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ソーシャルコマース化、TikTok化...最新動向から考えるInstagramの未来 | インスタグラムマーケティング

こんにちは。ホットリンクのアサヤマ(@taasayan)です。


Instagramマーケティングの支援をしてるのですが、よくこんなことを聞かれます。

「Instagramは今後どんなプラットフォームに変わっていくと思いますか?」

Instagramはもともと「Burbn」という名のソーシャルチェックインアプリだったのですが、最もよく使われていた写真共有機能を中心としたアプリとして公開され、色々な機能を追加・削除しながら今に至ります。

今はユーザーにどのように使われているのか。今後はどのようなプラットフォームになっていくのか。

最新の動向のまとめと、それを踏まえた個人的な考えもちょっと書いてみます。

Instagramの主要な3つの用途

まずは今、Instagramがユーザーにどんな用途で使われているのかをお話します。

Instagramというと、「若い女性を中心に、綺麗で目立つ写真を投稿するSNS」というイメージが強かったかと思います。「インスタ映え」という言葉も流行しましたね。
ですが今はユーザー数の拡大と共に、使われ方が多様化してきています。

今の主流な使われ方は3つ。
「コミュニケーション」「情報収集」そして「購買」です。

- ①コミュニケーション

友達や知人とコミュニケーションをする場としての使われ方です。
特に、24時間で消える「ストーリーズ」がメイン機能として利用されています。

ストーリーズには
・友達に質問ができるスタンプ機能
・音楽再生機能
・ARフィルタ機能
・ライブ配信機能
などのさまざまな機能があり、友達とコミュニケーションをとるきっかけとして利用されています。

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ストーリーズにコメントをすることでDMが開始されるので、投稿起点でLINEのようなプライベートなチャットをする場としても使われています。

そのほかにも、親しい人をリストで選んでストーリーズ配信できる「親しい友だち」機能があったり、友達だけの空間を作れるメッセージアプリ「Threads」を出したりなど、プライベートな空間を守れるような機能が出ています。

- ②情報収集

有益な情報を発信しているアカウントをフォローしたり、ハッシュタグ検索で調べ物をしたり、発見タブをなんとなく閲覧して受動的に情報に接触したり……興味関心軸で情報を収集・保存しておく場としても利用されています。

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Instagramの内部調査によると

・日本のハッシュタグ検索数はグローバル平均の3倍​
・調査対象の 5人に1人が毎日検索機能を使っている​

という結果が出ており、日本がInstagramの検索大国であることがわかります。

出典:Instagramで新しいターゲット層を開拓するには
出典:国内利用者のInstagram活用の現状

また、2019年に行われたジャストシステムズの調査では、ファッションにおいてInstagramが最も主要な検索エンジンになっていることがわかります。
近年ではレジャーやグルメにおいても、Instagramの利用が伸び続けているようです。​

・ スマートフォンで流行のファッション情報を調べる人のうち、情報源としてInstagramを利用する人が最も多く(29.4%)、次いでGoogle(28.3%)​

・ レジャースポットを探す人のうち、Googleで調べる人は34.9%で、2016年5月度調査(48.1%)から減少。一方、Instagramで調べる人は19.3%で、2016年5月度調査(5.7%)と比較すると3倍以上増加​

・ グルメスポットを探す人のうち、Googleで調べる人は43.0%で2016年5月度調査(50.6%)から減少しました。一方で、Instagramで調べる人は16.5%で2016年度5月度調査(5.8%)と比較すると3倍近く増加​​

出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000384.000007597.html​

知りたいことがある程度わかっている場合は能動的にタグって検索エンジンとして使い、知りたいことが明確でない場合は発見タブのおすすめを受動的に閲覧するユーザー行動に分けられます。

興味関心・情報収集軸においてはいわゆる「インスタ映え」だけでなく、情報量が多く有益な
・テキストが多い読み物系コンテンツ
・動画や複数枚写真によるHow-to系コンテンツ
などがよく投稿されています。

特にこういった有益コンテンツにおいては「保存してあとから見返す」というユーザー行動も発生しています。

例)インスタで見つけたヘアスタイルを保存しておいて、美容院で保存一覧から見返して注文する

- ③購買

レストランの予約をしたり、デリバリーを注文したり……いまやInstagramは、ショッピングをする場所としても使われています。

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2018年にInstagramショッピング機能が導入されてからというもの、ECサイトにスムーズに誘導できるようになったり、料理のデリバリーサービスに誘導するスタンプ機能が実装されたりと、よりユーザーが気軽に購買行動を起こせるようになっています。

