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【完全保存版】週3二郎に通う108kgの巨漢が約20kgのダイエットに成功するまでの全て

「とにかく痩せろ」という切実な想いが大量のアマニ油に込められていた

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「とてもあなたを心配しています。何かあってからでは遅いですし家族が不幸になります(中略)仕事は順調のようですが“好事魔が多し”です。痩せましょう!」

これは2020年3月、母から届いた手紙の一文を抜粋したものだ。当時の私の体重は108kg、血圧は上160。紛れもなく不摂生デブである。これまで母には「この体型が営業に効くんだよ」など根拠なき持論を展開しお茶を濁してきた。だがここにきて、母の悲痛とも言える「痩せろ」という切実な想いが、一枚の便箋と同梱された大量の健康食品、それとアマニ油に込められているのを感じたのだ。

人間には欲望がある。それを理解したうえでダイエットをすることが大切

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いつかはダイエットをしようと思っていた。痩せる云々の前に生きるためだ。医者からは「このままではいつか倒れるかもしれない」と言われていた。だが、享楽主義かつ三大欲求の9割が食欲に占められている私は、己の欲に勝つことができずに相も変わらず怠惰な日々を貪っていたのだ。

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そんなときに出会ったのがパーソナルジムを運営するREAL WORK OUTの代表、土屋さんである。土屋さんは全然マッチョじゃなかった。むしろ体の線は細く、髪も緑だし、漫画に悪役として登場するとしたら多分毒とか劇薬なんかのアイテムに頼るパワー系とは真逆のタイプだ。

いわゆる「パーソナルジム」というイメージからはかけ離れた見た目をしていた。同様に「パーソナルジム」の対極に生息していた私は土屋さんと仲良くなった。そんな土屋さんの「人間には欲がある。それを理解したうえでトレーニングをすることが大切だ」というツイートを目にしたとき、自分の欲を肯定された気がしたのを覚えている。それと同時に「自分もダイエットできるかも」とわずかな期待が生まれたのだ。  

ほどなくして、土屋さんからREAL WORK OUTのPRを頼まれた。私はこれ幸いと言わんばかりに「PRの一環としてパーソナルジムのモニターをさせてほしい」と交渉し、承諾を得た。目標体重は90kg。こうして、108kgの巨漢のダイエットが始まったのだ。

ジムに通えない状況から生まれたリモートトレーニングという選択

REAL WORK OUTでダイエットを開始しようとしたのも束の間、早速ジムへ通えない状況に陥った。コロナだ。「STAY HOME」が強いられる中、一時はダイエット中止の文字が頭によぎったが、このタイミングを逃しては一生痩せられないような気がした。そこで土屋さんと相談のもと始めたのが「リモートパーソナルトレーニング」、略して「リモパ」だ。

「リモパ」はZoomを使ってパーソナルトレーニングを行うサービスである。同じ部屋にさえいれば、同居中の友人やパートナー、家族など、何人いても一人分の料金でサービスを受けられるのが特徴だ。以前からダイエット願望のあった妻も、これ幸いと言わんばかりに私と一緒に週に2回40分の「リモパ」を始めた。

ダイエットに挫折しないコツは、誰かに励まされ見届けてもらうこと

開始1ヶ月目の「リモパ」では、とにかく筋トレをしまくった。内容は、さまざまな体勢のスクワットや、タオルを使った広背筋トレーニングを中心に、腹筋や腕立て伏せなど。まず足や背中にある大きい筋肉から鍛えることで体の代謝が上がりやすくなるらしい

画面の向こうからREAL WORK OUTのトレーナーの神田さんが「休まず次いきましょう!足を上下に開いたら、真っ直ぐ腰を90度まで落とす!3セット!」と容赦ない指示を快活な声で飛ばしてくる。3セットが終わると、わざとなのかわざとじゃないのか「さ!最後1セットです!」と追いスクワットを要求されたりもした。

正直「リモパ」開始前は、「自宅にはトレーニングマシンなんかないし、楽勝だろうな」と思っていた。だが、運動不足甚だしい毎日を送っていた私は、初日でいとも容易く腹筋をつった。それから2週間はトレーニング後1時間は体が動かせなかった。へばっていると「30分以内にプロテインを飲んでください!起きて!」と画面の中から爽やかに指示が飛んでくる。

筋トレにも慣れたある日、Youtubeにアップされている動画を見ながら一人で筋トレを試みた。だができなかった。最初の1、2セットはこなせても最後までやり切れない。そこで気付いた。「リモパ」で決められた回数の筋トレができていたのは、画面の向こうでトレーナーが自分を見張りながら励まし、その一部始終を見届けてくれるからなのだ。

