この本を手に取ったのは、著者中島義道氏の著作はハズレなしと知っていたからだ。実際「哲学の教科書」「カントの自我論」「純粋理性批判を噛み砕く」「時間を哲学する」「どうせ死んでしまうのになぜいま死んではいけないのか」など数々の名著に感銘を受けてきた。 不穏なタイトルではあるが本書は副題にもあるとおり「シニアのための哲学入門」である。死は目を背けたくなる問題ではあるが、死なない人間は一人もいないという事実は誰もが理解している。そして死に近づいている人数が圧倒的に多いのがシニア層であ