これからInstagramはどう変わっていくのか

次に、最近のInstagramの動向から、今後どのような変化が起きていくのかを推察してみます。

動画コンテンツの拡張とミーム文化の活発化

Instagramは今まで写真が中心のプラットフォームでしたが、最近では長尺縦型動画フォーマットのIGTVの活性化・収益化に力を入れています。
理由は単純で、ユーザーのアプリ内滞在時間を伸ばすコンテンツが増えれば、広告枠が増え、収益につながるからです。

さらに2020年8月5日、Instagramは、楽曲を使って30秒以内のバーティカル動画を投稿できる「Reels(リールズ)」を日本やアメリカを含む50カ国でリリースしました。

Reelsはプロフィールページ上にも専用のタブで表示され、ストーリーズ、フィード、発見タブ、どの面にシェアするかを選択することが可能です。

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画像:https://techcrunch.com/2020/06/24/instagram-expands-its-tiktok-clone-reels-to-new-markets/

楽曲を使った短尺動画と言えばTikTokが有名ですが、TikTokでは特定のテーマのお題や楽曲に沿ってユーザーが模倣とアレンジを加えて投稿が広がる「ミーム」の文化が活発です。

Reelsが実装されたことでInstagram上でミーム文化が活発化する可能性もありますし、より動きがあるおもしろ系動画や、より日常的なコンテンツも投稿されやすくなるのではないかと思います。

▼TikTokのミーム例① DrakeのToosie Slideダンス

@justmaiko

tony lopez be like...😭😂 @bangenergy @bangenergy.ceo #bangenergy

♬ Toosie Slide - Drake

▼TikTokのミーム例② EOSのリップバームが背景に何個あるか探すチャレンジ

@stokestwins

Try to count how many eos lip balms you see while we distract you #awesomeegghunt follow @eos for the answer #eos #ad

♬ Stay Smooth - eos

▼Reelsについての公式アナウンス

エフェメラルなコンテンツによる日常化

Instagramは当初フィード(タイムライン)への投稿が中心でしたが、次第に「インスタ映え」色が濃くなり、綺麗に撮れた渾身の一枚しか投稿できないような雰囲気になっていきました。

しかし2016年に、24時間で消えるエフェメラル(短時間で消える・はかないみたいな意味)な縦型フォーマットの「ストーリーズ」機能が導入されます。
これにより、状況は大きく変わりました。

ストーリーズにはいいね数などの評価は表示されないですし、後に残らないので見栄えを気にする必要もありません。
こうした気軽さが好評を博し、一気に利用されるようになりました。

2016年のリリースから2018年までの2年間で、1日のストーリーズ投稿数は20倍に増加。
・世界で毎日5億ユーザーが利用
・日本国内だけで一日に700万投稿
・デイリーアクティブユーザーの70%がストーリーズを利用
という、破竹の勢いで利用数が伸びていきました。

参考:#IGDAYTOKYO2019
参考:Instagramの国内月間アクティブアカウント数が2900万を突破、国内のストーリーズ利用に関するデータも発表

Instagram広告を運用していても、明らかにストーリーズのリーチが伸びるようになりました。
1ユーザーとしてInstagramを使っていても、友達とのコミュニケーションはほぼストーリーズとDMで行っています。

そんな中、最近何人かのユーザーから、「ストーリーズのバブル(丸いアカウントアイコンのこと)が全画面に多数表示されるUIがテストされている」という報告が上がってきています。

参考:Instagramがストーリーズをまとめて1ページに表示する機能をテスト中

ホームタブ上でメインに使われているストーリーズ機能が、スマホ上で最も親指が届きにくい上部数%のわずかなheightでしか表示されていないという現状は、考えてみれば不思議。
ストーリーズがホームタブ上でより強調表示されるのは自然な流れでしょう。

個人的にはこのテストUIだと
・閲覧までワンクッションの壁があること
・どのストーリーズを見るかの選択肢が多すぎてストレスがあること
の2点が気になっています。あくまでテスト中の機能なので、実施中のUIテストの結果次第で大きく変わってくるかとは思いますが、ホームタブ上ではストーリーズ/IGTV/Reelsをごちゃまぜにして、ファーストビューで1つ目の投稿をフルスクリーン表示して次から次へとレコメンドしていくTikTok形式になる可能性もあるのかなぁ……なんて思ってます。

