トリュフの話~高須賀の美食入門17~

トリュフとは地下生菌類の、あるグループを総称した呼び方です。地下に生えて、石ころのような塊状の形態をなしています。日本にあるキノコと比較すると、ちょっとこれ本当にキノコ?と呼びたくなるような形態を示しています。ちなみにトリュフはフランスでの呼び方で、イタリア語ではタルトゥーフォ、英語ではトゥラッフルといいます。

いわゆる黒トリュフ、白トリュフは学問的な分類ではセイヨウショウロタケ科に分類されています。子のう菌類により広葉樹・針葉樹の根に菌糸を共生させて作られた菌根があのゴツゴツしたかたまりになりのです。この菌根は地上には表出しない為、人間には見つけることが難しく、そのため鼻のきく犬などを用いてトリュフは見つけ出されます。

黒トリュフ

表面の外殻皮の黒いトリュフを総称してこう呼ぶ。ヨーロッパでは食用として流通する黒トリュフは全部で約七種類あるが、高品質とされているのはデュベル・メラノスポルムという品種で、有名なフランスのペリゴールでとれるものがそれに相当する。この他、南フランス・プロバンス地方や中部イタリア、スペイン、旧ユーゴスラビアなどで採取されることもある。ちなみにその値段は高い時でキロ25万。1皿に5gふりかけるとすると原価で1250円!レストラン価格ならいくらになることやら・・・

なおこれらの他の産地でとられたものが時々ペリゴール地方に出荷されて、ペリゴール産に化ける事があります。日本でも食品の産地偽装が問題になりましたが、高級食材の産地偽装は諸外国でもトリュフに限らずかなり横行しています。なお品質保持の為に採取期間は11月末~2月の間に限定されています。

その他に冬トリュフと呼ばれているデュベル・ブルマレ(ここまでの二種類が一般的には黒トリュフの範疇に含まれます)、秋トリュフと呼ばれているデュベル・ウンシナトゥムやデュベル・メセンティリクム、夏トリュフと呼ばれるデュベル・アエスティヴムなどがあり、一口にトリュフといっても取れる時期も品種も価格も異なります(夏トリュフはデュベル・メラノスポルムの1/5以下の価格です)

ちなみにトリュフはヨーロッパだけで取れるものではなく、実は全世界でみられます(品種は異なります)。特に最大の産地は中国で1981年に四川省で初めて発見された後、その他雲南省などでも発見が相次ぎ現在では世界最大のトリュフ輸出国となっています。中国産はフランス産と異なり、トリュフの熟成を待たずに乱獲されているため香りが薄く低品質なのですが、低価格ゆえにペースト類などへの加工品目的等で外国へと多量に輸出されています。

白トリュフ

外殻皮が白い種類のトリュフの総称。最も高価とされているのは北イタリア・ピエモンテ州、アルバ近郊で採取されるデュベル・マグナトゥム。その他、イタリア中部のウンブリア州トスカーナ地方、マルケ州、ロンバルディア州、エミリア=ロマーニャ州などでも採取される。これらのいくつかはコッソリとピエモンテへと輸出され、高価なアルバ産へと産地偽装されることは公然の秘密である。

面白い事にピエモンテ州アルバのトリュフの出来不出来は同州のもう一つの特産品であるワイン・バローロと逆相関関係にあるとの事である。夏に気温が高く雨が降らない年はバローロの出来がよく、白トリュフはとれない。逆に夏に雨がたくさん降る湿気が多い年はトリュフの収穫量が上がるとのことである。恐らくキノコの発育には湿気が不可欠なのでしょう。

ちなみにそのお値段だが最高級品であるアルバ産白トリュフの値段は50万~高い時でキロ80万円。一皿に5gかけたら4000円!!!レストラン価格では・・・ブルブル。

その他、ヨーロッパ各地で採取されるデュベル。ボルキイという種類も食用にされている。

トリュフ栽培

トリュフは樹木の根にトリュフ菌糸が感染することで作られる。その為ヨーロッパでは昔からトリュフの発生する樹木の種子を採取して苗木に育て、トリュフの発生しそうな場所を上手く選んで植えてきていました。うまく感染すると数年後にはトリュフが取れるようになり、その後20-30年は発生し続けます。

トリュフが発生するようになると、木々の周辺には草が生えなくなり、焼け跡のような状況になります。ヨーロッパではこれを「ブリュレ」と呼んで非常に大切にしており、これを壊さないように最新の注意を払ってトリュフ栽培を行ってきました。

トリュフ採取

トリュフは地中で育つため、人間にはその在処がわかりません。そのため地中からも匂いで感知できる動物を使ってトリュフを採取しています。昔は豚を使っていたようですが、豚はトリュフが大好物なようで見つけ次第ぱくついてしまう為、豚がトリュフを見つけ次第トリュフハンターとの血みどろの争いが行われます。おまけに豚という動物は気難しく、機嫌が悪いとトリュフ探しに全く同行してくれなくなってしまうようで、以前から扱いづらいとあまり評判がよくありませんでした。

現在は犬が主に使われています。ただ犬は犬で問題がないわけではなく、まず教育コストに難があるといわれています。一人前のトリュフ犬に育つまでに必要とされるトリュフの量は20キロ程度といわれており、その為優秀なトリュフ犬は非常に高価で売買されます。その価格は40万以上すると言われています、とはいえトリュフをたくさん取ればすぐに元は取れてしまう価格ではあるのですが。優秀なトリュフ犬はワンシーズンでサラリーマンの年収以上を稼ぎだすため、盗難にあう事も多々あるのだそうです。ちなみにトリュフ犬に向く犬種は特に無くむしろ雑種が多いみたいで、血筋よりも性格の方がが重視されるようです(明るいのが望ましいそうで)。

トリュフの食べ方

黒トリュフはスライスにして生で食べる方法とオムレツに入れたりパイ包み焼きにしたりと少しの加熱を加える方法があります。一方白トリュフは加熱で香りが飛んでしまうようで、生のスライスでのみ食べられます。白トリュフは卵やバターとの相性がよいとされており、目玉焼きのようなココットといわれているものやバターを絡めたタヤリンという細めの手打ち麺などにかけて食べられます。どちらも品質のいいものは得も言われぬ香りがして大変おもしろい。一度ぐらいは体験してみてもいいかと思います。

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