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世に出せない言葉に、それでも目を向けてくれるひと

これまでたくさんnoteを書いてきましたが、その裏で、10倍くらいのnoteを削除してきました。

書きながら「なんか違う」と感じたり、タイトルだけで内容が思い浮かばなかったり、noteにして世に出すほどのものではないなと思案したり。理由はさまざまですが、大体のものは「書き上げることができなかった」ものです。

でもいくつか、書き上げたのに公開できなかった(しなかった)noteがあります。

自分の言葉が誰かを傷つける、と知っていた

学生時代、どうしようもなく人を傷つけたことがあります。何度も。

今も大概ですが、当時は今よりもよほど感情に流されやすく、特に怒りに弱かったんです。何かに傷つけられた時、傷ついた時、それを素直に出す術を知りませんでした。だから常にわたしは怒っていました。抱えたままの孤独や寂しさを悟られないように。

傷を怒りで覆い隠さなくてもいいと分かってからも、咄嗟に隠そうとする癖があります。大丈夫なフリをする。笑顔でやり過ごしてしまう。

傷ついたままの心から出る言葉の鋭利さを知っているから。自分の言葉には誰かを傷つける可能性があることを知っているから。言葉によって簡単に失われるものがあることを、身をもって知っているから。

だから、何も言えなくなってしまうのです。

誰かを傷つけかねないものは世に出せない

noteに書くテーマを選ぶ時、いくつかの判断軸があります。「noteを書くまで深堀りできるか」とか「伝えたい人像が描けるか」とか。そして一番大切にしている軸は「誰かを傷つけるものではないか」です

どんな言葉にも鋭さが潜んでいるのは知っています。どれだけ気を付けても誰かを傷つけてしまうことはあるし、そんなこと考え出したら何も言えなくなってしまう。最終的には「これで傷つけるかもしれないけど、それでも伝えたい」というエゴ交じりの覚悟を決めて「投稿」ボタンを押します

でもそれでも、やっぱり誰かを傷つけてしまうのは嫌なのです。

「この言葉は適切か?」を冷静に考えられないテーマや、どうしても尖った言葉が必要になるものは、最後の「投稿」ボタンが押せないのです。どれだけ時間をかけて書き上げたものだとしても、どれだけ愛情を注いだとしても、その言葉で救える何かがあったとしても。

一度ネットに出したものは、回収しきることはできないから。どれだけ後から訂正したって、その傷を無かったことにはできないから

「読ませてくれてありがとう」と言ってもらえるから

つい先日も、「これは公開できないな」と思うnoteができあがってしまいました。普段、そういうのは書ききる前に下書きの奥底へと埋めるのですが、なぜか書かずにはいられなくて。

公開はできないけれど、削除する気にもならなくて。結局、ろくな推敲もしないまま共有用リンクを取得して、二人の人に送り付けたんです。

タイトルからしてだいぶ重かったし、中身も整理しきれていない、自分の気持ちをそのまま言葉にして並べただけのモノ。送った後に「これ反応に困るよな……」と自己嫌悪しかけたんですが、幸いお二方とも丁寧に読んでくださって、コメントまでいただけて……。うまく言えないのですが、なんだかとても、救われた気持ちになりました。

お二人とも、その節はありがとうございました。

多分そのnoteは公開しないまま(自戒的な意味合いも込めて)下書きに置かれることになると思いますが、二人の読者がいてくれたから、「読ませてくれてありがとう」と言ってもらえたから、随分と心が軽くなりました。

傷は目立つ。でも言葉は、傷つけるためだけのものじゃない

傷は目立ちます。傷ついた時も、傷つけた時も。どれだけ目をそらそうとしても、気を紛らわしても、どうしてもそこに目が行ってしまうものです。

でもわたしたちが言葉から受け取ったのは、傷だけじゃないはずです。大切な宝物ができたこと、人生のターニングポイントになったこと、あると思います。わたしはいつだって、人からの言葉に救われてきました。

言葉によって傷ついたり傷つけたりした時、何も言えなくなることもあるかもしれません。発信すること、誰かと繋がることが怖くなるかもしれません。

それでも、忘れないでほしいのです。

あなたが発した言葉によって、救われた人がいるかもしれないことを。あなたの言葉によって、誰かの明日が変わったかもしれないってことを。

あなたの言葉から生まれるのは悲しみだけじゃない、優しさや愛しさや強さや温かさもたくさんあるってこと。その合計値はきっとプラスになるってことを、覚えていてほしいのです。

言葉は、誰かを傷つけるためのものではありません。そういう側面もあるけれど、違う側面もあるってことを忘れずに、これからも言葉と向き合っていきたい。見ないフリするでも、蔑ろにするでも、封じるでもなく、真摯に大切にしていきたいと思っています。

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