さらにさらに、リバースエンジニアのJane Wongは、Instagramが一定時間で消えるDM機能を開発していることを発見しています。

このようにストーリーズに限らず、一定期間で消滅する「エフェメラル」な機能が今後拡大・強調されていく可能性は高そうです。

エフェメラルな機能が中心になるに連れ、「インスタ映え」だけでなく、より日常的な瞬間をシェアする場所としての使われ方が中心になってくるのではないかと考えています。

検索機能の高度化

Instagramは2020年11月から米国で「baking recipe」のような複数キーワードでの検索機能をリリースしました。

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Instagramのスポークスパーソンによると、「コンテンツタイプ」「キャプション」「投稿時間」など複数の要素による基本的なランキングに加え、機械学習によってユーザーの興味関心に合わせてパーソナライズされた検索結果を返すようにしているようです。

Instagram will also rank its keyword search results based on a number of factors "including the “type of content, captions, when it was posted, and more". It'll also look to highlight the most relevant matches to each individual user, based on algorithm calculations.

参照:Social Media Today

今までInstagramでの検索方法は#bakingrecipeのようなハッシュタグ検索やアカウント名検索、スポット検索しかありませんでした。キーワード検索機能ができることによって、検索ユーザーは、キャプションに特定の文字列が含まれる投稿や検索クエリと関連性の高いコンテンツをより発見しやすくなる可能性があります。

投稿する側としても、発見してもらうために関連性の高いハッシュタグを漏れなく洗い出して投稿に付与するというような、めんどうな作業をする必要がなくなり、投稿画像の特徴やキャプション文の内容などを元に、適切な検索ユーザーにより発見してもらえやすくなる可能性がありそうです。

現状の仕様だとすべてのキーワードで自由に検索ができるわけではなく、"baking recipes" や "airplane" といったInstagramが対応しているカテゴリキーワードのみの検索結果が表示されます。

さらに、昔のYahooディレクトリ検索のように"baking recipes desert" や "airplane food"のようなより詳細な階層にドリルダウンして閲覧していく仕様になっています。

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まだ日本を含む世界には展開されていない機能であり、テスト運用中の段階だと思われますが、今後さらに自由で高度な検索機能が追加されることになると、ヴィジュアルの検索においてはさらにGoogleからInstagramへの移行が加速することになりそうです。

Instagramが検索結果に広告枠を作り、リスティング広告のような形で企業が広告出稿できるようにしてくるという展開も考えられます。

ソーシャルコマース機能の拡張

Instagramの親会社であるFacebookは、今までBUYボタン、Facebook Marketplace、さらにはメッセンジャーチャットボットによる決済機能の提供など、ショッピング機能にトライしながら慎重にテストを重ねてきています。ソーシャルコマース化はFacebookグループの野望の一つと言えるでしょう。

直近では新たなFacebookショップを開始するとアナウンスするなど、コマースに関わる機能がどんどん実装されている印象を受けます。

今InstagramとFacebookがどのようなソーシャルコマース機能を開発してるのかを紹介します。

- ①Instagramショップ

Instagram上で、無料でオンラインショップを作成できます。
発見タブに「Instagramショップ」という機能が追加され、新しいショップや商品を発見しやすくなるそうです。

以前はアクティビティが表示されていたフッターの♡タブに代わって、「ショップ専用タブ」が表示されるようになっており、ユーザーがすぐに買い物をしにいける設計になっています。

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画像:https://about.fb.com/news/2020/05/introducing-facebook-shops/

■Shopタブの現状のUI

・ショップ単位のレコメンド
・@shopによるキュレーションコレクション
・コレクション単位でのレコメンド
・まとめ機能を使った商品まとめのレコメンド
・ショップタグがついたIGTVのレコメンド
・商品単位のレコメンド

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画像:https://about.fb.com/news/2020/05/introducing-facebook-shops/

- ②DM上決済

ショップにDMで相談したユーザーは、そのままDM上で商品を購入できるようにするそうです。

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画像:https://about.fb.com/news/2020/05/introducing-facebook-shops/

