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ドラム・スタートアップレッスン

 

ードラムをはじめたい方への、練習法の『羅針盤』ー

【無料で、3章まで読むことができます】

(更新2022年1月4日:2章・8章・9章に、資料を追加しました。)

(更新2021年3月18日:『ドラム・チャレンジ・チャート』を、第3章末に、追加しました【PDF、A4、4枚】)

(更新22年2月末まで:限定値下げ ¥2,000)

こんにちは、加藤ショウゴです。

この、『ドラム・スタートアップレッスン』は、ドラムを、はじめたばかりの方が、どうすれば、迷わずに、上達を目指せるかを考えて、作りました。

千葉県松戸市で、毎年開催している、短期のドラム入門講座のノウハウを、ギュっと、詰め込んでいます。

多くの受講生さんと、その保護者の皆さまが、大変満足され、好評いただいている、この短期講座のエッセンスを、動画付きで、まとめました。

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市販されている、テキストや、YouTubeにアップされている動画を見て、自分自身で、学び、技術を習得できる方は、今のまま、レベルアップを目指してください。

このテキストは、本当に、何から始めればいいか、わからない方のための、「羅針盤」として、あなたをサポートします。

例えば、小学生のお子様がいる、お母様。

「お子様にドラムを習わせたいけど、親の私たちが分からないものを、習わせていいのかな。」という思いも、あると思います。

そんな保護者様でも、ドラムとは、どんなものか、理解できる内容にしました。

もちろん、年齢関係なく、ドラムをはじめてみたいという方に、ひとつのテーマから、ステップアップしやすい内容に、仕上げています。

ここでは、ミディアムテンポのポップスが叩ける程度のレベルを目標に、レッスン内容を作成しています。

このレベルに設定した理由は、このレッスンをやり切ったあとは、自分自身の探求次第で、いくらでも練習して、上達できるからです。

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このテキストに載っている練習法が、理解できれば、ちょっと難しいフレーズの練習法も、見えてくるはずです。

ただし、練習に、焦りは禁物です。

簡単なフレーズを、キッチリ、ていねいに、理解しながら叩くことで、上達への近道が見えてきます。

がんばっていきましょう!

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※レッスンを進めるにあたり、動画内では、Roland社の電子ドラムの「V‐Drums TD-17」を使っていきます。

※動画内では、TD-17の内蔵ソングを使用して、デモ演奏をしています。

※手順の説明は、右利きを対象に記載しています。左利きの方は、手順を逆にして、進めていってください。

※当テキストを印刷したい場合は、ブラウザで、ページを最後まで確認して頂いた後に、ブラウザメニューで、印刷できます。(約140ページ)

※テキスト内にあるイラストは、「いらすとや」さんのデータを使わせて頂いております。

※掲載された楽譜は、「finale PRINT MUSIC」で、作成したものです。

教室のホームページは、こちらになります。


もくじ

第1章 「ドラムに、さわってみよう」

第2章 「ドラムの基本奏法に、挑戦しよう」

第3章 「8分音符のウラ拍に、挑戦しよう」

第4章 「8ビートと、バスドラムの2打踏みに、挑戦しよう」

第5章 「ウラ拍攻略で、8ビートのバリエーションを増やそう」

第6章 「パターンを組み合わせて、叩いてみよう」

第7章 「シンコペーションと、16分音符のフレーズを、叩いてみよう」

第8章 「いろいろなリズムパターンを、叩いてみよう①」 

第9章 「いろいろなリズムパターンを、叩いてみよう②」 

第10章 「ここまでのまとめ」

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第1章 「ドラムに、さわってみよう」


ここでは、

①ドラムセットの内容と、「4つのやくわり」がわかる。

②スティックの握り方と、叩き方がわかる。

③演奏の基本と、ドラムのやくわりが分かる。

④ペダル類の、踏み方と、扱い方がわかる。

この4点について、話を進めていきます。


先に、第1章の解説動画を見たい方は、こちらをクリックして下さい。


当教室の体験レッスンでは、まずは、座らせ、さっそく叩いてもらいます。

短期講座でも、やはり、さっそく叩いてもらいます。

事細かく、解説するより、楽器に触れ、体感してもらったほうが、よっぽど早いからです。

『あの曲を、叩いてみたい。』

『ドラムが叩けたら、カッコいいだろうな。』

楽しく、ドラムを叩けることが、第一です。

その、ワクワク感を、忘れずに、レッスンを進めていきましょう!


