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文系でもAIを学ぶべき3つの理由②

前回は文系の人こそAIを学ぶべき理由として、

①AIは汎用目的技術であり、ビジネスを営む上で無関係ではいられない
②AIを使う側と使われる側で格差が今後どんどん広がっていく
③テクノロジーとの付き合い方が身につく

という3つの理由を列挙した。(詳しくは以下の記事を参照。)

今回は順にそれぞれの要素を解説していこうと思う。

①AIは汎用目的技術であり、ビジネスを営む上で無関係ではいられない

ここで言う汎用目的技術(General Purpose Technology)とは、様々な産業に応用でき、広く社会や経済に影響を与える技術のことである。人類はいくつかの産業革命を経て飛躍的に生産性を増加させているが、第一次産業革命では蒸気機関が、第二次産業革命では電気や内燃機関が汎用目的技術として用いられた。

そして現代ではコンピュータとインターネットを中心とした第三次産業革命が進行中であり、スマートフォンの普及もあって、人々の情報処理能力は飛躍的に向上した。AIはこの情報ネットワークをインフラとして、大量のデータを処理するために用いられる汎用目的技術と言える。(AIやIoTの登場をもって第4次産業革命と定義することも多い)

汎用目的技術が登場する前と後では産業のあり方が一変する。現在至る所で事業をデジタルに置き換えようとする取り組みであるDX(Ditital Transformation)が進行中であるが、これは言い換えればあらゆる産業をデータとAIを用いて再定義することであり、AIの社会実装はこれから加速度的に進んでいく。(コロナによる社会環境の変化もそれを後押し)

この変化は全ての産業に及ぶ。関係のない業種・業態はちょっと思いつかない・・。だから、今現在どんな仕事をしていても、今はテクノロジーと無縁でも、直接・間接に影響は及ぶと思った方が良い。だからまずAIについて、当事者意識を持とう、ということだ。

下図のように人間は技術革新を通じて自らを苦役から解放してきた。もし今の仕事が「かったるいなー」と思うような仕事なら、喜ばしいことに?AIによって代替される日は近いかもしれない。

技術革新の段階

②AIを使う側と使われる側で格差が今後どんどん広がっていく

とは言え、仕事が自動化されて喜んでばかりはいられない。基本的に企業は高いROIが見込める領域からAI導入に向けた取り組みを行っていくだろう。つまり、AIで置き換えやすく、人件費が高い領域がそのターゲットになりやすい。

AIの仕事の推移

※上記は総務省の平成28年度情報通信白書より抜粋。

上記イメージの通り、機械化可能性が高く、コストの高い領域がAIに置き換わり、一方でAIを導入・普及させるための新たな仕事が創出される。上記は政府作成の資料なので、一見すると仕事の総量は帳尻が合ってトントン、何も問題がないように見えるが、質的側面に留意する必要がある。

この変化が進展したときにより多くの富を得るのは、まずAIによる生産性向上を実現した会社の経営者(正確に言うと株主)である。いち早くAIによる武装を進めることができれば、競合他社より優位に立つこともできるかもしれない。AIは会社のバランスシート上は無形のソフトウェア資産に分類されるだろうから、間接的にその資産を保有する経営者や株主が潤う構図になる。

次に富を得るのは新しく創出される、AIを導入・普及させる仕事に従事する人たちである。それは従業員かもしれないし、外部の知識労働者かもしれない。昨今では大学で人工知能の研究を行ってきた新卒社員に年収数千万円のオファーを出すような例もあるように、これらの仕事に対する需要は高止まりしている。

ただし、不足している人材は必ずしもAIを作ったり研究したりする高度専門人材ばかりではない。むしろ多くの企業でAIをツールとして使いこなし、自社内のDXを推進し課題を解決に導くことのできる人材が下図の通り圧倒的に不足しているという現状がある。

AI人材

※上記はAI白書2020より抜粋。

結局仕事の値段は需要と供給で決まるので、AIを用いてDXを推進できる人材もまた、高いリターンを得られる可能性が高い。そして、この層の中心になるのは自社の業務に精通し、企画力・調整力に優れた文系の人材である(と僕は勝手に思っている)。

その一方で割を食うのは、AI武装に遅れた企業、それから、AIによって仕事が代替されてしまい、相対的に付加価値の低い他の仕事の補完に回らざるを得ない人たちである。もちろん日本の場合は大企業に解雇規制があり、給与も年功序列で守られているケースが多いから、直ちに職を失ったり、給料が下がったりということにはならないかもしれないが、望まない仕事や向いていない仕事に就く必要が生じるかもしれない。(これはこれで一種のコストを支払っていることになる)

いずれにしてもAIを使う側(仕掛ける側)は富む一方、AIによって使われる側(仕掛けられる側)は安泰とは言えなくなる。もちろんこれはマクロの話であって、業種・業態によって差はあるし、そうした変化が起こらない会社もあるだろう。ただ確実に集団で見た場合の両者の差は拡大していく。

