ドストエフスキーを読んだと嘘をついた / 忘れらんねえよ
私は、いわゆる「年齢=彼女いない歴」というやつで、
いや、正確に言うと一度だけ、中学の時にお付き合いみたいな感じになったのだが、付き合い始めてからは一度も話さずに終わってしまった。
なので「付き合ったことあるんすよ」ってトーンで話し始めるにはネタが足りず、「(実質的には)付き合ったことないんすよね~」と話している。
ここまで読んでいただければ、私に彼女ができない性格的な要因が、少しお分かりいただけるかもしれない。
渋谷の飲み屋で ボコボコにされた
その様あの娘に あの娘に見られちゃったんだ
俺ほんとはこんなもんじゃねえんだ
こんなもんじゃねえんだ
往々にして、私は気になる女性の前だと調子が狂う。
口数が減り、食事はのどを通らず、面白いことを言おうとして空回りし、とんでもない空気になる。
普段疲れない程度の距離でも、歩いているだけでやけに腰が痛くなる。
さらにタチが悪いのは、そんなダサい部分を隠そうとして、言動がいつも以上につまらなくなることだ。そして積極性を欠く。これぞまさに恥の上塗り、当社比8割増しだ。
ただでさえ普段から人としてつまらないのに、向こうからすれば男としても魅力ゼロなわけだ。なんだか申し訳ない気持ちになってきた。
言え 言え 言え 言え
俺童貞だってこと いつ言えばいいんだ
でもあの娘にとっちゃ別に マジどうでもいいことなんだ
男女関係なく普段から、そもそも自分に自信がないので、自己開示的なことをするための心の蛇口は固い方なのだが、一度気を許してしまうと水がジャージャー流れてしまう。
それが気になる女性と二人きりになろうものなら、「かっこつけなければ」!といつも以上に情報公開の審査が厳しくなり、逆に「これは話しておきたい」みたいな謎の使命感が生まれると、蛇口がバカになって水がドバドバ溢れてしまう。
言わなくてもいいことまで言ってしまって後悔する。いわゆる自爆である。気づく頃には時すでにお寿司。
次はどんな話を振ろう、この表情は触れてほしくないってことか?そんなかんじで内面は稼働率150%で上限超過しているのに、
外側ではそんなあたふたは見せないように取り繕っているわけで。
恐らくそういった僕自身の違和感みたいなものを敏感に悟られてしまい、結果いつもうまくいかないのではないかと思う。
パソコンの内側は”オーバーヒート”してるのに画面が”フリーズ”してしまう、大いなる矛盾が解決できた気がする。(違う)
ああ 俺は 嘘をつきそうになってしまう
けど今も 大好きなベンジーが許さねえ
本当にダサくて仕方なくて、今すぐ目の前の井の頭公園の池に飛び込みたい!なんて時もあるわけだけども、そんな時でも、嘘だけはつかないようにしている。
それは目の前の女性に対して、正直でいたいという、身勝手な自己満かもしれない。
失恋で辛い夜を救ってくれた尊敬する歌手に、筋を通したいってことかもしれない、一方的に。
まあでも、毎回同じような失恋を繰り返すだけのクソザコダサダサかっこつけ男である自分に絶望せず、私がここまで生き続けてきているのは、そんな誰得の”筋”だけは通し続けているからなのかもしれない。
嘘はつかないとか、誠実さを忘れない、とか。
(無論、そこは評価されていないわけで、いつまでもそんなことで自分を納得させるようではダメなのだが)
いつか出会う僕の愛しき人よ、あなたはどこにいるのか、いつ会えるのだろうか。
その日まで私は、寄り道するかもしれないけど、筋を通して生きていこうと思います。
ほんとにくるのか知らんけど。
ああ俺は 嘘をつきそうになってしまう
けど今も 赤い夕焼けが俺を染める
けど俺は 嘘をつきそうになってしまう
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