(1)ドラムセットの、各パーツの紹介と、「4つのやくわり」

ドラムセットは、「打楽器の集合体」です。

これだけのタイコや、シンバルが並んでいると、ドラムにさわるのが、はじめての方では、何をどうすればいいのか、分かりません。

写真を見ながら、タイコやシンバルの名前と、位置を確認しましょう。

各楽器には、それぞれに、「4つのやくわり」が、任されています。

①ビートの軸となる、メインビート系(スネアドラム・バスドラム)

②ビートの拍子を表現する、刻み系(ハイハットシンバル・ライドシンバル)

③強調したいときに使う、アクセント系(クラッシュシンバル)

④フレーズを変化させるときにつかう、タム系(ハイタム・ミドルタム・ロータム【フロアタム】)

各タイコや、シンバルの呼び名は、このレッスンでも、使っていきますので、わからなくなったら、こちらに戻って、確認してください。

それぞれの楽器のやくわりは、これに限ったわけではありません。

ライドシンバルで、アクセントを入れたり、フロアタムで、ビートを刻むこともあります。

曲に合った音色を、考えることも、ドラマーの大切な仕事です。


● アコースティックドラム

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● 電子ドラム

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(2)スティックの握り方

ステックの持ち方は、近年は様々で、音色や、奏法によって、握りを変えるドラマーも、いたりします。

このレッスンでは、基本的に、左右対称で握る、「マッチドグリップ」という握り方で、レッスンを進めていきます。

動画でも説明しているので、そちらも、ご覧ください。

①「うらめしや」ポーズをする。

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②そのまま、ステックを握る

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③下を向いた手首を、まっすぐにする。

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また、握り方にも色々あり、手の角度によって、グリップ名が変わります。

①親指が上を向く握り方は、「フレンチグリップ」と言い、指を使った、細かい演奏に、むいています。

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②手の甲が上を向く握り方は、「ジャーマングリップ」と言い、手首を存分に使えるので、パワフルな演奏に、むいています。

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③フレンチグリップと、ジャーマングリップの間が、「アメリカングリップ」と言い、肘から、スティックが一直線になる、自然な握り方です。

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ただ、このレッスンでは、あまり、スティックの握り方については、うるさくやりません。

自分の出したい音色を、それにあった奏法で、グリップを上手に使い分けるというのが、良いでしょう。

親指は、握った時に、スティックに乗っけておくようにした方が、スティッキングが安定することは、対面のレッスンでは、お伝えしています。

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どれが正解というのも無く、練習や、演奏を重ねていくうちに、自分に合ったグリップが見つかります。

