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JAPANESE ROCK 80's 名盤選

88
79年から93〜94年頃までの日本のロックを盤単位で紹介。 音楽的な側面から検証・紹介していきます。
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#80s

59枚目 THE MODS「FIGHT OR FLIGHT」/バンドの力量を後押ししたロンドン・レコーディングの録音クオリティ

59枚目 THE MODS「FIGHT OR FLIGHT」/バンドの力量を後押ししたロンドン・レコーディングの録音クオリティ

まずは個人的な思い入れから。僕が始めてモッズを聴いたのは「激しい雨が」(83年)の時。あと、坂上忍が主演だったドラマの主題歌(エンディングだったかな?)が「バラッドをお前に」(84年)でした。たしか、そのドラマには本人たちも出演してたはず(坂上が学祭にモッズの出演を依頼するが、いろんな事情でポシャるという話。「モッズじゃなければダメなんです!」ってセリフがあったような。うろ覚えですが)。
そんな風

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57枚目 YBO2「GREATEST HITS Vol.1」(1992年)/ノイズとインプロヴィゼーションの裏に潜んだポップ感覚

57枚目 YBO2「GREATEST HITS Vol.1」(1992年)/ノイズとインプロヴィゼーションの裏に潜んだポップ感覚

YBO2(イボイボ、後にワイビーオーツーに統一)は、雑誌フールズ・メイトを創刊した北村昌士を中心に、84年に結成されたバンドです。北村はトランス・レコードという、これまた80年代を代表するインディ・レーベルを主宰しており、そこでは<ポジティヴ・パンク>と呼ばれる音楽性を持ったバンドや、より実験的な色彩を持ったバンドのレコードをリリースしていました。その中で最もリリース枚数が多かったのがYBO2でし

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56枚目 浜田麻里「In The Precious Age」(1987年)/浜田麻里に見る90年代への視線

56枚目 浜田麻里「In The Precious Age」(1987年)/浜田麻里に見る90年代への視線

超ひさしぶりに書きます。

浜田麻里さんは今年でデビュー35周年。デビューの時が20歳ですから、今年で◯歳とかそういうことはいいんですが(笑)、あのパワフルな歌唱とハイトーンが今でもまったく変わらないのは驚愕です。

いわゆる”ジャパメタ”といわれるジャンルは、91~92年頃を境に失速していきます。そんな中で人気を高めていったのが(JAPANが付く前の)Xと浜田麻里でした。どれもヘヴィメタルらしさ

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55枚目 D'ERLANGER「LA VIE EN ROSE」(1989年)/ヴィジュアル系のターニングポイント〜ヘヴィメタルとポジティヴ・パンクの狭間で

55枚目 D'ERLANGER「LA VIE EN ROSE」(1989年)/ヴィジュアル系のターニングポイント〜ヘヴィメタルとポジティヴ・パンクの狭間で

#jrock #80s #D 'erlanger #デランジェ #NOVELA #44MAGNUM #XJAPAN #BOOWY #ヴィジュアル系

ヴィジュアル系のルーツと呼ばれるバンドはいくつもありますが、現在のような女性的な美しさをベースにした感性へと舵を切ったのはどこだったのでしょうか。キーワードは<エレガント>です。

美しさを求めるという意味での最古のヴィジュアル系バンドは、1980年に

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54枚目 COMPLEX「COMPLEX」(1989年)/ティーニー・ボッパーとしてのCOMPLEX

54枚目 COMPLEX「COMPLEX」(1989年)/ティーニー・ボッパーとしてのCOMPLEX

#jrock #80s #complex #コンプレックス #布袋寅泰 #吉川晃司 #BOOWY

久々に書きます。

COMPLEXを聴いていて、ふと思ったことがあるので書いてみます。それは、COMPLEXの音楽は、ティーンに向けたロックンロール・ミュージック、つまり、日本のロックにおける最後のティーニー・ボッパーなのではないかということです。

ロックンロール・ミュージックは、その誕生から長い

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53枚目 ASYLUM「ASYLUM」(1989年)/民族音楽的なプリミティヴなエネルギーを発する最高傑作

53枚目 ASYLUM「ASYLUM」(1989年)/民族音楽的なプリミティヴなエネルギーを発する最高傑作

#jrock #80s #asylum #アサイラム #ガゼル #ポジパン #トランスレコード

元祖ヴィジュアル系と言われるバンドは沢山いますが、その中にポジパン=ポジティヴ・パンクと呼ばれたジャンルの占める割合は大きいと思います。

ASYLUMはYBO2の故北村昌士が立ち上げた80年代を代表するインディー・レーベルであるトランス・レコードの看板アーティストの1つ。今となっては、ポジパンからビ

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52枚目 The Comes「NO SIDE」(1983年)/初期ハードコア四天王の1つ、女性ヴォーカルのハードコア・パンク・バンド

52枚目 The Comes「NO SIDE」(1983年)/初期ハードコア四天王の1つ、女性ヴォーカルのハードコア・パンク・バンド

#jrock #80s #comes #カムズ #チトセ

ギズム、ガーゼ、カムズ、エクスキュート。日本のハードコア四天王と呼ばれるこの4バンドは、日本のハードコアシーンの黎明期を支え、その血は80年代を通してシーンの中に息づいていました。
ギズムとガーゼはそれぞれのスタイルを確立させ、息の長い活動をしましたが(ガーゼは今でも健在!)、カムズとエクスキュートは比較的短命で終わってしまいました。しか

