
キッチン・コンポスト、EMバケツの臭い対策|生ごみが資源に変わる日 #2
生ごみを堆肥化し、ささやかな家庭菜園の有機肥料に活かすべく、我が家ではコンポストを運用している。我が家のコンポストはキッチン・コンポスト、いわゆる「EMバケツ」タイプだ。密閉でき、蓋をしているかぎり臭いが外に漏れず、室内に設置できるから、マンション住まいの僕に最適なコンポストである。
しかし、そのときは唐突に訪れた。
コンポスト運用開始から1週間目のこと。蓋を開けると、独特の酸っぱい臭気が鼻をついた。
「むむむっ、臭うぞ」
「ええっ、なんか臭いんですけど」と妻。
どうやら発酵がうまく進んでいないらしい。これは、何とかしなければ。
キッチン・コンポスト、EMバケツの生ごみ処理の仕組み
あらためてEMバケツの仕組みを解説したい。仕組みを理解することが、臭い対策につながるからだ。
EM菌により生ごみを発酵させる
我が家のコンポストはEM菌(有用微生物群)、いわゆる善玉菌の力を借りて生ごみを発酵させるタイプだ。この仕組みは、こうじ菌によるみそやしょう油の製造、乳酸菌によるチーズの製造などと、原理は同じである。
発酵がうまくいくと腐敗臭は発生はしない。漬物や、みそのような香りが漂う。冒頭で述べた腐敗臭がするというのは、発酵がうまく進んでいない証拠である。
EM菌は嫌気性微生物
微生物をもう少し詳しく見てみよう。
微生物には、増殖に酸素が必要な好気性微生物と、必要としない嫌気性微生物がある。EM菌は嫌気性微生物だ。だから発酵中は空気に触れさせず、密閉することが大切である。
バケツの中で一次発酵、土の中で二次発酵
そして、EMバケツの発酵には二段階あり、バケツでの発酵は一次発酵である。この時点では生ごみの形がそのまま残っている。もし原型をとどめていないようでは、それは腐敗しているということだ。
一次発酵を経た生ごみは、有機肥料として土の中に投入する。そうして2週間〜1ヶ月間、二次発酵させ、ここで初めて生ごみが分解され、土に還るのである。
我が家の失敗

EMバケツの仕組みを確認したうえで、我が家の失敗の原因を探ってみた。思い当たったのは以下の3点だ。
EM生ごみ処理剤が少なかった
投入毎に、バケツ全体をかき混ぜていた
生ごみの水切りが甘かった
EMバケツのデメリットは、処理剤のランニングコストがかかること。とっいっても月に数百円程度だから、これをケチっちゃいけない。特に肉や魚のアラを投入したときは多めにふりかけよう。そういえば、運用3日目にイワシのアラを投入したなぁ……。処理剤が足りず、腐敗したに違いない。
三角コーナー1杯分、約500gの生ごみ
EM生ごみ処理剤を大さじ1〜2
EM生ごみ処理剤の分量は上記を目安に。心配なら、多すぎるぐらいでかまわない。それで問題になることはないからだ。
生ごみ投入の度にバケツ全体をかき混ぜたのもまずかった。EMバケツは嫌気性微生物による発酵だから、空気になるべく触れさせてはならないのだ。
それに生ごみの水切りも甘かった。生ごみの8割は水分だから、しっかり水気を切ることが大切だ。
キッチン・コンポスト、EMバケツの臭い対策法
原因を探り、EMバケツの運用方法を見直してみた。
するとどうだろう。対策をとってから3日目には臭いがましになり、5日目には漬物の匂いに変わった。これは発酵がうまく進んでいる証である。
EM生ごみ処理剤を少し多めに投入し、処理剤と新たに投入した生ごみを和えたら、空気を抜くように上からギュッと押さえる。これが効果てきめんだった。

さらに、少量のくん炭を投入した。くん炭にはEM菌を増やし臭いや有害物質を吸着してくれる効果がある。コーヒーがらや茶がらはフィルターの上からしっかりと水気を絞り、ザルの上でしばらく乾かしてから投入しよう。
万が一悪臭がしても対策すれば大丈夫
コンポスト運用に失敗はつきものだ。試行錯誤は覚悟のうえ。万が一臭いが発生したときの見直しポイントをまとめておこう。
EM菌は嫌気性微生物、空気に触れさせないこと
EM生ごみ処理剤は多めに
バケツの中で、空気を抜くように生ごみを押さえる
水分はしっかりと切る
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有機肥料ができたら、ベランダで新たに夏野菜でも育ててみようか。ごみとして捨てていた資源から食料を生産することも、決して夢ではないのである。
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