あまり決め込まず、手首や肘に、負担にならない握り方・叩き方で、練習していきましょう。


(3)ドラムセットを、さっそく、叩いてみよう

スティックを握ったら、さっそく、叩いてみましょう。

まずは、「各パーツの紹介」を見ながら、どの楽器で、どのような音がするか、確認してみましょう。

「4つのやくわり」を、思い出しながら、チェックしてみてください。

大きな音や小さな音、タイコの真ん中以外の場所を叩いてみたり、シンバルも叩く位置によって、音色が変わります。

どの楽器で、どこを叩くと、どのような音がするか、そのことを知っておくことは、とても大事なことです。

それが、確認できましたら、実際に、リズムを叩いてみましょう。

ドラムの演奏には、大きく分けて2つあります。

(1)リズムパターン

(2)フィルイン

「リズムパターン」は、8ビートなど、曲全体の流れとなる、リズムの形です。

「フィルイン」は、曲のつなきで叩く、1~2小節程度の、変化をつけるフレーズのことです。

この2つの言葉は、毎回登場するので、覚えておいてください。

例として、4小節のパターンを叩いてみます。

基本ビート①

簡単に、楽譜の説明をします。

ドラムの楽譜は、そこまで難しくないので、安心してください。

この楽譜は、すべて、「4分音符」という音符で、書かれています。

4分基本ビート カウント付き

重なった音も合わせて、4分音符が、タテに4つ並んで、ひとつに、区切られています。

この、ひと区切りを、「小節」と言います。

小節のなかには、決まった拍分の音が、入っています。

ここでは、ひと区切りの1小節のなかに、4分音符4つ分の音が、納められています。

このように、1小節に4分音符4拍分、収められている場合、これを「4/4拍子」と言い「基準となる音符の数/基準となる音符」で、表します。

また、楽譜には、その曲のスピードを表す、テンポ表示があります。

テンポ表示は「♩=演奏の速度」として、表します。

例では、省略されていますが、例えば、「4分の4拍子」・「テンポ60」が、指示されている場合だと、楽譜では、このように書かれています。

拍子・テンポ表示

では、譜面に戻って、もう少し、確認していきます。

まず、1小節目から、3小節目まで、同じフレーズが続いていることが、分かります。

基本ビート①-1

このように、くり返されているリズムのことを、「リズムパターン」と言います。

リズムパターンの、1拍目・3拍目に叩いているのは、右手で叩く、「ハイハットシンバル」と、右足で踏む、「バスドラム」です。

ハット・バス

下の音符が、バスドラムで、上の「×」の音符が、ハイハットシンバルです。

この譜面では、「ハイハットシンバルと、バスドラムを、一緒に叩く」という、意味になります。

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2拍目・4拍目に、叩いているのが、ハイハットシンバルと、スネアドラムです。

ハット・スネア

五線紙の下から3線目と、4線目の間にある(第3間と言います。)音符が、左手で叩く、「スネアドラム」を、あらわしています。

譜面では、「ハイハットシンバルと、スネアドラムを、一緒に叩く」という、意味になります。

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また、下に、海藻のような、音符がありますが、あれは、「4分休符」と言うもので、「1拍休み」を指しています。

「ここでは、バスドラムは、お休み」という、意味になります。

そして、4小節目にあるのが、フィルインです。

4分フィルイン 手順付き


段になって見えますが、順に、

「スネアドラム」

「ハイタム」

「ミドルタム」

「ロータム」

を、4分音符で叩くよう、指示されています。

ここでは、右手のみで、順に、叩いて下さい。

ここで登場した、4小節のリズムパターンは、これからのレッスンの基準となりますので、よく、確認しておいてください。

続いて、フォームは、このような感じになります。

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右足は、フットペダル

左足は、ハイハットペダル

右手は、ハイハットシンバル

左手は、スネアドラム

フォームは、写真にあるように、ハイハットで、リズムパターンを刻んでいる時は、右手が上に重なるように、スティックが、クロスした状態になります。

ハイハットペダルは、この後説明しますが、ここでは、踏みっぱなしになります。

まずは、しっかり、拍子に合わせて、叩きましょう。

もし、可能であれば、『1・2・3・4』と、カウントを口ずさみながら、叩いてみて下さい。

カウントを、この段階で口ずさんで叩けると、この後が、楽になります。

あせらず、ゆっくりのテンポで、身体に染み込ませるように、叩いていきましょう。

「ゆっくりのテンポ」とは、このレッスンでは、メトロノームで、テンポは、60~80としてください。

ただ、実際に叩いてみると、思うように、カウントも口ずさめないし、音の出し方や、体のコントロールも、できないと思います。

特に安定しないと思われれる、ドラム奏法の、特徴でもある、足元について、もう少し、細かく見ていきましょう。


☆補足☆

テンポは、楽譜や専門誌によっては、「BPM=○○」と、書いてあることがあります。

これは、「Beats Per Miunte」の略で、1分間にカウントされる拍の数を指します。

♩=60は、BPM=60と表示されることがあり、意味は、「1分間に60回の拍を出す」ことを、意味しています。

♩=60は、時計の秒針と同じテンポになります。


(4)バスドラムの踏み方

床に置いてある、バスドラムは、足で演奏するため、道具が必要になります。

そこで、バスドラムの演奏には、「フットペダル」という機材を、使います。

フットペダルとは、このようなものです。

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ここでは、「ヒールアップ奏法」と、「クローズ奏法」について、解説します。

イスに座るまえに、立って踏んでみた方が、わかりやすいと思います。

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イスから立った状態で、ペダルを踏んだ場合、「かかと」・「土踏まず」・「つま先」のうち、どこで踏むのが、楽でしょうか?

