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片膝をつきかけている

挫けそうである。

まだ1ヶ月は経っていないとは思うが、延々と同じものを編み続けて飽きてきている。
手芸とは忍耐と根性だと理解しているが、同じことをやり続ける気力が元々ないのでかなりストレスになっている。
編み物は癒しという人もいるが、我が現状としては賽の河原の石積みの如くである。
間違いに気付いてほどく時などまさに、高々と積み上げた石を鬼に崩される童の気持ちである。
まあ、全部自分の一人芝居なのだが。

毛糸だま2024年夏号に掲載されている、かぎ針編みのパターンに一目惚れしたのが事の発端である。
掲載作品はカーディガンだが、そのまま作ってもきっと着ないだろうと思ったし、今年の夏はコクーンカーディガンが欲しいと思っていたのでそのつもりで構想することにした。

糸の素材は洗濯に手間取らないものと決めていたが、綿と麻でしばらく悩んだ。
麻は、ものによっては肌触りが悪い。チクチクするのは勘弁願いたい。
綿は肌触りも洗濯のしやすさにも問題はないが、重さが出るところが気になる。
太めの方が編みやすいが、メッシュっぽい編み地で太糸だと漁師網のような力強さが出てしまう。
また、色についても悩んだ。
夏らしく爽やかで、明るめの発色が良いと思って探してみても、世の中の編み糸は割とくすみカラーが多いのだ。
派手めでも良いのだが、面積が大きいものなので悪目立ちしそうでもある。

そんなことを考えながらようやく糸を決めたものの、編み出してからも針の号数で悩んだ。
面倒でもスワッチを編んだ方がいいというのを、3度解いたあたりで噛み締めた。
そして選ばれたのは2号のレース針である。
細い。
すなわち、進みが悪い。

パターンは簡単で、覚えるのに問題はなかったが、それ故に飽きる。
生来飽き性であるから大物は作りたくない派だ。
なのでもう修行のような心地で編んでいる。
今年の夏に間に合わせたい。
その一心でなんとか進めているが、本当に挫けそうなことこの上ない。

幸い今週いっぱいは梅雨が続くらしい。
その間に集中して進めてしまいたい。
さもないと、夏が来てしまう。
集中力を著しく欠く夏の太陽が、我の心を砕きにくる。

残るは20cmと縁編みだ。
頑張れ。負けるな。
何とか編みきって、真夏の太陽の下、完成品を纏おうではないか‼︎

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