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中之島的備忘録 10月22日木曜日

次々と鉛色をした、小刻みな波がたおやかに、押し寄せる。

その原理は、どうやらとぐろを巻く風のせいらしい。


とぐろ、とぐろ、どぐら・まぐら。とぐろ。まくだら、とぐろ、とぐろ。

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乾涸びた薔薇の花びらを花束にして。

それは、薔薇の屍にほかなりません。


ぷるぷるした水っぽい大気が、雨を予感させる。

おかげで、頗る、身体が重い。


そこへ。

建設局の車が、無遠慮に横切っていって、センチメンタルな気分を台無しにしてしまった。


木にとまっている雀も、電信柱にとまっている雀も、一様に自由であることを誇示しているので、また少し、悲しくなった。

それで。

信号機に拘束された私は、足元に視線を落とす。

   昨日と同じ靴だ。

昨日と同じ、薄い水色のスウェード風の靴だ。

先っぽに枯草の切れ端がまとわりついたままの靴だ。

雨が降ると、やたらと滑る、陽気な靴だ。

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からくり顔をした、男と女が、小型犬をそれぞれに抱いたまま、真っ直ぐ前を見つめていた。

私は、この二人を知っている、と思った。


すれ違いざまに、男のほうと目が合ったような気がした。

口角が緩く上がっていたけれど、それは、私への友情のしるしでもなんでもなかった。

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