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だいたいの人は、「つま先」ではないでしょうか。

この、つま先でフットペダルを踏む方法を、「ヒールアップ奏法」と言います。

あとは、イスに座って、踏んでもらえれば、「ヒールアップ奏法」の、できあがりです。

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ただ、つま先で踏むことを意識しすぎて、常に「つま先立ち」のような、フォームになってしまうと、力んでしまい、疲れてしまいます。

フットペダルを踏むイメージとしては、「貧乏ゆすり」をすると、わかりやすいと思います。

ほどほど力が抜けて、足首をバネのように動かす、あの感じで、踏み込む時に、「つま先立ち」のようになれば、音量が出せるようになります。

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次に、実際に、ペダルを踏んでみると、丸いモノが動いて、打面に当たります。

この、丸いモノが、「ビーター」と言います。

ビーターが、打面に当たった時、少し跳ね返る感触があるはずです。

そこを、「えい!」と、しっかり踏み込んでください。

踏み込んだら、打面に、ビーターをしっかり、くっつけてみましょう。

この、踏み込んだ時に、打面に、ビーターをくっつける奏法を、「クローズ奏法」と言います。

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また、ペダルの踏む位置も、気にしてみましょう。

足で踏む部分を、「フットボード」と言います。

上手に、フットボードをコントロールすることで、色々な踏み方が、できるようになります。

踏み方のコツは、フットボードの、先から1/3あたりが、踏んだ時に、力が逃げない、ちょうどいい、位置になります。

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ただ、演奏中、フットボードから、足が離れてしまうのは、せっかくの力が、逃げてしまうので、気を付けてください。

はじめは、慣れないかもしれませんが、練習のなかで、意識しながら、コントロールしてみてください。

とは言え、フットペダルの操作は、ドラムをはじめたばかりの方ですと、苦戦しやすいものなので、ここで、形だけは理解しておきましょう。

入門者・初心者の方は、「ヒールアップ奏法」と「クローズ奏法」で、音量を稼ぎ、ペダルを、コントロールできるようにしてください。


(5)ハイハットペダルについて

反対側にあるペダルは、ハイハットペダルと言います。

ここでは、基本は、しっかり閉じておいて、いただきたいので、つま先で、ギュっと踏んでおいてください。

ハイハットのペダル

このペダルの面白いところは、踏む位置を変えることで、ハイハットシンバルの音色が、変わるということです。

ハイハットシンバルの重さなどで、加減が変わりますので、それは、状況によって、スタンドのバネの調整や、ドラマー側の、力加減で音色をコントロールします。

ちいさなお子様であれば、あえて、ハイハットを閉じっぱなしでも、この段階では、大丈夫です。

ハイハットのクラッチ

ハイハットシンバルを、閉じたままにするには、ハイハットペダルを踏まずに、矢印の蝶ネジを緩め、ハイハットシンバルが、下りた(閉じた)状態で、再びネジを締めてください。

体が小さいと、脚力も、ままならないので、まずは、右手・左手・右足に、集中するようにしましょう。


いかがだったでしょうか?

第1章では、ドラムセットの構成と、実際、どのようなものなのか、叩いてみました。

第2章から、少しずつ、深堀して、ドラムの奏法を学んでいきます。

がんばっていきましょう!


第1章の解説動画は、こちらからどうぞ。

もしくは、QRコードを読み込んで、お入りください。

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第2章 「ドラムの基本奏法に、挑戦しよう」


ここでは、

①ドラム奏法は、「一緒に叩く」「くりかえし叩く」ことがわかる。

②スティックの、振り上げタイミングがわかる。

③クラッシュシンバルの、入れ方がわかる。

④8分音符のフィルインと、叩く手順がわかる。

この4点について、話を進めていきます。


先に、第2章の解説動画を見たい方は、こちらをクリックしてください。


このレッスンでは、前の章を、踏まえて、進めていきます。

どの練習も、意識しながら、コントロールできるかが、カギです。

復習をしながら、レッスンを、スタートしましょう。


(1)「一緒に叩く」「くりかえし叩く」

第1章で叩いた、リズムパターンを、深堀していきます。

譜面から、手足がどこで、一緒になっているかを、あらためて、見てみましょう。

基本ビート①

1拍目は、ハイハットシンバルを叩く右手と、バスドラムを踏む右足。

ハット・バス
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2拍目は、ハイハットシンバルを叩く右手と、スネアドラムを叩く左手。

ハット・スネア
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3拍目と、4拍目は、1拍目・2拍目の繰り返し。

