
コンポストで家庭菜園の土づくり|生ごみが資源に変わる日 #3
コンポストの運用開始から3ヶ月が経過した。コンポストは満たんになり、一次発酵を終え、いよいよ土の中で二次発酵だ。
あと少しで良質な土ができあがる。種まきの日は近い。捨てていた生ごみを栄養に育った野菜が、食卓に並ぶ日もそう遠くはないのである。むふふ。
バケツの中の一次発酵、土の中での二次発酵
我が家のコンポストはEM菌(有用微生物群)、いわゆる善玉菌の力を借りて生ごみを発酵させる、「EMバケツ」である。微生物にも色々あり、増殖に酸素が必要な好気性微生物と、必要としない嫌気性微生物に分けられる。EM菌は嫌気性微生物だ。バケツの中の密閉状態を保つことで、投入した生ごみを腐敗させることなく発酵してくれるのである。
バケツで出来上がった「EM生ごみ発酵肥料」、この時点では、まだごみの原型を留めている。土と混ぜ、土の中の好気性微生物の働きにより二次発酵させる。そうして初めて生ごみは完全に分解され、堆肥となるのだ。
「EM生ごみ堆肥」は土をふかふかにし、水分、酸素、養分の保持力を高め、また排水性を高めてくれる。できあがった土は生産力が高く、病気に負けない栄養満点の、元気な野菜が育つのである。自然の力は凄いのだ。
そして家庭ゴミの30〜50%を占めるといわれている生ごみの減量にもつながり、持続可能な、小さな循環が家庭内に生まれるのである。
一次発酵の記録
2021年1月、コンポストと種々の道具をそろえた我が家で、「生ごみ堆肥化プロジェクト」がスタートした。
が、方法がまずかった。
わずか1週間後につまずくことになった。生ごみがうまく発酵せず、悪臭が発生したのだ。
そこでEM菌の働きをもう一度学習し、あれこれと対策を施した結果、悪臭は消えうまく発酵プロセスに進んでくれた。
その後は順調に生ごみとEM生ごみ発酵促進剤の投入を繰り返し、3月にコンポストが満たんになった。運用開始から2ヶ月、意外と時間がかかったので、もう少し容量の小さなバケツでもいいかもしれない。
満たんになったバケツは生ごみの投入をやめ、そのまま密閉した状態で熟成させる。その期間は季節にもよるのだが、夏場で1週間、冬場で3週間が目安だという。

熟成を経た生ごみからは、ぬか漬けの香りと独特の甘酸っぱい香りがただよい、腐敗臭はしない。こうして「EM生ごみ肥料」ができあがった。
「EM生ごみ発酵肥料」を土と混ぜて二次発酵

2021年4月、EM生ごみ発酵肥料を土と混ぜる。適当な容器がなかったのでとりあえず段ボール箱を用意した。土とEM生ごみ発酵肥料を重ねがさねに投入し、よく混ぜ合わせた。本当はベランダで発酵させたかったのだが、一次発酵での失敗のように、万が一悪臭を放つとご近所迷惑になる。蓋をして、室内で保管することにした。
で、やはり悪臭を発生させてしまうのだった。
まずい、また失敗か——。
できたEM生ごみ発酵肥料は、すぐ土と混ぜよう
どこが悪かったのだろう。
臭いの原因をさぐってみると、犯人は残ったEM生ごみ発酵肥料だった。
どうやらEM生ごみ発酵肥料を長い間保管しておくと悪臭を放つらしい。できたらすぐに土と混ぜるべきなのだ。
コンポストで大量にできた——約19リットル——EM生ごみ発酵肥料を前にした僕は、こんなに使いきれないと思い、半分をバケツの中で保管していたのである。
あわてて段ボール箱をもうひとつ用意して土に混ぜた。その翌日に悪臭は消え去り、二次発酵中の土からは、独特の柑橘系の香りがほのかに漂っている。
白カビはうまく発酵している証拠

そのまま2週間が経過した。
段ボールの中を開けてみる。
土の表面や蓋に白カビが発生している。よしっ、成功だ! 白カビはうまく発酵している証なのだ。
さらに発酵促進のため、スコップで土をかき混ぜる。土が人肌以上に温かい。微生物が生ごみを分解する過程で、熱を発しているのだ。ダンボール箱の内側には水滴が付着し、土を混ぜると温かい湯気が立つ。
テレビ番組の農家の土づくりの映像で、肥料を混ぜた土から湯気がもうもうと立ち上がるような光景を見たことがある。自然の力は、凄いのだ。

二次発酵をさらに続け、熟成させる。あと2週間ほどで生ごみは分解され、良質な堆肥ができあがることだろう。
次はいよいよ種まきだ。
さぁ何を植えようか。
生ごみを糧に育った野菜が食卓に並ぶ日も、そう遠くはないのである。
<参考>
3R推進施設ふれあいエコプラザ:はじめよう!EM生ごみ堆肥
3R推進施設ふれあいエコプラザ:「EM生ごみぼかし堆肥」Q&A
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