キッチン・コンポスト、EMバケツの使い方|生ごみが資源に変わる日 #1
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キッチン・コンポスト、EMバケツの使い方|生ごみが資源に変わる日 #1

川口貴史

「たかし、味噌汁の野菜とってきてくれんかぁ」

 祖母にそう言われた僕は、はさみとザルを手に庭の畑に向かい、ナスやネギの収穫に走った。とれたての野菜は調理され、夕飯の食卓に並ぶ。これは、僕がまだ子供だった当時、我が家にとっては特別なことではなかったのだ。が、今思えばなんと贅沢なことだろうか。

 実家の庭には祖母の畑がある。そこではナス、トマト、きゅうり、ネギなどが育ち、その野菜が食卓を彩った。調理で出た生ごみは水気を切ってザルに集める。そのザルを持って再び畑へと向かう。畑の脇にある、大型コンポストに投入するためだ。コンポストで熟成した堆肥で、また野菜が育つ。

 コンポストでの生ごみ処理は、庭や畑がないと無理だと思っていた。それが、室内でもコンポストを設置できるというではないか!

 知らなかった——これは僕にとって青天の霹靂だった。知ったからには、やるしかない。

コンポストとは

▲写真左がコンポスト。我が家では「伸和キッチンコンポスト」を使っている。いわゆる「EMバケツ」タイプだ

 コンポストとは、家庭から出る野菜くずなどの生ごみから作った堆肥や、生ごみ処理機のことをいう。僕は生ごみを「キッチン・コンポスト」で処理し、我が家のベランダ菜園の、堆肥に使おうと目論んだのだ。

コンポストの仕組み

 土の中には無数の微生物や土壌生物がいる。この「分解者」たちが落ち葉や動物の糞・死骸などを分解してくれるから、地球が死骸や落ち葉で埋めつくされないのである。

 分解された有機物は植物の栄養素として吸収され、ふたたび生態系へと取り込まれる。このサイクルが豊かな土壌を育み、生態系の根幹を支えるのである。

 生ごみには、例えばワインのポリフェノール、お茶のカテキンなど、生物のための優れた栄養源が含まれている。が、腐敗すると栄養が失われてしまい、これは実にもったいないことだ。

善玉菌で生ごみを発酵させる

 コンポストは生ごみを腐敗させることなく、EM菌(有用微生物群)、簡単にいうと善玉菌により発酵させることで、有機肥料として再利用するものなのだ。

 20世紀前半に化学肥料が発明されるまで、廃棄物を再利用し、土壌の栄養を補給することは当たり前のことだった。この自然の理にかなった素晴らしいサイクルを、僕はもう一度見直したい。なんたって、廃棄物から食料が育つのだ。考えただけでもワクワクするじゃないか。

コンポストのメリット・デメリット

 コンポストを家庭に設置することで、どんなメリットやデメリットがあるのだろう。

 生ごみは堆肥としてリサイクルできる。この時点で生ごみは”ごみ”ではなく”資源”へと変わる。しかもリサイクルには微生物の力を借りるから、エネルギーを必要としない。

 キッチンから出た生ごみをリサイクルし、その堆肥で花が咲き、野菜が育つ。ごみが減り、一個人の小さな家庭で、リサイクルの輪が回り始めるのだ。

管理を怠ると悪臭や虫が発生する

 コンポストのデメリットは、管理が必要であることと、悪臭や虫が発生する可能性があることだ。これらについては、次のコンポストの使い方で解説したい。

コンポストの使い方

 コンポストはさまざまある。マンション住まいである我が家の実情を踏まえ、虫や悪臭が万が一発生したときのことを考慮し、蓋で密閉できる、室内で使えるコンポストを僕は選んだ。用意するものは次の通りだ。

  • キッチンコンポスト

  • EM生ごみ処理剤

  • スコップ  

 これらを用意すれば、今日からコンポスト生活を始められる。

  1. 水切りを十分にした生ごみを入れる

  2. EM生ごみ処理剤を適量ふりかけ、まぜる

  3. 蓋をして密閉する

  4. 容器がいっぱいになるまで1〜3を繰り返す

  5. 1〜2週間熟成→有機肥料の完成

 まず水気を十分に切った生ごみをコンポストに投入する。1回の分量は三角コーナー1杯分、約500gが目安だ。

 その上からEM生ごみ処理剤をスプーン3杯分ほどふりかけ、スコップでよくまぜる。これを容器いっぱいになるまで繰り返し、満タンになったら熟成させる。これで有機肥料の完成だ。  

 この過程でコンポストの底には液がたまる。バケツ側面の蛇口から取り出そう。これは「EM活性液」であり、トイレや排水溝に流すと消臭効果があり、2,000倍程度に薄めると液体肥料として活用できる。

コンポストに入れてはいけないもの

  • タバコ

  • プラスチック類

  • 金属類

  • 腐敗したごみ

  • ガラスなど

 上記のものは堆肥に分解できない。生ごみ以外のものは投入しないように気をつけよう。

もし虫や悪臭が発生したら

 コンポストには、悪臭や虫が発生するリスクがつきまとう。これを防ぐには——どうやら、試行錯誤するしかないようだ。

 我が家のコンポストはまだ数日の運用ではあるが、今のところ悪臭や虫が発生する気配はない。キッチンコンポストの蓋を閉めていれば臭いが室内に充満するようなことはなさそうだ。蓋を開けると甘酸っぱいぬか漬けのような香りが漂うが、これは発酵が上手く進んでいるあかしでもある。

 虫の発生については、成虫が飛来して卵を産みつけることが原因だから、室内で運用している限りその心配はないだろう。腐敗臭を出さないように、適切に管理したい。

生ごみを土に還す循環型生活を始めよう

 廃棄物を再利用して、土壌の栄養を補給する、この自然のサイクルは、何も大がかりな設備は必要ない。庭や畑も必要としない。小さな家庭用コンポストがあれば、室内でも運用できるのだ。ごみが資源へと変わる、この事実をぜひ体験してみてほしい。

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川口貴史
WEBライター / 靴用品アドバイザー。ライティングのご依頼を承るかたわら、靴業界での経験をもとに、靴用品の開発にも携わります。旅、山、日々の暮らしを発信します。