自分一人では最後の「あと1回」で挫折してしまう。目の前でトレーナーが見ていてくれるからこそ「あと1回」がやり遂げられるのだ。筋肉をつくるためにはその「あと1回」が重要だ。パーソナルトレーニングの意義やそこへ通い続ける理由が少しわかった気がした。こうして108kgあった体重は99kgまで減量した。

これで痩せられた!トレーナーからの指示で100日間実践した食事メニュー

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今まで、命の危機に身をさらしてもなおダイエットを渋っていた理由は飯だった。特に週3で通っているラーメン二郎を食べることは私にとっての生きがいである。ラーメン二郎のない生活なんて想像もしたくない。

トレーナーの神田さんに涙ながらにそう訴えると「週に一度のチートデイでラーメン二郎を食べましょう」と、あまりにもチートすぎる内容に許可を出してくれた。その恩義を裏切るわけにはいかないので、チートデイ以外は決められた食事メニューを7〜8割は守ろうと思った。

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もともと朝食を摂る習慣はなかった。だが、夕食は摂取カロリーを控えなければいけないので、エネルギー切れを防ぐためなるべく朝食を食べることにした。メニューは納豆に味噌汁、白米を固定メンバーとし、それに何品かのおかず加えて食べた。

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ヨーグルトは朝食のデザートとして毎日食べていた。中でも重宝したのはoikosのプロテイン入りのヨーグルトだ。美味しいだけでなく低カロリーでタンパク質も摂れる。筋トレをしながらダイエットをするのに最適な商品だと思う。

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昼食はいきなりステーキに通った。肉には筋肉の生成に必要なタンパク質が豊富らしい。メニューは毎回、ランチの「ワイルドステーキ」300g。(トレーナーからは200gと言われていたが素知らぬ顔して300gを食べていた)セットのライスは並を頼み、付け合わせのコーンはブロッコリーに変更してもらった。ソースはかけず、卓上の塩胡椒とおろしにんにくを乗せて食べる。肉が毎日食べられたのもダイエットを続けられた理由の一つだ。

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16時以降は炭水化物を摂ってはいけない。そのため夕食はサラダに、サラダチキン2つや鯖缶を合わせて食べた。今までコンビニに行っても絶対に立ち寄らなかった売り場に足を運び続けたのだ。特にサラダチキンは3ヶ月のダイエット中に250個は食べたと思う。

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また、夜どうしても甘いものが食べたい場合はTaramiの0kcalのゼリーを食べた。このゼリーはマスカットの果肉は入っていないもののナタデココが入っているので食べ応えがある。これは3ヶ月の間に100個は食べた。そんな食事を続けるうちに、これまで縁の無かったサラダチキンやダイエットスイーツにはだいぶ詳しくなれたはずだ。これは思いも寄らない副産物である。

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地味に辛かったのが一日2リットルの水を飲まなくてはいけないこと。水は体内の塩分を薄めてくれる効果があるらしい。だが、色と味の付いていない飲み物は苦手だったのだ。だが、始めのうち嫌々飲んでいた水もじきに体が慣れ、無理なく水を2リットル飲干せるようになった。

酒は糖質のないウイスキーを使うハイボールであったら飲んでもいいとのことだった。これは勧められたわけではなかったが、毎日欠かさず10杯程度は飲んだ。

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週に一度のチートデイは前述した通りラーメン二郎に行った。日々の低カロリーな食事の中で一食だけハイカロリーな食事を摂ると、体がエネルギーを消費しようとするため代謝が上がるらしい。実際にダイエットメニューを食べた次の日よりも、ラーメン二郎を食べた次の日の方が体重が減っていたりするから驚きだ。

ダイエットメニューを食べ続ける日常の中に突如現れるラーメン二郎は、どんな高級食材にも代えがたい最上級のご褒美だった。麺をすする最中、喜びが体内から溢れ、カウンターで涙してこともある。ラーメン二郎のありがたみを改めて感じられる機会となった。

カルトコンテンツ制作で乗り越えたダイエットの停滞期

ダイエット2ヶ月が過ぎた頃、恐れていたことが起きた。停滞期だ。今まで通っていたいきなりステーキに行くのをやめ、カロリーを抑えた食事に変更したりもしてみたが体重が減らない。むしろ増えていたりする。

そんな辟易とした気分を一新するために始めたのが「ファイヤーラード」だった。「ファイヤーラード」とはREAL WORK OUTのTwitterアカウントで投稿するために製作した動画コンテンツで、記憶をなくした主人公ファイヤーラードが、REAL WORK OUTのトレーナーから有無を言わさずダイエットを始めさせられる、というストーリーだ。