- ③チェックアウト機能

現状のInstagramのショッピング機能では、Instagramから外部サイトに遷移して、それぞれのEコマースサイト上で購入をする必要があります。
そのため、それぞれのサイト上でクレジットカードや住所を登録する労力がかかります。

その解決策として実装されているのが「チェックアウト機能」。
この機能を利用すると、購入者はあらじめInstagram上に登録しておいた決済情報を使い、外部のサイトに移動することなくInstagram上で購入を完結することができます。

購入体験のスムーズさはCVR(購入率)の改善に繋がりますし、新しいショップタブUIではチェックアウト機能を導入してるショップが優先的に表示されるようになっているようなので、商品の露出量増加も見込めそうです。

ただし「Instagramに手数料5%を取られる」「自社ECサイトのように自由に顧客情報を取得できない」といったデメリットも。
既にアメリカなど一部の国では実装されているチェックアウト機能ですが、この機能から撤退しているブランドも少なくないようです。

参考:インスタグラム 、「チェックアウト」機能を少しずつ拡大:現段階で数百ブランド

- ④ライブコマース機能

COVID-19の感染拡大後、「インスタライブ」のTwitter上の言及数は右肩上がりに増加しました。

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ライブ配信機能が活発に使われるようになった背景から、ユーザーがより簡単にリアルタイムに商品を購入できるよう、ライブショッピング機能の開発を進めているそうです。

ライブ配信前にショップのカタログから商品を選んでタグ付けできるようになるほか、タグ付けされた商品がライブ動画の画面下部に表示されるように。
閲覧者がライブで紹介されている商品をスムーズに購入することができるようになります。

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画像:https://about.fb.com/news/2020/05/introducing-facebook-shops/

既に多くのユーザーが慣れ親しみ、日常的に閲覧しているInstagramのライブ機能。
ここでスムーズに販売ができるようになると、日本でもライブコマースが普及するきっかけになる可能性もありそうです。

また、ライブ配信でクリエイターがバッジを販売できる機能も一部でテスト中です。

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画像:https://about.instagram.com/blog/announcements/supporting-creators-on-instagram

ライブ閲覧者は3種類のバッジをクリエイターから購入することができ、一度購入するとコメント欄で購入者であることがわかるバッジが表示されます。優先的にコメントが表示されたり、特別な♡を送ったりすることもできるそうです。ライブストリーマーのファンにとっては見過ごすことができない機能かもしれません。

配信者側はバッジ購入者を一覧リストで確認することも可能とのこと。
クリエイターの新たな収益化方法の1つになりそうです。

またコマースとは異なりますが、非営利団体がInstagramライブ上で募金活動を行える機能も一時的にリリースしていました。

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画像:https://about.instagram.com/ja-jp/blog/announcements/introducing-live-donations-to-help-support-causes-you-care-about

- ⑤個人ファンドレイジング機能

さらに、Instagramは「個人ユーザーが簡単にファンドレイジングできる機能」を追加するとアナウンスしています。

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画像:https://about.instagram.com/blog/announcements/introducing-a-new-way-to-fundraise-for-personal-causes/

ショッピングだけでなく、個人間でお金が流通するプラットフォームにもしようとしていることがわかります。

- ⑥料理を注文機能 / ギフトカード機能

ストーリーズのスタンプを通して、料理のデリバリー注文をできる機能が追加されています。
スタンプをタップすると、Uber Eatsなど提携するデリバリーサービスのぺージに遷移することができます。

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画像:https://about.fb.com/ja/news/2020/05/instagram-gift-card-sticker/amp/

COVID-19の影響で客足が途絶えた飲食店が、顧客にデリバリー注文してもらえる導線として活用されています。

さらにギフトカードスタンプが追加され、クーポン券や優待券などを提携するプラットフォームからスムーズに購入できるようになりました。

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画像:https://about.fb.com/ja/news/2020/05/instagram-gift-card-sticker/amp/

- ⑦Facebookペイ

このように、Instagramはさまざまなコマース機能やファンドレイジング機能を次々に投入&実験しています。
直近ではInstagramチェックアウト機能の決済方法として、Facebookペイを追加したとアナウンスがありました。

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画像:https://about.instagram.com/blog/announcements/instagram-shop-discover-and-buy-products-you-love-all-in-one-place/

