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ワンポイント歌謡曲

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038 イルカ「なごり雪」(1975年)

038 イルカ「なごり雪」(1975年)

作詞・作曲:伊勢正三 編曲:松任谷正隆

情景が浮かぶ、言葉がそのまま感情として伝わってくる。
力のある曲は軽々と時代を超えていくんだなぁ、と思った。

元々は伊勢正三がかぐや姫時代に書いた曲で、かぐや姫のアルバム『三階建の詩』(74年)に収録されていたもので、カントリー調の軽やかなアレンジがされていた。

対して、イルカのカヴァー版(伊勢はイルカに"あげた"と言っている)は松任谷正隆がアレンジ。

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林哲司さんのイベントを開催します!

林哲司さんのイベントを開催します!

レーザーターンテーブル・イベント、緊急事態宣言の影響で、この1年間、中止に延期と重ねてきましたが、3回目をようやく開催できます。

いま、「真夜中のドア」が世界中で話題となっている、作曲家の林哲司さんをお招きします。

林さんといえば、ほかにも竹内まりや「September」、杉山清貴&オメガトライブのシングル全曲、菊池桃子の楽曲全曲、上田正樹「悲しい色やね」、原田知世「天国にいちばん近い島」など

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037 川田あつ子「ごめんなさい」(1982年)

037 川田あつ子「ごめんなさい」(1982年)

作詞・作曲:鈴木みのり 編曲:戸塚修

白石まるみに始まり、三田寛子、真鍋ちえみと続いたCBSソニーは、82年のアイドル豊作の年においては負け組だったわけだが、そんな中の一人がこの川田あつ子。元々、女優デビューが先ということもあったが、歌手としてはシングル2枚のみで終わっている。

これはその2枚目で、なんとなく持ってなかったので入手しました。普通にいい曲なんですが、なんか物足りないんですよね。と

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036 薬師丸ひろ子「メイン・テーマ」(1984年)

036 薬師丸ひろ子「メイン・テーマ」(1984年)

作詞:松本隆 作曲:南佳孝 編曲:大村雅朗

家にあった薬師丸さんのダブり盤をオクに出そうかなと思って久々に聴いてたんですが。

シングルの最初の4枚の中では、一般的には「Woman “Wの悲劇”より」(4th)が圧倒的に人気で、次が大瀧さんが書いた「探偵物語/すこしだけやさしく」(2nd)で、「セーラー服と機関銃」(1st)は”カ・イ・カ・ン”だったんでよう売れて、多分、「メイン・テーマ」(3r

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追悼:筒美京平さん

追悼:筒美京平さん

90年代半ば、渋谷系の隣で、初めて歌謡曲の再評価が始まった。
その時、<歌謡曲>は<昭和歌謡>になった。
つまり、歌謡曲の再発見だ。

その時の価値基準はサウンドだった。
それは筒美京平が行った歌謡曲のサウンド感覚の革命が音楽的な評価をされた瞬間だった。
ここで初めて歌謡曲のサウンドが語られ、歌謡曲=メロディという呪縛から解き放たれたんだと思う。
それがなければおそらくDJが和モノをかけることもな

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船山基紀さんのイベントやります!

船山基紀さんのイベントやります!

"イントロの魔術師"船山基紀さんをお招きしてイベントをやります!
レーザーターンテーブルで船山さんがアレンジした曲を聴きながら、その裏側をいろいろお話していただきます。

予約はお店までどうぞ!

FBにイベントページあります。
https://www.facebook.com/events/921409744881867/

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TALKIN' HITS!
~レー

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035 真璃子「セシルの週末」(1989年)

035 真璃子「セシルの週末」(1989年)

作詞・作曲:松任谷由実 編曲:新川博

僕はカヴァー曲がオリジナルを超えることは滅多にないと思っています。普通は原曲と全く違うアレンジをしたり、全く違う個性の演者が違う解釈で演奏したり。原曲との違いを出すことで成立させることが多いと思うのですが、中には原曲に寄せているのにイイってものもあります。

「セシルの週末」はユーミンが80年にリリースしたアルバム「時のないホテル」の1曲目に収録されていた曲

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034 田原俊彦「It's BAD」(1985年)その2

