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コロナショックによる、日本での潜在的な失業者は1000万人規模!? 母子家庭を中心とした相対的貧困を救うために日本政府ができること

アメリカの失業者はついに2,600万人に

アメリカ全土において、先週「だけ」で追加的に440万件の失業保険が申請された。

コロナウイルスによるロックダウンが開始されてから先週までに申請された失業保険は2,200万件だったから、合計で実に2,600万人が失業した(失業保険を申請した)計算になる。

アメリカの人口は約3億2800万人、就労人口は約1億5700万人だから、就業人口の16.5%の人たちが職を失った。目の前で、とんでもないことが起こっている。

日本経済の回復までの長い道のり:18ヶ月

以前の記事でも書いたが、米ウォール・ストリート・ジャーナルの質問に答えた経済学者(エコノミスト)の予測によれば、楽観パターンと悲観パターンの中間を取ったとしても、アメリカのGDP(労働者の所得と企業の利益の総計)は2021年9月頃まで元通りにはならない。

これはアメリカに対する予測ではあるものの、実際に日本も同じように街の人通りを止め、ロックダウンを決行したために、同じような経済カーブを描く可能性がある。

1,000万人規模!?日本の潜在失業者数

これも繰り返し言っているが、日本はアメリカと違い企業の解雇が容易ではないことから、実際には企業が倒産状態で、人員解雇が必要な状態であっても、問題が表面化する(統計的に目に見えるようになる)までに非常に時間がかかる。

さらに、中小零細企業では水面下で脱法的な解雇(退職勧奨)が横行する可能性があるので、余計にタチが悪い。

人間は目の前に見えているもの以外に対応するスピードが遅れるのが通例だから、日本のほうがより問題が深刻だと思ってみている。

日本で潜在的に失業状態にある人(給料の遅配が起こっている、失業間近など)の数が、アメリカの半数、1,000万人に達していたとしてもおかしくない。

「国民の生活を守る」とは何か?優先順位が大切

コロナはいずれ収束する。

しかしそれには当初の予測より多くの時間がかかる(経済的には18ヶ月程度の時間がかかる)ということが問題だ。

その間に、とりわけ預金を積んでいなかった家庭、相対的に貧困だった家庭が、失業によって困窮していく(母子家庭が良い例だと思う)。

所得制限なしで、国民一人あたり10万円を支給するという日本政府のプランは愚策だと思っている(これに約12兆円かかるそうだ)。

政権を維持したいのは分かる。支持率を維持したいという気持ちも分かる。スピードを重視したのも分かる。

しかし、所得が減っていない人に対して追加でお金を配ることに意味は無い(当たり前だ)。

まず守るべきは相対的貧困層と母子家庭

そうではなくて、こうした状況下、(とりわけ預金残高が無く、失業リスクが高いと考えられる)日本の相対的貧困層に対して、きちんとお金を回すべきだ。OECDの統計によれば、ここ数年の日本の相対的貧困層の割合は約16%。日本全体の世帯数は約5,800万世帯であり、1世帯あたり人員は約2.2人だから、その16%、約928万世帯(約2,000万人)が相対的貧困世帯(数)ということになる。相対的貧困とは、「世帯の所得がその国の等価可処分所得の中央値の半分に満たない人々」と定義されているので、年収約120万円以下の世帯がこれだけいるということだ。この層にまず注目する。

次に18ヶ月間の(時限的)相対的貧困層

次に、向こう18ヶ月の間(すなわち経済が回復軌道に乗るまでの間)に、失業によって、それが一時的にではあれ相対的な貧困状態に陥る可能性がある家庭にも注目すべきだ。

年間の世帯所得が200~300万円の世帯が全体の13.7%、300~400万円の世帯が全体の13.6%だから、このうち約半数の世帯主が失業するなりしたとした場合、全体で約791万世帯(約1,750万人)となる。

上記、既に相対的貧困層に該当する世帯数と合わせると、約1,719万世帯(約3,750万人)をきちんと保護しなければならない。

月額20万円✕18ヶ月:特別国債62兆円発行

この層(世帯)に、月額20万円程度の保護パッケージを18ヶ月間配り続ける。

すると、約62兆円(=1,719万世帯✕20万円✕18ヶ月)の原資があれば、これを実現することが可能になる計算だ。

日本の国家財政は年間約100兆円だから、62兆円ともなれば、かなりの規模の金額ではある。

一時的にこれを特別国債の発行で賄(まかな)うとしても、これをきちんと行えば、コロナによる日本国民の生活破綻(すなわち日本国自体の実質的な意味での破綻)を免れることができる。

ただし、この特別国債をどのように償還するのかについては、事前にきちんとした原資の検討が必要だ。

財源は富裕層から①:相続税

結論から言うと、原資としては、相続税の増加と、金融資産課税が望ましいと僕は思っている(このあたりは、その昔、波頭亮さんも論じていたが、僕も同じ意見だ)。

日本における毎年の遺産額(亡くなった人から他の人 [基本的には親族] に引き継がれる財産の金額)は、正味資産2600兆円の50%以上を60歳以上の国民が保有しており、これが向こう30年で遺産額になると仮定すると、年間43兆円程度になる。

相続税に閾値を設定せず、ここに50%の相続税を課せば、年間21.5兆円の税収になる計算になる。また、これは貧富の格差が子や孫に引き継がれることを抑止するという観点からも、正しい施策だと思う。

財源は富裕層から②:金融資産課税

金融資産課税について、基本的に日本には1,900兆円ほど個人が保有する金融資産残高があると言われている。

金融資産課税については昔から言われていることではあるが、現金で購入された固定資産(不動産)であれば年率1.4%の固定資産税がかかるところ、現金その他証券として保有している限りは資産税がかからないということになっており、とりわけ高額の金融資産を不動産以外の形で保有する富裕層にとっては有利な立て付けになっている。

日本において、3分の1が準富裕層以上だとして、約630兆円の資産に毎年一律で1%ほどの金融資産課税をするだけでも、毎年6兆円の税収となる。

コロナを社会福祉改革の契機に

こうして相続税の増加と、金融資産課税を行うだけで(実際には相続税増税のインパクトがとても大きいことが見て取れるが)、62兆円の特別国債の償還は十分に可能だということが分かる。

いきなり相続税を上げる、金融資産課税を行うのではなく、段階的に引き上げるなどするだけで、こうした社会福祉的施策を実行することは十分可能であり、コロナ危機への対応をしつつ、かつ将来的に貧富の差、ひいては機会の差を抑止する国家の財政政策になると思う。

競争論と分配論をきちんと分けることが重要

技術イノベーション、企業のグローバル化などはこちらが引き受ける。

一方で、コロナ危機の状況下にあっては、国の基盤をきちんと維持するために、確かな分配論を議論し実行すべきだ。

コロナ危機は、危機だからこそ、物事の本質が見える化された側面がある。相対的貧困は、前の世代から引き継がれたものかも知れない。

この相対的貧困を次の世代に引き継いではいけない。

子供たちには何の罪も無いのだ。

彼女たち彼らが、健康で文化的な最低限度の生活が送れないというのは間違っている。

僕は母子家庭出身で、その苦労を知っている。

日本政府は今こそ動くべきだ。

(記事終わり)

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