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【論文レビュー】自己効力感の測り方。:坂野&東條(1986)

自己効力感と言えばバンデューラ(Bandura)!というわけで、本論文でもバンデューラを引きながら尺度開発を行っています。結論から言えば、3因子構造で16の質問項目での尺度の信頼性・妥当性が検証されています。

坂野雄二, & 東條光彦. (1986). 一般性セルフ・エフィカシー尺度作成の試み. 行動療法研究, 12(1), 73-82.

著者たちは、バンデューラの先行研究を参照しながら31の質問項目を設定し、2件法(Yes/No)での回答を求めて調査を行っています。因子分析の結果として、3因子が取り上げられ、.300以上の因子付加量が出ている項目を抽出して合計16項目となっています。詳細は以下の通りです。

坂野&東條(1986)p.76

信頼性の検証

信頼性の検証としては、まず継時安定性を検討しています。上記の因子分析の元となった調査での対象者である278名のうち121名に対して五か月後に再検査を実施しています。初期の検査と再検査との間の相関係数は0.83と高く出ています。

また、初期と再検査との間で、各項目における回答の一致率も高かったため、回答の一貫性があったと判断されています。

妥当性の検証

妥当性について著者たちは複数の検証を行なっています。まず、内容的妥当性についてです。当初、自己効力感が高い場合の行動特徴が含まれる行動遂行場面を記述した項目を31個策定していました。全項目について調査を行い、因子分析の結果として16項目を抽出したことから高い内容的妥当性があると判断しています。

次に併存的妥当性の検証です。自己効力感と近い概念であると考えられる、東條(1983)の自己効力感テストでの三次元との相関関係を検証し、以下のような数値であったために妥当性があると判断しています。

坂野&東條(1986)p.78

公開から30年以上経った論文ではあるものの、2010年以降の論文でも多く引用されています。自己効力感を測定するメジャーな尺度と言えそうです。

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