と、なっています。

そこで、

・1拍目の、右手と、右足は、「右がわ」

・2拍目の、右手と、左手は、「両手」

こうすると、

1拍目「右がわ」・2拍目「両手」・3拍目「右がわ」・4拍目「両手」

という、順番で叩いていることが、わかります。

このように、ドラムでは、手足の順番を説明することが、あります。

この、手足の叩く順番を、「手順」と言います。

手順から、どこで、手足が一緒になっているのかを知ることは、とても大事なことです。

ドラムのリズムパターンは、ほとんどの演奏で、「一緒に叩く」「くりかえし叩く」ということが、多いからです。

特に、この「一緒に叩く」ということは、この後のレッスンでも、たくさん出てきます。

ここで、しっかり確認してください。

次は、この手順を、さらに深堀りしてみます。


(2)腕の振り上げタイミングを確認する。

ドラムは、叩くものだから、振り下ろすことが大事と、思っている方も、多いと思います。

実は、スティックを振り下ろすことより、「振り上げのタイミング」が、大事なんです。

これが意識できれば、演奏の表現力が増し、ドラマーの悩みのひとつである、テンポキープ力の向上に、結びつきます。

メトロノームを使う際も、拍で鳴る「音の点」に合わせるのではなく、拍と拍の間を、認識できるようになります。

先ほどから、叩いている、このパターンを例に、「右がわ・両手」と口ずさみながら、叩いてみます。

4分基本パターン 手順 振り上げ

①まず、振りかぶって、1拍目のバスドラムとハイハットシンバルを叩きます。

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②1拍目の「右」を、叩きました。

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③続いて「がわ」で、両手が上がります。

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④2拍目の「両手」を、叩きます。

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③の写真にあるように、太文字の「がわ」で、両手が振りかぶれば、2拍目・4拍目で、バラつくことは、ありません。

拍と拍の間を、意識することは、速く手が動くことより、大事なことなので、じっくり取り組んでください。

また、この手の動きは、後ほどの章で解説する、「8ビート」にも、直結します。


(3)シンバルを入れて、曲にメリハリをつける

曲の展開時に、演奏者や、聴いている人に、わかりやすく伝えるため、シンバルを使います。

曲の展開時や、アクセントで使うシンバルは、「クラッシュシンバル」です。

先ほどから、やっている4小節1パターンを使って、クラッシュシンバルを入れてみます。

ここで、クラッシュシンバルを入れる場所は、1小節目の1拍目になります。

基本ビート①-2

クラッシュシンバルは、このテキストの楽譜では、このように、下に線が入った「×」マークに、「>」のマークで、あらわします。

シンバル 楽譜

では、写真を使って、追っていきます。

「右がわ・両手」の規則性は、変わりません。

①4カウント後、1小節目1拍目に、シンバルを入れます。

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②この時だけ「右」が、ハイハットシンバルから、クラッシュシンバルに変わります。

この時、バスドラムも一緒に入るので、忘れないでください。

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③先ほどもやった、「がわ」で、両手を振り上げます。

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④2拍目の両手を叩きます。

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入門者さんのなかでは、クラッシュシンバルを入れることで、小節の拍が、1つ増えてしまうということが、あります。