好きなブランドの商品購入や共感する社会的事業への寄付、個人のファンドレイジング機能、食事のデリバリー注文、好きなInstagramスターと近づくためのバッジ購入など、ユーザー間のお金の流通が発生するソーシャルコマース機能を強化すると共に、チェックアウト機能とFacebookペイで決済自体も握り、Facebook経済圏を築き上げようとしていると推測できます。

コマース機能の拡張で、「UDSSAS」がInstagram内で完結するように

Instagram内でスムーズに決済ができるようになると、Instagramを活用したマーケティングも行いやすくなります。
こちらはInstagramユーザーの購買行動プロセスを表すモデル「UDSSAS(ウドサス)」です。

UDSSAS - シンプルv2

参考:Instagaramの購買行動プロセスUDSSAS(ウドサス)とは?

Instagramユーザーは以下のような購買行動プロセスをとります。この一連の流れを表したのがUDSSASです。

①UGC(アテンション)
企業のアカウントからの投稿や広告配信、UGCがアテンションする

②Discover(発見)
他のユーザーがタイムラインやストーリーズ、発見タブ上で投稿を発見し、商品やブランドについて知る

③Save(保存)
あとから見返せるようにスクショや保存機能で保存しておく

③Search(詳細検索)
クチコミや追加情報を得るため、InstagramやTwitter・Google・LIPSなどで詳細検索

④Action(購入)
良いと思ったら店舗に来店して購入したり、AmazonやECサイト上でオンライン購入

⑤Share(共有)
自らも購入体験や商品の写真などをInstagram上にシェア

コマース機能が拡張され、Instagramでの購入体験がスムーズになると、「購入」の場所として外部サイトに移動する必要性が下がります。
商材によっては「商品の発見」「保存」「詳細検索」「購買」「シェア」のすべての段階がInstagramで完結するようになるでしょう。

ユーザーの利益を追求すれば結果につながる

Instagramのアルゴリズムを理解して最適化することも重要ですが、今後はユーザーの利益を追求すれば自然と結果につながる……という傾向が強まっていくでしょう。

特に、ユーザーにとっての価値を無視したブラックハットな手法はペナルティを受けるなど、悪徳な方法は不利益につながることが多くなっていきます。

Instagramの未来を考える上で参考になるのは、検索&情報収集プラットフォームの代名詞、Googleの歴史です。

Googleは、検索結果に表示するページをランキングする際、外部リンクの数やページ内やタイトルに含まれる文字列などを評価します。

例)外部リンク
論文の引用数と同じで、10人に引用されてるページより、100人に引用されてるページのほうが価値が高そうだよね!
例)検索クエリの含有率
「安倍総理 夫人」という検索クエリなら、タイトルや文章における該当文字列の含有率が高いページを検索結果に出そう!

というロジックです。
すると、こういったGoogleの評価の仕組みを悪用して、

・外部リンクを自作自演で機械的に生成
・ワードサラダと呼ばれる特定のキーワードを含む自動生成された文章を生成
・コンテンツを閲覧するユーザーとGoogleのクローラーに違うコンテンツを見せる

といった、いわゆる「ブラックハットSEO」がさかんに行われるようになってしまいました。一時はそういったユーザー便益を無視したハック手法も効果があったのですが、Googleも学習し、賢くなりました。
低品質・悪質な外部リンクやページを識別してペナルティを課すようになり、検索ユーザーにとってより有益な検索結果が返されるようアルゴリズムを改善していったのです。

Googleのアルゴリズムがアップデートされる度に、「検索ユーザーによる評価」と「Googleアルゴリズムによる評価」が近づいていきます

その結果、SEO担当者はテクニカルな話を考えるより、純粋にユーザーにとって有益で快適な体験を用意することに注力すればよくなったわけです。

もちろん今でも、技術的な検索エンジン最適化はとっても重要です。
特にページ数の多い大規模サイトでは「いかにGoogleクローラに効率よくクローリングしてもらい、適切な評価をしてもらうか」という観点での最適化は欠かせませんし、外部リンク施策も超重要です。

しかし過去のGoogleと比較すると、今の進化したGoogleにおいては、相対的に技術的ハックの必要性が低下していると言えるでしょう。

Instagramに置き換えて考えても同じことが言えます。
アルゴリズムを考えて最適化することも大事ですが、何よりも優先するべきなのは

・自分のフォロワーさんはどういう時にどういったコンテンツを求めてるの?
・サービスの潜在顧客層はどんな情報を知りたくて、どういったハッシュタグで検索してるの?

