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【論文レビュー】日本人学生版キャリア・アダプタビリティ尺度:Lee et al.(2021)

キャリア・アダプタビリティの世界標準での尺度はSavickas & Porfeli(2012)です。同論文では、東アジア諸国の中では中国、台湾、韓国が参加していてそれぞれの言語での尺度ができているのですが、日本は残念ながら含まれていません。本論文では、韓国人学生と共に日本人学生を対象として調査を行い、キャリア・アダプタビリティが自己肯定感、自己効力感、生活満足度、キャリア意思決定と有意に関係していることを明らかにしています。

Lee, I. H., Sovet, L., Banda, K., Kang, D. K., & Park, J. H. (2021). Factor structure and factorial invariance of the Career Adapt-Abilities Scale across Japanese and South Korean college students. International Journal for Educational and Vocational Guidance, 21(2), 241-262.

日本語版尺度

キャリア・アダプタビリティと四つの概念との関係性を明らかにした点も大事なのですが、それ以上に(日本人研究者にとって)大事なのは、Savickas & Porfeli(2012)の日本語版を作成している点です。

著者たちは(お名前からすると韓国の方々と推察するのですが)、韓国と日本との文化の近さと相違に着目して両国での比較を行うために、大変ありがたいことに日本語版を作成し、逆翻訳したものをSavickas & Porfeliのうちの一人とやりとりしてフィードバックを踏まえて最終化するという丁寧な進め方を取っています。

四つの下位次元もきれいに出ている

韓国語版と日本語版とでそれぞれ韓国人学生と日本人学生を対象にして確認的因子分析までを行い、それぞれのバージョンでキャリア・アダプタビリティの四つの下位次元に別れていることも明らかにしています。

Lee et al. (2021) p.252

今からキャリア・アダプタビリティを用いた調査を行う身としては、大変ありがたい論文でした。

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