そうならないために、

『1小節目の1拍目の、ハイハットシンバルは、クラッシュシンバルに、すり替えた』

と、考えて下さい。

ドラムは、曲の展開によって、「アクセント系」・「刻み系」の楽器を変えるので、「すり替える」という言葉も、このレッスンでは、よく使います。

この練習の際も、「1・2・3・4」と、カウントを口ずさみながらやると、効果的です。


(4)8分音符の、フィルインに挑戦しよう

先ほどからやっている、4小節1パターンで使っている、こちらの、4小節目のフィルインを、8分音符に、変化させていきます。

フィル 片手

例えば、4分音符で、タイコを1拍1打ずつ叩いていたものを、このように、2打ずつにします。

8分タム回し


「1拍で1打(音)」、この音の形を、「4分音符」と言いました。

四分音符

「1拍で2打(音)」、この音の形のものを、「8分音符」と言います。

八分音符

このように、8分音符に切り替えたものを、全部で、6種類やっていきます。

テンポは、70~80程度で、叩いていきます。

1つめは、先ほどから叩いている4分音符のフィルインを、8分音符で叩きます。

まずは、スネアドラムだけで、叩いてみましょう。

8分 手順①

ここで、手順について、説明します。

(1)では、手の動きを、「右・左」と、左右交互に、叩いています。

左右交互に叩くことを、「オルタネートスティッキング」と言い、また、片手で1打叩くことを、「ひとつ打ち」と言います。

(2)は、右手のみで、叩いています。

これは、この後の章で、16分音符を叩く際に、必要になります。

ここで、取り組んでおきましょう。

慣れてきたら、スネアから、タムにかけて、2打ずつ、叩いてみましょう。


8分タム回し

2つめは、両手で、一緒に、叩きます。


両手で8分拡大

左手は、スネアドラム、右手は、フロアタムを、「一緒に」に叩きます。

②は、曲を盛り上げるときに使われる、定番のフィルインです。

この調子で、フィルインのバリエーションを、変えてみましょう。

3つめは、2拍目・4拍目を、8分音符にしたものです。

下の譜面は、同じリズムの形で、タムを使った場合です。

8分手順②
8分2・4タム

手順は、4分音符は右手、8分音符は、交互に叩く、オルタネートスティッキングの(1)と、右手のみの(2)の、両方を行ってみてください。

この手順を参考に、以下、④~⑥までを、やってみましょう。

4つめは、1拍目・3拍目を、8分音符にしたものです。


8分1・3
8分1・3タム

奇数拍・偶数拍を、8分に変えただけで、聞こえ方が全然違います。

5つ目は、1拍目・4拍目を、8分音符にしたものです。


8ぶ1・4フィル
8分1・4タム

6つめは、2拍目・3拍目を、8分音符にしたものです。


8分2・3フィル
8分2・3タム

8分音符の位置を、移動してみたり、タムに変えてみたり、少し変えるだけで、フレーズの印象が、大きく変わります。

手順も、オルタネートと、右手のみでは、ニュアンスが異なります。

最後に、ここでやったフレーズを、まとめます。

フィルイン①
フィルイン①-1

フィルイン②

フィルイン③
フィルイン③-1

フィルイン④
フィルイン④-1

フィルイン⑤
フィルイン⑤-1

フィルイン⑥
フィルイン⑥-1


もし、手順が分からなくなる場合は、こちらの記事を参考にしてみてください。

第2章は、ここまでとなります。

この後の章からは、これを、さらに発展させたものになります。

ここで取り上げた、8分音符のフィルインは、楽譜で、リズムを読む際にも、役に立ち、また、フレーズのアイディアを生むものにもなります。

【追加資料:休符の考え方について、こちらで、まとめています】

☆発展☆

ここまでの練習で、刻み系のシンバルは、ハイハットシンバルで説明してきました。

リズムパターンで、曲を盛り上げる時は、右側にある「ライドシンバル」を使います。

叩く場所は、ライドシンバルの面になっている「ボウ」と呼ばれる部分を、スティックの先端で叩きます。

ここでやったフィルインを入れながら、ハイハット↔ライドで切り替えて、練習してみましょう。

ライドシンバル


第2章の解説動画は、こちらからどうぞ。

もしくは、QRコードを読み込んで、お入りください。

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第3章 「8分音符のウラ拍に、挑戦しよう」


ここでは、

①ウラ拍のパターンがわかる。

②「交互に叩く」ことを意識する。

②バスドラムを、ウラ拍に入れる、リズムパターンがわかる。

③8分音符のフィルインを、8分休符を使って、発展させる。

この3点について、話を進めていきます。


先に、第3章の解説動画を見たい方は、こちらをクリックしてください。


第3章では、第1章・第2章で叩いてきた、リズムパターンや、8分音符を、発展させていきます。

具体的には、拍と拍の間を意識したり、「休符」をつかって、休みを入れたりすることで、フレーズの幅を、広げていきます。

ここから、ちょっとずつ、難しいことに挑戦していきます。

がんばりましょう!