といった、「ユーザーにとって価値のあるものを提供できているか?」を考えることだと思います。

ソーシャルグラフや検索クエリに依存しないコンテンツとオーディエンスのマッチング

10代~20代の若者を中心に、縦型フォーマットで短尺動画を投稿できるTikTokが大流行。
全世界で10億ダウンロードを突破しています。

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画像:TikTok Continues Its Climb With 75 Million New Users in December, Up 275% From 2017|Sensor Tower

史上、どのソーシャルメディアアプリより最速でユーザー数が伸びているというデータもあるようです。

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画像:FT research

ここまで人気を得ているTikTokは、現在主要ソーシャルメディアとして使われているTwitterやInstagramと何が違うのでしょうか?

違う点はさまざまにありますが、決定的なのは、「Tiktokはソーシャルグラフや検索クエリに依存しないコンテンツレコメンドエンジン」であるという点です。

ソーシャルグラフとは、フォロー・フォロワー関係のようなユーザーとユーザーのつながり、ネットワークのことを意味しています。

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TwtiterやInstagramは、ソーシャルグラフを中心に設計されたSNSです。
Twitterであれば自分のツイートは基本的にはまずフォロワーに表示され、リツイートされるなどしてフォロワー以外のユーザーに拡散されていきます。

Instagramであれば自分の投稿はまずフォロワーに表示され、いいねや保存・コメントなどの反応を得てから、Instagramのアルゴリズムが「これは良い反応を得てるから良いコンテンツだ!」と評価し、ハッシュタグトップなどに表示される仕組みになっています。

このようにTwitter・Instagramにおいては、基本的に「情報を届ける最初の相手はソーシャルグラフでつながった相手」という前提があるのです。
Googleはソーシャルグラフの繋がりはありませんが、「検索クエリ」の意図を読み取って検索者とコンテンツをマッチングしています。

一方でTikTokの主要タイムライン「For Youタブ」は、ソーシャルグラフや検索クエリなど関係ありません。
過去の行動データをもとにユーザーの興味関心を理解し、最も反応率が高いコンテンツをレコメンドする仕組みになっています。

使っている楽曲やハッシュタグ、動画特徴などのコンテンツ特徴を元に、まずは関心を持ってくれる可能性が高いユーザーに広く配信。
対象ユーザーの中で反応が良い人の類似ユーザーに拡張して配信する……という仕組みです。

そのためTikTokでは、フォロワーがほとんどいないユーザーのコンテンツでも、内容が良いと一気にリーチが爆伸びするアルゴリズムベースのバズ現象が頻繁に起きます。

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このようにTikTokは、検索クエリやソーシャルグラフにとらわれない、インタレストとユーザー行動ベースのレコメンドを中心としたプラットフォームなのです。

実は、最近のInstagramでは、発見タブおすすめ経由の流入が爆伸びする「おすすめバズ」が起きるようになっています。

一部のアカウントではハッシュタグ経由の流入が霞んで見えるほど、圧倒的なおすすめ経由の流入が確認されています。
ただ、おすすめバズが起きているアカウントは共通してある程度の既存フォロワーからのエンゲージメントがあるアカウント。
TikTokのような「フォロワー0でもバズれる」という世界観とは異なります。

Reelsの導入もありますし、今後はInstagramにおいてもフォロワーからのエンゲージメントに依存しないレコメンドによる露出がより増えてくるのではないかと予測しています。

発見タブのレコメンドアルゴリズムについてのnoteはこちら

最後に

長々と書いてしまいましたが、今後Instagramは劇的な変化を遂げる可能性があります。

僕のTwitterアカウントでもInstagramを中心としたSNSの最新情報などをツイートしてるので、よければ見てみてください。

アサヤマのTwitter

また、ホットリンクでは企業のInstagram活用についてコンサルや運用代行、広告運用代行をやってます。
なにかあればぜひお気軽にご相談ください。



▼シグナルとアルゴリズムから考えるInstagramマーケティング - アカウントグロース

▼InstagramでUGCを醸成する5STEPS - 購買行動プロセス「UDSSAS(ウドサス)」とは?

▼ 強者による露出独占を緩和するために多分Instagramがやってそうなこと


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