ソフトモヒカンの大きいお兄ちゃん状態

娘の髪の毛はもうだいぶ前から妻が切っています。

娘は子供の頃から高校生の頃までずっと近所の美容院で髪をカットしてもらっていました。長くしていた時期もあるので、それほど頻繁に切っていたわけではありません。数ヶ月に一度のペースです。美容院でカットしてもらうとスッキリするだけでなく髪の毛がサラサラになって娘の表情も明るくなります。毎回楽しみにしていたようです。

美容院に行かなくなった理由は、娘が美容師さんにカットされている間中ずっと独り言を、それも「死んでもらった」とか「殺した」みたいな内容を含む独り言を喋り続けたからです。迎えに行った妻が見たのは美容師さんの怯えたような混乱したようなそれでいて無理に自分を抑えて平静を保っているようななんともいえない表情でした。

それをきっかけに、娘を美容院に行かせるのは止めました。

それ以来ずっと、妻が娘の髪の毛を切っています。

不穏でない僅かな時間を狙って妻が娘の髪の毛を切ります。風呂場で切って下に落として、あとで私が集めるまでがルーチンです。ハサミは妻が実家から持ってきました。妻が子供の頃に使っていたものです。

切り始めた当初は時間がかかっていました。散髪用のケープを使っていた時期もあったと思います。左右の長さを揃えるのに苦労していました。

そのうち段々と慣れてきて、準備も片付けも手早くなってきます。娘を長時間動かないで我慢させていると急に不穏になる心配もあります。なので、とにかく、手早く、素早く、カットしていきます。

髪の毛を切るタイミングはまちまちです。かなり長めに伸ばすこともありますし、わりと早めに切ることもあります。娘はどちらでもいいようで、まったく気にしていません。風呂上がりになかなか乾かないぐらいの長さで、かつ、前髪が食事の邪魔になったり目に入ったりすると、そろそろ切るかという話になります。もちろん、娘が髪の毛を切って大丈夫な状態かどうか、そちらの見極めも重要です。

先日、久々に切ることになりました。

妻と娘が風呂場に向かって、いつもだとそこそこ時間が経ってから髪の毛を片付けてと呼ばれます。ところが今回は妻と娘が風呂場に行ってから呼ばれるまでの時間がものすごく短くて、もう切ったのかと驚きました。急いで風呂場に行くと髪の毛が散らばっています。確かに切ったようです。今までとは比べ物にならない短時間でした。

髪の毛を切った日は、風呂でしっかり髪の毛を洗ってもらいます。でないと切った髪の毛が布団や枕に散乱してしまうので。

今回は思い切ってかなり短くしたということでした。確かに、切った後の娘を見ると、ボウズ、とまではいきませんが、かなりサッパリとしています。これでしばらく切らずにいけるのではないかというぐらいの短さです。

そして、切ったあとは必ずひどく寝癖がつきます。短くすると、特に。寝てばかりなので寝癖はしょうがないのですが、なかなか壮大な感じの寝癖で、ひとことで言うと面白い髪型になります。

今回は、頭頂部がまっすぐ上に伸びた状態で固められたうえで左右がそれに沿って上向きに撫でつけられたようなキレイなソフトモヒカン状態になっています。がっちり固まっているので、娘が眠そうに起きてくると動きに合わせて揺れます。かなりイケてます。背もそこそこあるうえに、最近はどんどん大きくなっており、姿勢が悪いせいもあって、後ろから見るとどこかの兄ちゃんに見えます。

面白がっているのは私だけで、妻も娘も面白いとはこれっぽっちも思っていないようです。まったく気にしていません。外に出ることも無いので妻と娘の態度は正しいと思いますが、娘にはたまには鏡を見てもらいたいです。面白いので。いや、別に面白くないか。面白いんだけどなあ。

そういう面白さを娘と共有できないのが、ちょっと残念です。

いただいたサポートは娘との暮らしに使わせていただきます。ありがとうございます。