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51枚目 REBECCA「REBECCA IV」(1985年)/80年代J-Rockのヒットの先陣を切った、捨て曲なしの名盤

51枚目 REBECCA「REBECCA IV」(1985年)/80年代J-Rockのヒットの先陣を切った、捨て曲なしの名盤

#jrock #80s #REBECCA #NOKKO

レベッカの再結成ライヴ観てきました。全盛期のライヴは映像でしか見たことないんですけど、いい意味でも悪い意味でも昔のまま。ほんとに変わらない。
NOKKOはすでに50歳を超え、昔みたいな激しい踊りこそしないものの全盛期のハイトーン・ヴォイスは健在で、声はかなり出ていた。さすがに80年代と同じようなアドリブはしなかったけど、まだまだなんの問題も

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50枚目 BAD MESSIAH「GOLDEN SEEDS」(1990年)/THE CULTに影響を受けた骨太で硬派なロックンロール

50枚目 BAD MESSIAH「GOLDEN SEEDS」(1990年)/THE CULTに影響を受けた骨太で硬派なロックンロール

#jrock #80s #バッドメサイア #BADMESSIAH #SA #馬淵大成 #JUNGRAY

50枚目はSAの野音ライヴ成功記念に、バッド・メサイアを。シンガーの馬淵大成が80年代後半から90年代にかけてやっていたヘヴィなロックンロールバンドです。これがひとクセあるバンドで。

バッド・メサイアは、(オリジナル)SAを解散させた馬淵が、佐野昌樹g(元ヴァージン・ロックス)、JUN-G

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49枚目 V.A.「THE PUNX」(1985年)/バラバラな内容だが、収録曲のクオリティがハンパないカセットブック作品

49枚目 V.A.「THE PUNX」(1985年)/バラバラな内容だが、収録曲のクオリティがハンパないカセットブック作品

#jrock #80s #ラフィンノーズ #GAS #G .I.S.M. #ウィラード #リップクリーム #コブラ #JICC #宝島

またしても久々の更新になってしまいました。
ラフィンにウィラードときたので、両方入ってるこいつをいきましょう。

「THE PUNX」は85年3月にJICC出版(宝島社)からカセットブックという形でリリースされました。カセットテープに冊子が付いていて、書籍扱いにな

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48枚目 The Willard「Good Evening Wonderful Fiend」(1985年)/インディーズ・ブームを牽引したパイレーツ・ロック

48枚目 The Willard「Good Evening Wonderful Fiend」(1985年)/インディーズ・ブームを牽引したパイレーツ・ロック

#jrock #80s #ウィラード #Willard

というわけで、ラフィンに続いて、インディーズ御三家の一角、ウィラードです。現在まで存在感を持って活動を続けるラフィンノーズや劇団を通して存在感を発揮しつづけた有頂天のケラと違って、ウィラードは解散こそしていないものの、ほぼ行方知れずの状態でした。しかし、ここ最近で3バンドとも活動が活発になりそうな兆しがあります。

ウィラードは82年にシン

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47枚目 LAUGHIN' NOSE「MEAT MARKET」(1988年)/謹慎を経て、バンドの音を一変させた問題作にして最高傑作

47枚目 LAUGHIN' NOSE「MEAT MARKET」(1988年)/謹慎を経て、バンドの音を一変させた問題作にして最高傑作

#jrock #80s #ラフィンノーズ #laughinnose

バンドブームの前にはそれと繋がる形で<インディーズブーム>なるものがありました。メジャーのレコード会社がロックをまだまだ軽く見ていた80年代前半、アンダーグラウンドなシーンでは、確実に(アンチメジャーという形で)ロックは成長していました。それも歪な形で。その勢いはNHKなどでドキュメンタリーが製作されるほどでした。中でもインディ

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46枚目 THE BLUE HEARTS「THE BLUE HEARTS」(1987年)/日本のロックの流れを変えた史上最重要作品

46枚目 THE BLUE HEARTS「THE BLUE HEARTS」(1987年)/日本のロックの流れを変えた史上最重要作品

#jrock #80s #真島昌利 #甲本ヒロト #BLUEHEARTS

なんと1ヶ月ぶりの更新になってしまいました。
80年代後半の日本のロックを語るとき、必ず向き合わなければならないにいや、もしかしたら、日本のロック史上最重要かもしれない名盤いきましょう。THE BLUE HEARTSのデビューアルバム「THE BLUE HEARTS」です。

1987年のある日、「未来は僕らの手の中」がラ

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45枚目 桑田りん「世界中の時計を止めてしまいたい夜」(1985年)/マーシーが描く、古さという名のロマンティシズム

45枚目 桑田りん「世界中の時計を止めてしまいたい夜」(1985年)/マーシーが描く、古さという名のロマンティシズム

#jrock #80s #真島昌利 #篠原太郎 #BRAKERS #佐野元春 #桑田りん

プリティ・フラミンゴスつながりでいきます。リンこと桑田りんのデビューアルバム「世界中の時計を止めてしまいたい夜」です。

プリティ・フラミンゴスとは、佐野元春のバックバンド、ザ・ハートランドの女性コーラス隊の名前で、ハートランドのメンバーがまだまだ流動的だった81~82年に存在しました。1期メンバーには白井

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