(1)ウラ拍とは

まずは、ウラ拍について、説明します。 

ここで使う休符は、「8分休符」と、言うものです。

「1拍に2打(音)」、この音の形を、8分音符と言いましたが、2つある音のうちのどちらかが、お休みになることがあります。

八分音符

よく使われるのが、2打のうち、1打目が、お休みになる場合です。

8分ウラ拍1

矢印の音符が、「8分休符」と言い、半拍お休みを、あらわすものです。

8分ウラ拍 休符1

拍のアタマの音が消えただけで、聞いた印象が不安定になりますが、これを、効果的に使うことができます。

このように、拍のアタマの音が消え、拍と拍の間の音が、強調されたものを、「ウラ拍」と言います。

まずは、8分音符のウラ拍が入った、3つのリズムの形を、紹介します。

1つめは、2拍目のアタマに、8分休符が、はいったものです。


ウラ拍パターン1

リズムパターンの流れに、アクセントとして、よく使います。

2つめは、1拍目のアタマに、8分休符が、はいったものです。


ウラ拍パターン2png

次の拍へ、なめらかに、リズムを送り出す効果を、出せます。

3つ目は、1・2拍とも、8分休符にしたものです。


ウラ拍パターン3png

リズムパターンや、フィルインで、曲のアクセントとして、使うことができます。

ロックやポップスで、使われるパターンは、これのどれかなので、しっかりおさえておきましょう。 

ウラ拍のリズムが入ることで、曲に、動きをあたえることができます。


(2)「交互に叩く」 バスドラムを、ウラ拍に、入れてみよう

ここでは、ウラ拍を、リズムパターンのなかに、バスドラムで、組み込んでいきます。

バスドラムがウラ拍に入る、リズムパターンは、よく使われるものです。

このパターンは、曲の印象を変えるのに、絶大な力があります。

バスドラムのウラ拍を入れる練習の、ポイントになるのが、「交互に叩く」部分が、どこかということです。

なお、手の動きは、第1章から、そのまま継続です。

4分基本パターン 手順 振り上げ

バスドラムのウラ拍攻略のカギは、楽譜の下に書かれた、カウントの間の「・」が、ポイントです。

「交互に叩く」を、理解しやすくするために、

右手は、「右」、

バスドラムは、「足」、

ハイハットシンバルと、スネアドラムを叩く時は、「両手」、

と、呼ぶことにします。

1つめは、3拍目と、4拍目の間に、バスドラムが、入っています。


バスドラウラ拍1-1

これなら、

1拍目「右がわ」、

2拍目「両手」、

3拍目 「右」・「足」、

4拍目 「両手」、

このように、叩いています。

3拍目で、右手と右足が、「交互に」叩いているのが、分かります。

2つめは、2拍目と、3拍目の間に、バスドラムが、入っています。


バスドラウラ拍2-2png

これだと、

1拍目「右がわ」、

2拍目「両手」「足」、

3拍目 「右」、

4拍目 「両手」、

このように、叩いています。

ここでは、2拍目で、両手と、右足を、「交互」に、叩いています。

なんとなく、わかってきましたか?