半分ドキュメントではあるものの、カルト映画を匂わすカオスな設定だが、これでもダイエットをエンタメに昇華したいという気持ちがあったのだ。2分半ほどの動画を半月の間、毎日投稿し続けた。

撮影に協力してくれたトレーナーのイクマさんとフカヤさんはトレーニングのことはもちろん、ボディビルダーについても知識が豊富な人だった。なぜかボディビルダーの誕生日まで覚えていた。伝説的なボディビルダー、セルジオ・オリバが夫婦喧嘩の末、妻から弾丸を5発くらったが、筋肉が分厚すぎたため内臓まで届かず自ら車を運転し病院まで行ったという逸話も教わった。

「ファイヤーラード」はそんな2人の膨大な知識からヒントを得て製作した回も多々ある。終始カルトでカオスな「ファイヤーラード」だったが、2人のおかげもあり固定ファンがつくコンテンツにまで育った。

自宅トレーニングとジムトレーニングの圧倒的な違い

ダイエット開始から3ヶ月が経ち、コロナが落ち着いた頃を見計らってREAL WORK OUTのジムに週に2回通い始めた。ジムでのトレーニングでは、それまで2ヶ月間自宅で続けていた「リモパ」を遥かに超える疲労感を味わった。

自宅でのトレーニングをある程度続けると、じきに体力が付き、同じ内容のトレーニングなら楽にこなせるようになってくる。だが、ジムでは体が慣れてきたところでトレーニングマシンを使い負荷をかけていくのだ。だから常に自分の限界と向き合い続けなくてはいけない。

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正直辛かったが、その頃にもなると目に見えて体のシルエットに変化がでてきた。久しぶりに会う人には「痩せましたね」と声をかけられるようになったし、同様にSNSからもその変化に驚く声が挙がった。長年抱えていた腰や膝の痛みもいつの間にか消え、体が軽くなったのを自分でも感じていた。

そしてその後も、目標体重90kgに向けて食事制限とジムでのトレーニングを続けた。その頃には「ここまで頑張ってきたのだから減量が成功した後も体重を維持できる生活を心がけよう」という想いさえ芽生え始めた。

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そしてダイエット開始から約100日後、ちょうど「ファイヤーラード」の最終回撮影日に目標体重90kgを達成することができたのだ。代表の土屋さんにFacebookメッセンジャーで90kgを表示する体重計の写真を送ると、「ここまで眠れない日もあったでしょう。本当によく頑張ったと思います」と返信がきた。

筋肉痛が伴う挑戦ほど心は豊かになることに気付いた

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焼酎4リットル4本・水2リットル1本の重さ分痩せました。

正直、今までの人生でこれほどまでに努力をしたことはなかったと思う。得意な分野の中に身を置き続け、苦手な分野には見向きもしなかった。運動は嫌いだったし、食事制限をする自分なんて想像もできなかった。だが、ダイエットできたのだ。

週に3回ラーメン二郎に通い、それ以外の食事も炭水化物や油物をたらふく食べ、毎晩浴びるほどに酒を飲み続けた「不摂生欲張りパック」のような生活を営んできた自分が、だ。108kgあった体重は90kgまで減り、160あった血圧は130の標準値まで下がった。

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何より、「リモパ」や食事制限を通してダイエットに励む姿勢を家族に見せ続けたことで、父親の意思の強さ感じとってもらえたはずだ。実際にダイエットを通して相当な忍耐力は備わったと思う。忍耐とは程遠い生活を送っていたからこそ、ダイエットを成し遂げた自分に自信がついたのも事実だ。

それだけではない。今まで一切触れ合わなかったサラダチキンやダイエットスイーツの知見がたまった。今まで関心のなかったボディビルダーの名前や、大会で見せるお馴染みのポーズも覚えた。今まで親交のなかったマッチョと語り、筋肉に対する考えがそれぞれ違うということも理解できた。  

関心のなかったジャンルも腹を据えて一度向き合えば、興味が湧くこともあるのだ。齢42にして視野が一気に広がっていくのを感じた。苦手なジャンルへの挑戦ほど、そこに筋肉痛が伴うほど、もしかしたら心は豊かになるのかもしれない。

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もちろんこの18kgの減量は到底一人では成し遂げられるものではないと心の底から理解している。弱音を吐けば励まし、食事制限をサボろうとすれば叱ってくれたトレーナーが常に私を支えてくれたからこそ得られた結果だ。この場を借りてREAL WORK OUTの代表土屋さんとトレーナーの皆さんには改めてお礼を言いたい。努力嫌いの私の寿命を延ばし、人生の可能性を広げる方法を教えていただき、本当にありがとうございました。


協力:REAL WORK OUT

取材・構成・執筆:いちじく舞

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