さて、ここではいたずらに恐怖心を煽りたいわけではない。ここで言いたいことは、どうせならAIを使って仕掛ける側に回ってはどうか?ということである。AIはどこまで行っても道具なので、その用い方が分かっていれば良いのだ。

例えば、家を建てるときにはどんな家を建てたいか?の構想を練って、職人にお願いして建ててもらうが、この時トンカチやノコギリを自らふるう必要はない。これと一緒で、AIを使ってどんな課題を解決したいか?という企画を練って、必要なリソースを集め、新しい価値をプロデュースする能力を身に付ければ良いのである。

自分の仕事を積極的にAIに代替させ、新たな付加価値を生み出していく。これがこれからの時代の働き方になる。そのためには、「文系だし・・」という心の声は封印して向き合うことにしよう。

③テクノロジーとの付き合い方が身につく

さて、最後にちょっと引いた視点で考えてみたい。それは、僕たちの住む世界は何からできていると言えるだろうか?という問いである。僕の1つの答えは「言語によってできている」である。言語がなければモノや概念を認識することができない。つまり、世界中のあらゆるものは言語によって記述され存在しているのである。

もっと正確に言うと、言語には自然言語と機械語がある。自然言語とは日本語や英語のように文化的な背景をもって成立した人間が普段話す言葉のことであり、機械語とはプログラミング言語のことだ。

今年から小学校で英語とプログラミングが必修となった。社会人においても英語とプログラミングが必須の教養である、などと言われることも多い。これは何故かと言うと、単純に認識できる世界の範囲が広がるからだ。

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認識できる世界が広がれば必然的に認知の総量が増え、新たな視点に気づくことができ、人と違う価値を生み出すことができる。これが言語を学ぶことの本質的な利点であると思う。(英語とプログラミングを学ぶと潰しが効くとか年収が上がるとか、そういう表面的な話ではない。)だから、自分の内的な言語を増加させていくことは大いに意味がある。

とは言え、多くの文系のビジネスパーソンにとってはコードを書いた経験はないと思うし、ゼロから学ぶには時間がかかり過ぎる。(正直に言うと、僕自身もAI関連のプロジェクトを率いるときに自分でコードを書くことはないです。)

そこで、AIを勉強することを通じて、機械語の世界に取りあえず一歩足を踏み入れてみることをオススメしたい。例えば用語とその概念理解に取り組んでみるとか、AI関連のセミナー動画を観てみるとか、そういったことである。昨今だとコーディング不要で使えるAIツールなども増えてきている。こういったものを取りあえず使ってみる、というのもアリだと思う。

これらは英語は話せないけど海外旅行を楽しむ、みたいな感覚と同じだ。海外旅行に行ってうまくコミュニケーションが取れなかったのが悔しくて英語の勉強を始めた経験のある人もいるのではないだろうか?

とりあえず取り組んでみることで発見があったり、意外と興味を持てたり、分からないことを調べたくなったり、というきっかけとなる。そんな感じで機械語の世界に足を踏み入れる時間を増やし、知的好奇心を刺激しながら、少しずつ慣れ親しんでいくところがスタートとなる。

なお、別に取っ掛かりは「AI」でないとダメという訳ではない。富士山に登るのに色んな道があるように、テクノロジーに慣れ親しむことができればぶっちゃけ何から始めても良いと思う。ただ、前2つの理由で述べたように、既に確定した未来が見えているのだから、まずはAIからかじってみれば良いのではないかと思う。

最後に

さて、いかがだっただろうか。文系でもAIを学ぶべき3つの理由。

僕自身も元々はド文系だったので、STEM?自分には縁のない話、と決めつけていたが、ある時からSTEMのど真ん中であるAIを学び始めて、今ではそれを仕事にしている。(やっといて良かった)

これからの時代において、新しく生まれるビジネスは必ずテクノロジーを駆使したものになる。VUCAの時代と言われるように、先が見えない世の中で、普段からテクノロジーと慣れ親しんでおくことは必須だと思うし、新しいことに取り組まないこと自体が大きなリスクになり得る。

一方で、腹を括って新しいことを学び続けることを常態としてしまえば、毎日が発見でおもしろい。自分がそうだったように、文系の皆さんの中には相当数の食わず嫌いな人たち(AIなんて自分には無縁と思っている人たち)がいるのでは・・?という仮説からこの記事を書きました。ここまでお読みくださり、ありがとうございます。

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d.a.t.株式会社代表取締役。データとAIを使ってビジネスを再デザインする事業に取り組んでいます。主にDX、Fintechなどが専門。文系/非エンジニアのビジネスパーソンにとってのテクノロジーとの付き合い方、AIの学び方などについて書きます。
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