無理に贅沢品を作り出す歪が生む、負のループ

『吉野家』の牛丼は美味い。
　もともとアメリカの牛はリブロース、テンダーロイン（フィレ）、サーロインのようなステーキカットできる肉以外の部分は全てミンチにしハンバーグにしていた。
　ステーキ肉はブロック肉を仕入れて輪切りにするだけで良いので、現場のスキルがいらない。一方で日本の焼肉カットは魚の細かい切り身の技術が活かされており、そこにUSビーフなどを安く仕入れることで日本式の焼肉文化が確立した。

　吉野家の牛丼は、通常はミンチにするコーンフェッドのショートプレート、いわゆるバラ肉を安く仕入れて美味しい牛丼に仕立てた。今それを中国マネーが注目しはじめたので、原価が急騰して値上げせざるを得なくなっている。まあそれでもかなり安いのは確かである。

　これは、昨今販売されているような、黒毛和牛の激安ステーキ丼のビジネスモデルとは全く違う。

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