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電子カルテのキーボード入力を音声入力に替えると病院スタッフの働き方改革につながる

患者の多い病院のスタッフは忙しい。電子カルテをキーボードで打っている時間すらもったいないから音声入力することにした、という病院が現れました。今日はそんなお話です。

「医師の働き方改革」が推奨される今日このごろ、医療系企業の営業担当者はヘルスケアITにも関心を持つことが必要なので取り上げてみます。

病院の理学療法士や作業療法士などのセラピストは、患者のリハビリ訓練に追われています。リハビリに力を入れている病院には、朝から実に多くのおじいさん、おばあさんがリハビリに来るため、待合室はいつでも混んでいます。さらに、そこに若い患者様も混じってきます。

セラピストは次から次へと訪れる患者様を笑顔で迎え入れ、前回から変わりはないか、改善しているか、悪化している部分はないかを確認し、リハビリ訓練を実施。そして、次回までに意識してほしい点を指導して挨拶して帰します。

一人の患者様が終了すると、電子カルテに向かってキーボードを叩くために、一旦、スタッフルームに戻らなければなりません。患者に施した内容を電子カルテに記録したら、次に待っている患者のもとへといそいそと戻っていきます。

一人で一日に何人の患者様を診ることができるかは、病院の経営に直結する重要な指標の一つです。「従業員1人当たり医業収入」を職種別に計算すればより細かくチェックが可能です。

全日本病院協会の調査によれば、病院運営の医業コスト全体に占める人件費率は56.6%(『平成29年度 病院経営調査報告』平成30年2月 公益社団法人 全日本病院協会)と非常に高いです。そのため、セラピストの生産性向上に対する病院経営者の期待は大きいのではないでしょうか。

そのような中、病院経営者に朗報が届きました。

音声認識技術を活用して、電子カルテに音声入力できるiPhoneアプリが誕生し、愛媛県のHITO病院が導入したというものです。

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これは素晴らしいですね。これにより、セラピストたちは、いちいち電子カルテに向かうことなく、次の患者に移る前にiPhoneに向かって音声入力するため、次の患者までに要する時間や労力が大幅に削減できるのです。

米Amazonが医療情報に特化した文字起こしサービスを発表しましたし、Googleなどの音声認識技術も急速に発達しています。

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今まで、電子カルテ入力はキーボードが主流でした。検査所見の文字数が膨大になる読影業務では、比較的早い時期から音声入力が活用されていましたが、これから開発される電子カルテでは音声入力が当たり前になっていくかもしれません。

いや、きっと当たり前になります。

近い将来、医療従事者が独り言のようにつぶやいて入力する「つぶやきタイプ」の入力方法ではなく、患者との会話が自動的に構文解析されて必要な要素のみが電子カルテにほぼ自動的に転送されユーザーは承認ボタンを押下するだけ、という世界が実現しそうで楽しみです。

こうした先進技術にも個人的には興味がありますが、何よりも患者様と医療従事者間のコミュニケーションが電子カルテ(キーボード入力)に邪魔されることなく、互いに最適化された診療環境へ発展していくことを医療に携わるものとして期待しています。

今後、音声認識タイプの電子カルテが台頭すると思いますので、見つけ次第、記事にしていこうと思います。それでは、今日はここまで。

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