒たちに、「規則性を見つけたら、片っ端から書いてごらん。」と、はぐらかすことにしている。

　生徒たちは、ぶつぶつ言いながらも、ノートに33個〇や●を書いている。当たり前だが、規則性さえわかれば、答えは必ず出るのだ。そのように解ける問題は、それでいいのだ。

　しかし、書いている本人も、面倒だなという気持ちは必ず起こっているはずだ。
　まだ、上の例の３３番目なら、書く気も起るが、２００番目のように、うんざりする数だった場合、「もっと楽に解けたらいいのに！」と強く思うはずだ。

　そのように、より簡単に解く方法はないのかと、その必要性を感じた時が、公式を教えるタイミングなのだ。

　「必要は発見の母」なので、新しい発見があり、アイデアが浮かんでくる。

　このようなことが「きまりを見つける」問題には、いや算数全般には必要なのだ。

　問題が解けない　＞＞　試行錯誤　＞＞　発見　＞＞　公式化

　一番強力なのは、「自分で公式を発見し、私たち講師の出る幕がないケース」だ。そのようにして得た「公式」は完全に自分のものだ。自由に使いこなすことができる。

　しかし、生徒全員がそのようにできるわけではない。
　そのような場合であっても、試行錯誤させる工程が必要なのだ。そこを通過していれば、「発見」のヒントを上手く与え、公式化につなげることができる。

　大切なのは、「算数を暗記教科にしてしまってはだめだ！」ということだ。

　公式が必要になるのは、「実践的な力をつける段階」だ。入試の問題を解くときは、時間との戦いだ。そのような時、公式を知っているとより早く、正確に解くことができる。

　算数の勉強の入口で「覚える算数」を刷り込まれてしまうと、修正が利きにくい。もし、違った方向で算数の勉強をしている場合は、是非先ほどの順番を試していただきたい。もう一度繰り返すと、

問題が解けない　＞＞　試行錯誤　＞＞　発見　＞＞　公式化

この習慣が付いた生徒は、算数の勉強において「怖いものなし」である。

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