このように、どこで「一緒に」叩いて、どこで、「交互に」叩いているのかが、わかってくると、バスドラムのウラ拍は、攻略出来ます。

3つめは、1つ目と、2つ目を、組み合わせたものです。


バスドラム・2拍3拍ウラ拍

どこで「一緒に」叩いていて、どこで、「交互に」叩いているか、しっかり整理して、叩いてみましょう。

今、紹介した、3つのリズムパターンは、ロックやポップスで、よく使われるパターンですので、よく覚えておいてください。

それでは、これ以外のパターンも、見てみましょう。

3つめは、1拍目と、2拍目の間に、バスドラムが、入っています。


バスドラウラ拍3-1

4つめは、1拍目・2拍目の間と、3拍目・4拍目の間に、バスドラムが、入っています。


バスドラウラ拍4-1

④・⑤のような、2つのパターンは、曲に変化をつけるために、使われることがあります。

1拍目に、バスドラムが入らないパターンというのは、演奏として聴いた時、不安定な感じになります。

しかし、この不安定感を、逆手にとった、アレンジも、これで組むことが、できます。

この後の章で、説明する、「シンコペーション」などが、良い例です。

ただいま紹介したパターンを、まとめたものは、こちらになります。

①                 ② 

バスドラムウラ拍①

③                 ④        ⑤

バスドラムウラ拍②

①~⑤が、叩けるようになったら、

1小節ずつ取り出して、組み合わせて叩いてみると、リズムパターンに、動きが出せることが、分かります。

例えば、①+④や、③+⑤のような、組み合わせです。

あせらず、ていねいに、正確にウラ拍を入れられるよう、取り組んでください。

今回とりあげたテーマの練習として、以前作った動画を、紹介させてください。

日本を代表するバンド、B’zの「BLOWIN’」ドラム簡単アレンジ動画となります。

2つのパターンで、叩き切るというテーマで、取り組みやすいものとしました。

ブローウィンQR

※ こちらのQRコードからも、動画をご覧頂けます。


(3)ウラ拍が入ったフィルインに、挑戦しよう

第2章で叩いたフィルインに、8分休符を使って、変化させて、叩いていきます。

まずは、第2章で取り上げた、こちらの、フレーズです。


8分スネアフィル

このフレーズの、拍のアタマに、8分休符を入れ、お休みしたものがこちらです。

8分ウラフィル

アタマの音が抜けるだけで、全然違う、雰囲気のフレーズになってしまいます。

これを、タムに、順に振り分けると、こうなります。

8分ウラ拍フィルタム

第2章で取り組んだ、フィルインが、8分音符のアタマを、8分休符にすり替えられただけで、フレーズの幅が、グッと広がるのが、わかります。

これから紹介する②~⑤は、第2章で叩いたフレーズで、8分音符のアタマの音だけを、お休みしたものです。

手順は、オルタネートスティッキングと、右手のみの両方を、取り組んでみてください。

注意として、オルタネートスティッキングで練習する際は、休符が入ったとしても、手順は、崩さないということを、守ってください。

オルタネートスティッキングで、8分音符を2打叩く場合は、

「右・左」

と、叩きます。

アタマの音が、お休みの場合は、

「休・左」

のように、休符では、右手がお休みになります。

フレーズのコツがつかめたら、リズムパターンもつけて、タムにも振り分けて、練習してみましょう。

動画と合わせて、確認してみてください。

② 原型はこちら。

8分2・4フィル

アタマの音を、抜いたのは、こちら。

1ウラ拍フィル拡大

③ 原型は、こちら。

8分1・3

アタマの音を、抜いたのは、こちら。

2ウラ拍フィル拡大

④ 原型は、こちら。

8ぶ1・4フィル

アタマの音を、抜いたのは、こちら。

3ウラ拍フィル拡大

⑤ 原型は、こちら。

8分2・3フィル

アタマの音を、抜いたのは、こちら。

4ウラ拍フィル拡大

1音抜けただけで、フレーズの雰囲気が、変わります。

ここで紹介した、①~④のフィルインの音型は、頭の片隅に、置いておいてください。

これから先、ジャズドラムを叩きたいという時にも、実は使えます。

最後に、ここでやったフレーズを、タムに振り分けたものと一緒に、まとめます。

フィルイン8分ウラ拍①
フィルインウラ拍タム
フィルイン8分ウラ拍⑤
フィルイン8分ウラ拍⑤-1
フィルイン8分ウラ拍②
フィルイン8分ウラ拍②-1
フィルイン8分ウラ拍③
フィルイン8分ウラ拍③-1
フィルイン8分ウラ拍④
フィルイン8分ウラ拍④-1


第3章は、ここまでです。

ずいぶん、ドラムらしいことに挑戦できたと、感じられたのではないでしょうか。

左手を、意識することができたら、なかなかです。

ここでやったことは、このレッスン内では、語りつくせないほど、発展性があります。

練習に取り組む際は、急いでやらず、ていねいに、ゆっくりとしたテンポで叩いてみてください。


☆補足☆

ここで、「フィルインの手順」について、ちょっと付け足します。

ここまでの手順では、オルタネートスティッキングと、右手のみで、フィルインを叩いてきました。

ここで、知ってもらいたいのは、あくまで基本ありきで、求められるフレーズによっては、叩きやすい手順に、置き換えることもあるということです。

この、段階でも、右手と左手を、逆にした方が、叩きやすいと感じたフレーズがあったかもしれません。

その感覚も大事にしながら、それを活かすために、基礎も、忠実にやっていくという考えが大事です。

ドラミングには、「ルーディメンツ」と呼ばれる、40の基本奏法があり、合理的で、テクニカルな手順や、奏法も、確かにあります。

ただ、ドラム奏法の大半は、ひとつ打ちの、オルタネートスティッキングで、占めています。

まずは、基本的な手順で、しっかり叩けることを目指し、ある程度自由に、いくらでも応用が利くように、練習を重ねていきましょう。


第3章の解説動画は、こちらからどうぞ。

もしくは、QRコードを読み込んで、お入りください。

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【2021.3.18追加】

『ドラム スタートアップレッスン』の概要を凝縮!

リズム・フィルインの、各28個をまとめた、『ドラム・チャレンジ・チャート』(A4・4枚)はこちら。

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