【受験ノート】「新世紀エヴァンゲリオン」に較べると、受験勉強は易しい作業

「秘伝独学マニュアル」とタイトルを付けた、武田塾のパレフレツトを、sakuっと、一瞥してみました。

 勉強と云うものは、参考書を使って、独学でするものだと云うのが、武田塾の根本のコンセプトです。だったら、塾に行く必要はないと云う単純明快な結論に、普通は到達するんだと思います。が、武田塾は、フランチャイズ方式で、雨後の筍のように、あちこちに店舗(フランチャイズ方式のビジネスなので、敢えて店舗と言っておきます)を広げました。武田塾では、勉強は教えてません。ぶっちゃけた言い方をすると、教育はしてません。武田塾が実施していることは、管理マネージメントです。教育をせず、管理マネージメントだけで、利益を生み出せると考えた塾長は、まあやはり、教育業界の世界とは異質の才能の持ち主だと言えます。

 塾長は、自分が通っていた予備校の「英単語トレーニングジム」 と言う講座を、パンフレットで紹介しています。スクリーンに、百個程度の英単語が写し出されて、その後、覚える時聞があり、テストをするのだそうです。テストをして、正解率が高い生徒は、帰れますが(おそらく9割くらいの正解率を要求していると推定できます)低い生徒は、その場で、覚え直しです。で、ある一定の高い正答率を出せるまで、その日は帰れないと云う仕組みなんだそうです。この講座を終えた生徒は、センター試験で、40点以上upしたそうです。つまり、つまりセンターの英語が、たとえば120点から、160点まで、はね上がるわけです。どうして、そういう結果が出たのかと云うと、英単語を、ほぼ完壁に覚え込んでいるからです。塾長は、何故、全部の講座を、トレーニングジム方式にしないのかと、思ったそうです。塾長は、この頃、世界史だと、ベーシック世界史、ハイレベル世界史、タテから見る世界史、ヨコから見る世界史、さらにそれぞれに付属する演習問題コースと、とんでもない数の講座を、受講していたそうです。で、どの講座も完壁にせず(こんなにいっぱい取っていたら、したくてもできません)やりっぱなしなので、世界史の偏差値は、ずっと50程度だったそうです。

 沢山、講座を受講しておけば、勉強している気分には、なるのかもしれません。が、それはそういう気分に、なっているだけです。受講している講座数が多くなればなるほど、合格率は下がっている筈ですが、予備校は講座を沢山取ってもらって、儲けるシステムになっているわけですから、そんな風な、知られたら困る真実のデータを、わざわざ公表したりはしません。

 本当に必要だと思われる講座を、精選してひとつか2つ取って、あとは、自習室を利用するために、高い予備校の授業料を払う、まあこれが、正しい、予備校の使い方です。沢山の講座を取って、最後まで振り回されていたら、絶対に合格はできません。

 10冊の参考書を、ひととおり済ませるより、1冊の参考書を10周させて、完壁に仕上げることが大切だと言った風なことも書いてあります。これも、真実です。これが、当てはまらないのは、現代国語の評論、小説の問題だけです。現代国語だけは、反復練習ではなく、次々と違う問題に取り組む必要があります。

 たとえば、英文解釈ですと、我々の受験時代には、「英文標準問題精講」 と言う名著と言われていた参考書がありました(今も、お茶に水の三省堂とかJunk堂には、a little置いてあります)。短い文章も含めて、初期100問題、中期60問、後期60問の合計220問の英文が掲載されていました。私の周囲には、難関国立大に進学した生徒もいましたが、その生徒でさえの後期60問には、手をつけられなかった筈です(私も、後期の60問は手つかずでした)。中国・四国地方の国立大くらいなら、初期100問を、完壁にすれば、充分だと言われていました。ただし、完壁です。一冊の参考書のそれもある一定部分を、完壁にすることの重要性を、我々は、「英文標準問題精講」の学習を通して知りました。

 世界史B、日本史Bの受験勉強の王道は、教科書を完壁にすると云うことに尽きます。難関国立大学の記述式問題であっても、教科書の学習で充分に対応できます。受験のtop校の生徒は、岩波新書や中公新書とかの歴史関係の本を、何冊か読んでいるそうです。が、私に言わせれば、それは正直、趣味の問題です。記述問題で、お酒落な解答を書くためには、新書を読み込んでおけば、間違いなく役に立つと思いますが、合格点を取るだけでしたら、教科書だけで充分です。

 毎日、コツコツと勉強することの効率の悪さも指摘しています。たとえば、古典の文法を、動詞の活用、助動詞の活用、助詞の使い方、尊敬謙譲などを、1年間、かけて学びます。週二単位の授業で、1年間あれば、文法事項は、すべて教えられます。が、生徒の方は、学んだことを、片端から忘れて行くんです。古典の文法を、1年間の英文標準問題精講の授業を通して、マスターしたと云う生徒を、私は、寡聞にして聞いたことがないです。古典の文法をマスターしている生徒は、どこかで集中して、短期間に古典文法を仕上げているんです。

 何年か前に、私は「新世紀エヴァンゲリオン」を、一気に見ました。まず、テレビ版を、24話すべて見て、その後、劇場版のⅠ~Ⅲを見て、最後にブックオフでマンガを全巻購入して、読みました。この全部の作業を、3週間くらいで実行しました。90‘sにリアルタイムで、「新世紀エヴァンゲリオン」を、テレビで見ていた人たちは、毎週1回ずつ見て、何年かに一回、劇場版を見ていた訳です。そんな見方をして、エヴァンゲリオンを理解するとかって、そもそも無理です。3週間で一気に見ても、摩詞不可思議な物語でした。「新世紀エヴァンゲリオン」に較べると、古典文法のマスターは、100分の1以下の易しい作業だと断言できます。古典の文法、漢文などは、短期集中で、仕上げて下さい。

 冒頭に紹介した、「英単語トレーニングジム」は、毎日、百個ずつ単語を覚えて行きます。20日で、2000語仕上がります。これを、もう一回、復習しても、40日で、単語は完成します。今から始めれば、6月下旬までに、英単語は仕上がる筈です(別段、講座を受講しなくても、やる気になれば、自分でできます。何だったら、お母さんに確認テストをやって貰えばいいんです)。まず、それをやらない限り、英語は前に進みません。英文解釈の問題の中に、いくつも知らない単語があって、その度に電子辞書を引くと云った勉強のスタイルでは、絶対に実力は発揮できません。

 エンディングで、ヨルシカを流しました。ヨルシカは、夏、まっただ中って感じがします。夏まっただ中で、英単語・英熟語を必死で覚え込むのは、それなりに許せるし、サマになっているとも思いますが、秋口になって、涼しくなって、英単語をやってるとかってて、カッコ悪いし、絶対にないと断言しておきます。


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