034 田原俊彦「It's BAD」(1985年)その2

作詞:松本一起 作曲:久保田利伸 編曲:船山基紀

前回からの続き。今回は想像だらけです。

そんな頃、音楽業界で話題になっていたデモテープがありました。通称"すごいぞテープ"と呼ばれていたそのデモは、まだ歌手デビュー前だった久保田利伸が趣味的に作ったものでした。そこには、後に久保田の1stアルバム「Shake It Paradise」(86年)で世に出るオリジナル曲のほか、ソウルや全米ヒットのカ

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034 田原俊彦「It's BAD」(1985年)その1

034 田原俊彦「It's BAD」(1985年)その1

作詞:松本一起 作曲:久保田利伸 編曲:船山基紀

ブラックミュージック・イン・ジャパンな話を前回に引き続き。

田原俊彦「It's BAD」(85年)は、ラップを取り入れた最初の歌謡曲と言われています。日本の一般的な音楽ファンが初めてラップ・ミュージックを意識したのがRun D.M.C.「Walk This Way」(86年)だとするなら、それよりも早いわけです。正確に言えば、これ以前にもラップ

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033 風見慎吾「涙のTake A Chance」(1984年)

033 風見慎吾「涙のTake A Chance」(1984年)

作詞:荒木とよひさ 作曲:福島邦子 編曲:小泉まさみ

先日、某DJバーの周年イベントに参加した時、某DJが「涙のTake A Chance」をかけたら、その店で働いているベテランダンサーさんが踊り出すという一幕がありました。しかも、振り付け完コピ。そう、この曲は、ある世代にとってはダンスの基本であり、この曲でブレイクダンスと出会ったという人も多い、エポック・メイキングな曲なんです。

ブレイクダ

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032 水島裕「光と影」(1980年)

032 水島裕「光と影」(1980年)

作詞:奈月大門 作曲:寺西修 編曲:中島正雄

最近、更新が滞り気味なんで、かさ増しに有名なネタで(笑)

これはBOOWYファンには有名な曲ですね。作曲が寺西修、つまりBOOWY結成前の氷室京介で、実はBOOWY「FUNNY BOY」の原曲ということで特別視されているわけです。AメロとBメロはほぼ一緒、イントロとサビは全く違います。BOOWYでやるときに作りなおしたんでしょう。では、この曲が世に

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031 柳ジョージ「コイン・ランドリィ・ブルース」(1985年)

031 柳ジョージ「コイン・ランドリィ・ブルース」(1985年)

作詞:トシ・スミカワ 作曲:増田俊郎 編曲:知久光康・増田俊郎

今の時代、歌は美しい風景や美しい感情や前向きな気持ちを歌うものと決まっているのですが(もちろん皮肉です)、アウトローの世界にはドラマがあるし、悲劇を美しく装飾して語り継いでいくのもまた歌の役割です。

「コイン・ランドリィ・ブルース」とは変わったタイトルですが、やはり、ダメな男と女を歌ったドラマティックなバラードです。底辺に生きる人

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030 「三味線師ロンリー・ブルー」谷口美千代(1981年)/原田ゆかり(1986年)

030 「三味線師ロンリー・ブルー」谷口美千代(1981年)/原田ゆかり(1986年)

作詞:ちあき哲也、作曲:杉本真人、編曲:松井重忠(どちらも)

80年代といえばアイドルの時代。それと同時に、演歌がビッグビジネスになっていった時代でもあります。そんな時代に、演歌発のアイドルがいてもいいんじゃないかと考える人がいても不思議ではありません。

谷口美千代という人がどんな人なのか、詳細は全くわかりませんが、ジャケットの写真から見ても、アイドル的な路線を狙っていることは想像に難くありま

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029 星ますみ「渚通りのディスコハウス」(1976)大西結花「渚通りのディスコティック」(1988)

029 星ますみ「渚通りのディスコハウス」(1976)大西結花「渚通りのディスコティック」(1988)

作詞:藤公之介 作曲:平尾昌晃

星ますみ(1976年)編曲:馬飼野康二
大西結花(1988年)編曲:矢野立美

せっかくなので、カヴァーもの続けてみましょうか。

いま、レコードファンの間でちょっとだけ話題の大西結花。この人ほど環境に振り回され、紆余曲折を経ながらも今も活動を続けるアイドルは稀でしょう。
これまでにリリースしてきた曲も、まさにアイドルの王道。つまり、時流に乗ってその時々の旬を取り

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